世界一を目指す中国アニメとビリビリ動画(bilibili)の強さの秘密を考察する
先日、中国のアニメがとても発展していて、今後世界トップのアニメ産出国になるのではないかという内容をシェアしました。
今日はその続編。まずは、アニメ動画の筆頭プラットフォームbilibiliのデータで近年の中国アニメ産業の発展について紹介します。
■中国国産アニメの伸びとビリビリ動画の成長
今までは中国でも日本のアニメがNo1のポジションにいました。でもここ数年で明らかにそれが変わってきている。中国のアニメのレベルが上がった、面白くなった、といった感覚的な評価もありますが、視聴ユーザーの変化でも一目瞭然です。
視聴者数では、去年から中国国産アニメが急成長して逆転、今年は大差をつけて国産アニメの視聴者数が伸びています。
↑bilibiliのMAUのデータ。去年逆転し今年は大差になっていて、このペースだと来年にはダブルスコアになりそう。
海外アニメの視聴者数が低下したということではなく、中国国産のアニメ視聴者数が大幅に伸びているのです。そのポジティブな成果はbilibiliの各データにも表れています。
bilibiliの2020年四半期決算を見ると、MAUは前年同期比54%増で1億9700万人だったそうです。また、平均月間有料ユーザー数は前年同期比89%増の1500万人で、サブスク率は前年同期の6.2%から7.6%へと上昇しています。すごい!
さらに売上高は前年同期比74%増の32.3億元、売上総利益率は前年同期の18.9%から23.6%に上昇し6四半期連続の増益。中国国産アニメの勢いがプラットフォーム全体の成長を牽引していると発表されています。
この図の青い線が収益の推移、オレンジがMAU。MAUの伸びに対して広告の収益の伸びは相関がそこまで高くないように見えますが、それはbilibiliの戦略や収益モデルなどが影響しています。
■bilibili x アニメの強さの秘密
配信する側にとっても、bilibiliはYouTubeのように広告視聴数で収益が決まるプラットフォームではなく、多角的な戦略が求められます。詳しくは以前にnoteで紹介しました↓
ではbilibiliプラットフォームの魅力とはなんでしょうか。
ビリビリ動画ですが、元々はニコニコ動画のパクリ...ではなく、いわゆる二次元オタクが愛用したプラットフォームとして知られ伸びてきました。ニコニコ動画をイメージしていただければ良いかと思いますが、bilibiliもいろんな映像についての二次創作動画に溢れています。決してPGC動画やアニメだけの動画サービスでは無い。
例えば、日本アニメの「Fate」についての解説動画は、登場する器具や歴史上実在してる人物の比較、キャラクターの設定や物語の行方など幅広くあります。中国でもファンが多い「攻殻機動隊」だと、音楽だけに限定しても作曲家の経歴やアニメのOST歴史などの解説動画が人気です。
こうしたコンテンツの深・幅の広がり方はとても重要で、ここ2,3年では中国産アニメも同じような流れができています。一つの人気作品についてはたくさんの二次創作が作られ、その二次創作がまた人気になる。結果、オリジナル作品一つでも長い間話題になり、IP価値が長期間維持されることになります。これこそがbilibiliとアニメの相乗効果で、コミュニティー付き動画サイトの強みが活かされてるのだと思います。
いくら丁寧に作った優秀な有料コンテンツでも、このようなやり方がなければ長期にわたって利益を獲得することは難しい。高額を投資して最初にリリースした時だけ話題になるけど、一時的な有料消費しか維持できなくて、リリース時の人気が落ち着くと認知度が一気に低下。これでは長期間の収入維持が難しいです、思い当たるフシがたくさんありますね。。
「コンテンツあってのプラットフォームですが、知恵のある丁寧な運営が大切、強いコンテンツのゴリ押しや一過性の話題だけでは健康的なビジネスモデルが保たれない」ということをbilibiliから学べます。
ということで、bilibiliの宣伝みたいな文章になってしまった。中国アニメも面白いし中国語勉強にも良いと思うので気になったらぜひ見てみてください。
(参考資料)