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パクリを超越したかに見えたメイソウ(Miniso)が日本ブランドの件で大炎上

中国ウオッチャーのみんなは中国の雑貨ブランドの名創優品(Miniso)はご存じですよね。ロゴがユニクロのパクリ、商品がダイソーのパクリ、内装と商品の陳列が無印良品のパクリで、自称「日本からのブランド」です。

個人的に、5、6年前までは買わないけどMinisoの商品の包装に書かれた変な日本語を見に行くのにちょっとハマってましたが、最近は手頃な日用品が増えて、ディズニーやサンリオやNBAなどとのIPコラボも増えてます。この2、3年は普通に利用するようになりました。

面白い日本語商品についてはかなり前にnoteで紹介したことがあります↓

Minisoは2013年に中国で設立されたブランド。当初の宣伝では「本社が日本で商品開発も日本だ」と主張してましたが、日本社の設立は中国での商標登録より随分遅かったです。拡張に伴い、「日本発」というのはただの宣伝だと認識する中国消費者が多くなりましたが、いまだにMinisoのものが日本の品質や日本の生活スタイルだと信じてる消費者もいます。

そんな経緯をいかがわしくは思うでしょうが、現在は中国国内にも沢山のショップがあるのはもちろん、グローバルにも事業を展開していて世界で5113店舗もあります(6割強が中国にあります)。すごいです。

この名創優品がつい先日、その偽りの”日本ブランド“の件で大炎上しました。

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きっかけは、スペインの店舗がInstagramでプリンセスシリーズのトレーディングボックスの宣伝をしたときに、チャイナドレスを芸者の衣装だと勘違いしちゃったことです。

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↑「geishas」と書いてあります。こんな間違いだけで大炎上ってどうして?...と思うところですが、これには伏線があり、つい先月Diorが中国の漢民族の伝統服装である「馬面スカート」をオリジナルデザインとして新作を発表したばかりで、中国のネットではcultural appropriationに関する議論が盛り上がっていたのです。

(この話も面白いんですが、それだけですごいボリュームになるのでもしご興味があればまたの機会で紹介したいと思います)

スペイン店舗のアカウント運営者の対応もよくなかったことで中国ネットで一気に炎上しました。

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↑その後、Minisoは夜中にWeiboで謝罪声明を発表。間違ったインスタ内容の削除と、スペインのSNS運営代理店との提携を取り消すことが発表されました。また、チャイナドレスが素晴らしい中国文化の一つで、自社も中国企業としてグローバル事業展開を頑張ってると主張しました。

しかしすでに遅い対応だった上に不十分で大炎上は全然止まりません。ネット民の言い分では、今回は完全にスペイン社に非があるだけではないとの意見が主流となります。その理由は「Minisoが長年自分たちが日本ライフスタイルのブランドだと自称していたことで、アジア文化に詳しくないスペイン人がアジアの民族服装であるチャイナドレスを芸者の衣装(日本ブランドだから)だと思い込んだ」というもの。これにはそりゃそうだよねという感想しかありませんね。。

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↑例えば、Minisoのパナマ事業のインスタでは、中国語で「日本創作」と書いてあります。

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↑アメリカの店頭広告では日本からアメリカへと書いてあります。

そして、この後ついに炎上のクライマックスが来ました。

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↑ギリシャやルーマニア、ブルガリアやイランなどの国との提携関係のサイン儀式でMiniso側が日本の国旗を使っているという事実が判明。これでネット民からのバッシングは頂点に。

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↑調べると、当時は今回ほどの炎上ではなかったが、Minisoが情報の暴露者を訴えて情報の削除及び30万の名誉毀損賠償を主張しました。この案件は既に2審の判決が出ていて、裁判官がMinisoの主張を支持していない状態。

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↑また、かつてMinisoの店舗でバイトしていたひとからの暴露が。内部の昇進試験では、「店内でどんな曲を流しちゃいけないですか?」との質問に、答えはまさかの中国語の曲、という答えにびっくりしたと書き込まれていました。

言われてみれば確かに、いつもMinisoの店舗では音楽ではなく、最近の店のキャンペーン告知がほとんどなような気がします。これは日本イメージを保ちたいからか、中国の曲の権利侵害などのトラブル回避なのかはちょっと判断しづらいですが。

いずれにせよ、日本のことにほとんど興味がないネット民にとっては未だにMinisoは日本のイメージが強いです。

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↑今回の炎上で初めて日本企業ではなく、中国企業だと知っていた書き込みも結構多かったです。

Minisoのその後謝罪をしてますが、大きくイメージダウンしてしまいました。今までの強引な“パクリ”戦略の身から出た錆といったところですが、この逆境をどう跳ね返すのかを注目しています。

(参考資料)


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中国情報局@北京オフィス
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