太陽の子
以前、Twitterに投稿したものをまとめたものです
私にとって、灰谷健次郎さんの「太陽の子」は、とても大切な本です。 「知らなくてはならないことを、知らないで過ごしてしまうような勇気のない人間に、わたしはなりたくありません。」 という、この本の主人公のふうちゃんの言葉がずっとずっと、刺さっているのです。「ひょっとすれば、いい人というのは、自分のほかに、どれだけ、自分以外の人間が住んでいるのかということで決まるのやないやろかと、ふうちゃんは海を見ているゴロちゃんやキヨシ少年を見て思った。」という箇所も。
とても有名な本で、読んだことがある人も多い本だと思います。神戸の下町の沖縄料理屋さんで繰り広げられるお話。 戦争が終わり、高度成長期を迎える期間の日本は、苦しみや悲しみをお互いいたわり合いながら手を取りあって支え合っていたのかなと思ったこともありましたが、この本を読んで初めて(初めて読んだのは小学校高学年でした)、沖縄戦線で生き残った人たちが、戦後数々の差別を同じ日本人から受けていたことを知りました。端的に言うと、差別を受け傷ついた人たちが、主人公の少女のふうちゃんの明るさと優しさで前を向いて生きて行く勇気を取り戻していくという物語だけれど、まだ幼いふうちゃんが沖縄で起きた殺戮に正面から向き合う場面は本当に圧巻で、大人になってから何度読み返しても打ちのめされるというか。そして人の心は残酷でもあるけれど、神のような部分もあるのかなと思うのです。
そして、灰谷健次郎さんが編集された小学校低学年の子達の詩集「たいようのおなら」。
ゆうがた おかあさんといちばへいった
かげがふたつできた
ぼくは おかあさんのかげだけ ふまないであるいた
だって おかあさんがだいじだから かげまでふまないんだ
という大好きな詩のほかにも、すごい詩がたくさんあって、何度も何度もページを開きます。
「本をよく読むね」と私は言われるのですが、そうなったのは完全に両親のおかげで(小学一年生から大学を卒業するまで、毎月25日に本を一冊買ってくれたのです。あと、父も非常に本が好きな人だということもあります)ありがたいと思うのです。そして「色々知りすぎて、ひょっとしたら知らなくてもいいことまで知ってしまうんじゃない?」と人から言われたときに、私は冒頭に書いた、太陽の子の、ふうちゃんの言葉を思い出すのです。
「知らなくてはならないことを、知らないで過ごしてしまうような勇気のない人間に、わたしはなりたくありません。」