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中国AIの未来が不安。百度ERNIE Botの性能へ中国での評価と大喜利の数々

中国のIT大手の百度がつい先日、自社開発の対話型AI「文心一言」(ERNIE Bot)を公開しました。

ボクも早速トライの申し込みを出しましたが、尋常ではない順番待ちに巻き込まれてます。

ちなみに現時点ではすでに160万以上の人が待っています。このオンライン行列、ofoのシェアバイクの敷金返却以来です(ちなみに返金もらえてません..)。

もちろんすでに利用資格を手に入れた人がたくさんいて、この数日間で中国のSNSではERNIE Botの機能や創作能力などについての投稿が溢れ議論が展開されています

ChaGPTのリリースが世界的に話題になったことの影響もあり、ERNIE Botのリリースも予定より早まり不安の声もありました。ただ、たとえ不備があっても、いち早く公開して実際に利用してもらうことでフィードバックから改善していくやり方は大賛成。

ですが、現状でのいまいちな性能やバグに対しての中国ネット民の使い方やいじりが早速最高に面白くなってますので紹介します。

まず結論から言うと、このイメージのとおりです↓

イケてる車の横にあるゴミ箱

「chatGPT-4に比べればゴミを運ぶやつだ」と辛口の評価が主流派の意見でした。急いで公開されたものだからわからなくもないですね。

特に多い意見の一つとしては中国企業が作ってるのに中国語での精度でも劣ってるよね、というもの。

百度は中国企業だから中国語の検索についてはより強いエンジンの開発ができるとの自信があったのに、ERNIE Botに関してはベース開発が英語中心なのか、データのタグが英語中心なのか、学習データが中国語より英語の方が多いのかイマイチ。

特にimg作成機能での言葉の解釈ついて、試したアルファユーザーたちが分析したところ、英文にして理解させていると思われる痕跡があまりにも多く、これじゃあ入力した内容を英語にしてMidjourneyを利用してそのまま結果を流用してるのでは?と疑われるほどです。

一つの例で、「バスとマウス(computingの方)を書いてください」と依頼する場合に、これらは中国語だと「总线和鼠标」と言う専用名詞となり決して”ネズミと車”と誤解されないのですが、アウトプットされた絵はこんな感じのもの↓

ネズミとバスがピクサーの映画風に

これがバズった後、疑いからみんなが様々なテストを試しはじめ、もう中国のネット民を誰も止められない事態となります。ここからは半分ネタです、そして長くなりますが紹介していきます。

■ 料理系作品

まずは食。食文化が豊かな中国では特色ある料理名がたくさんあり、それらがテストされました(ちょっとエグいものもあるかもしれませんが、一応閲覧注意してください)。

・お題:「鱼香肉丝」(ぼくが大好きの代表的な四川料理の一つ、辞書では豚肉の千切りを豆板醤を主とした調味料で炒める料理と説明しています)

↑魚と、肉の千切りは理解しましたね。

・お題:「红烧狮子头」(肉団子の醤油煮)

↑炎の上のライオンの頭、色系は赤、確かにそのまんまだ

ちょっと言い方を変えて、「红烧狮子头を一皿描いてください」にすれば

↑お皿に入れる醤油系までは理解してますが、狮子头は相変わらずですね。

・お題:「可乐鸡翅」(手羽先のコーラ煮)。ちなみにこれ美味しいし家でもかんたんに作れますのでオススメ

↑コーラになった手羽ですね。そしてなぜコカコーラなんですかね。

・お題:「老虎菜」(ラオフーツァイ)、青唐辛子とキュウリと香菜の冷菜

↑確かに、しばらく中国に住んでもわからない一品ですが、AIにとってはただのトラと白菜ですね。

・お題:「啤酒鸭」(アヒルをビールで煮込んだ四川/湖南料理)

↑ダックがビールを持ってる

・お題:「松鼠鳜鱼」一皿(揚げ魚の甘酢あんかけ)

↑お皿にリスと魚、だんだんネイミングする人が良くない気がしてきますね。

・お題:「雪花肥牛」(霧降牛肉)

↑完全わざとですよね。動物シリーズはこの他にも大量にありました。

・お題:「老婆饼」(冬瓜の餡等をパイ生地で包んで円形に焼いた広東省の伝統的なお菓子)

