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翻訳ソフト用のInDesignデータの処理(ベルギーの翻訳会社での学び備忘録)

ベルギーの翻訳会社でDTPオペレーターとして働いて初めて知った、翻訳用のInDesignデータの処理を備忘録として綴ります。この作業、Google先生に聞いてもなかなか解らなかったので、同じ境遇の方が入れば(めちゃめちゃニッチですが)ご参考になればと思います…。いや、日本もそのうちこの作業を考慮に入れなきゃいけない時代がすぐ来るはず…。

日本では今までカタログなんかの翻訳って、原稿をワードにして翻訳会社に頼んで、翻訳文章をデザイナーが手作業で流し込んでいくもの、と思ってたのですが、ベルギーで働いて知ったやり方は全然違いました。

翻訳ソフトにInDesignデータそのまま読み込めるんですね今の時代。ソフト上で翻訳された文はInDesignに勝手に反映されてく。。。なんて効率的…!

私の働いていた会社ではStudioという翻訳ソフトを使っていました。
読み込めるデータ形式はWordかInDesign。

こんな効率的な翻訳ソフトなんですが、InDesignで入稿されたときには、翻訳ソフトに読み込ませるための準備が必要なんですね。

大きな流れは
1. クライアントからInDesignパッケージデータもらう
2. 翻訳ソフト用にinddで調整、idmlで保存
3. idmlを翻訳ソフトに読み込ませ、翻訳者に渡す
4. 翻訳者が翻訳ソフトで翻訳する
5. 翻訳済みidmlデータを受けとる
6. 翻訳済みidmlのレイアウト調整(オーバーテキストなど)
7. InDesignパッケージにしてクライアントに納品

翻訳会社側のDTPは、2・36・7を担当するわけです。

■ 準備編 (「大きな流れ」の2・3の部分)
inddデータを開く
→ ページ外にある要素は全部削除 (不要な文まで翻訳されるのを防ぐため)
→ リンク or 埋め込み画像内にテキストがあればそれも翻訳に回さないといけないため、リンク元のデータからテキストを抽出 or 書き起こして別のWordデータにまとめる(リンクデータ内のテキストは翻訳ソフトが読み込まないため)
→ 文章内で強制改行(文章は切れていないのにレイアウトの都合で改行されている場合)は、改行を外す(一つの文章内で改行がある場合、翻訳ソフトは別個の文章として認識してしまい、エラーが起こるため)。一時的にレイアウトは崩れるが、この段階では崩れたままでOK
→ 文章は切れていないのにテキストブロックが分かれてリンクされていない場合、テキストブロックをリンク付ける(これはあまり見かけなかったな…)
idmlで保存する
→ 保存したidmlと、リンク画像内のテキストを抽出したWordデータを翻訳ソフトに読み込ませる
→ 翻訳ソフトのプロジェクトを翻訳者に渡す
■ 翻訳後の処理(「大きな流れ」の6・7の部分)
翻訳済みのidmlデータを元のidmlフォルダと同じ場所に格納する
→ idmlを開く
→ リンク切れの要素があれば、再リンクさせる
→ オーバーテキストを探して調整する ※1
→ リンク画像内のテキストを翻訳したものに差し替える(AiとかPSDがほとんどですがJPEGとかの画像の場合はフォトショで元の文章消す加工をして無理やり書き換える。スクショ画像JPGの場合はこの作業が多い)
→ オリジナルデータのレイアウトに合わせて、翻訳データの改行をやり直す(意図的に改行されやすいタイトル部分にこの作業が多かったなぁ)
→ パッケージにして保存
→ クライアントにパッケージデータを納品

※1)カタログなどで表ツールを用いて画像と説明文の紐づけが構成されている場合、翻訳後のidml開くと、表が途中からごっそり消えて(しかもオーバーテキストマークついてない)ることがあります。画像はあくまでネットで見つけてきた例ですがこんな感じのレイアウトの場合に起きやすいバグ。

そんなときは、

①文字サイズなどを調整して原文と同じ行数に戻してみましょう。

それでも表が戻ってこない場合は、写真ボックスが下に不必要に伸びていることが考えられます。

②写真ボックスの下の辺の位置を適切な位置まで戻してみましょう。

③表の下の辺を適切な位置に戻して(上に向けて引っ張る)みましょう。

おそらく表が戻ってきます。

翻訳ソフトでの翻訳後に作られるidmlでは、文章が原文より長くなって表の高さが変わると、なぜかそのセルの写真ボックスが不必要なくらい下にすっごい伸びる、という現象が頻発してました。

元々動画寄りの仕事が多かった私は、恥ずかしながら誌面エディトリアルなんてほとんど知らなかった…。最初idml送られてきたときは「は⁉idml…⁉」と混乱。しかし職場にDTPは私のみで誰にも聞けず…必死でGoogle先生にすがってみたりしたけれどこんなニッチな疑問に答えてくれる記事も無く途方に暮れ、日本の前職でお世話になったデザイナー様たちに連絡しまくってしまいました…「idmlって何…⁉」って。彼らの間では7月初旬の私、idml魔だと思われていたことでしょう…笑 

富山の漁村からフランス留学・就労→日本で就労→ベルギー移住。プレゼンクリエーターをしていましたが現在移住先のベルギーでの新しい生活で俄然人生もがき中。ここでは「留学」「語学」「海外移住」「ベルギー」を中心に日々の考えを振り返るために書いていこうと思ってます。