↑老婆とは中国語では家内のことで流石に英訳は日本語の老婆にならないですが、左の方は完全に老婆で日本語で分析されたんじゃないかと疑うほど。ちなみに右は追加注文の美しい老婆餅ですがもはやお菓子とは全く別になりました。

・お題:「夫妻肺片」(牛のタン、レバー、胃袋などを香辛料を利かせて煮込んだ冷菜)

↑夫婦で肺が登場しました。もう絶対中国語から作成されてないでしょうこれ。さらに美食バージョンで要求したら、ちょっどエグいのがきました↓

中国の料理単語を学習させるのを忘れたのかな。。

■ 熟語系作品

中国語では成语という、熟語での表現がたくさんあるのですが、こちらでもおもしろアウトプットが続出でネット民にいじられてましたのでいくつか紹介していきます。

・お題:「青梅竹马」(男女の幼馴染め)

↑竹と馬が登場

・お題:「车水马龙」(車馬の往来の盛んなさま。交通量が多いこと)

↑車と水と馬の足をしてる龍。中国語についての理解はともあれ、普通にセンスいいですね。

・お題:「虎头虎脑」のデブちゃん(丈夫で元気である、よく男の子に使う)

↑なんだか西遊記にいそう

・お題:「鹅毛大雪」(ガチョウの羽毛の様な雪華(激しく降る雪の形容))

↑小学生の方が四文字熟語の意味を知ってそうなレベルが続きます

・お題:「龙争虎斗  赛龙舟」(竜虎相打つ。力の強いもの同士が死闘する。両雄相戦う。もう一つのキーワードはドラゴンボート競争)

↑トラがボートには乗ってますね

・お題:「赴汤蹈火 壮士」(危険や苦しみをおそれないたとえで水火も辞せず。艱難辛苦をものともしない。もう一つのキーワードは壮士)

↑火を恐れない料理人が登場か

・お題:「鹤立鸡群 人才」(凡人の中に、すぐれた人物が一人まじっていることのたとえ。もう一つのキーワードは人材)

↑凛々しい鶴たちが立っていることは間違いではないのか

・お題:「桃李满天下 老师」(全国各地に教え子がいる。あちこちに自分が育てた弟子がいる。もう一つのキーワードは教師)

↑ただ、おじいちゃんの絵のセンスは良いですね。中途半端なレベルのイラストレーターはすでに失業しそうと怯えているのは日本も中国も一緒

・お題:「热火朝天 劳动」(熱意にあふれるさま。意気盛んに働く。もう一つのキーワードは労働)

↑アニメのワンシーンにできそう、本当に炎の下で仕事する英雄が登場

・お題:「人山人海 展览馆」(黒山の人だかり。人混み、大混雑。英語にも直訳されてpeople mountain people seaという使い方がUrban Dictionaryに収録されています。もう一つのキーワードは展覧館)

↑そこは激混みの故宮の画像でも出力してもらいたかったですね

・お題:「牛逼哄哄 脸」(偉そうな顔)

↑キングダムの漫画に出てきそうですね、これもあってるようなあってないような……


・お題:「襄阳城  固若金汤」(金城湯池の守り。非常に堅固である襄阳城)

↑完全に土砂降りされた襄阳城だね。

というわけで、BaiduでのAIGC完成にはまだまだ時間がかかりそうで、仕事が奪われず内心ホッとしてるところもあります笑

ネガティブな評価や意見が多いのですが、もちろんポジティブなものや、アメリカに負けるなと国産の挑戦を評価や応援する声もたくさんあります。精度についての意見でも、料理や熟語に関するディープラーニングがまだされていないだけで、改善することも簡単だと言う人もいます。

そして個人的にツボだったのは、記者が百度のCEOへの取材で「これらの絵はそれぞれ一体何を書いたのですか?」のちょっと意地悪なクイズ質問に対して、李CEOが堂々と、そしてほぼ全問正解してました笑。動画がありますので良かったら見てください↓

まだだいぶ差はありそうですが、ChatGPTが急激に話題になってから数ヶ月でローンチしてきたことは凄いですし、急速に改善されていくとの見方も多いので期待です。さらに、Baiduだけでなく他のテック企業たちも続々とリリースしてくるので、今後の中華AIの動向をチェックしていきたいと思います。反響があったものについてはnoteとTwitterで紹介していきますのでぜひフォローしてお待ち下さい。

(参考資料)


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中国情報局@北京オフィス
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