インタビュー: Automa Factoryの創設者Morten Monrad Pedersen,ソロゲームデザインの観点から
本記事は、2020年12月1日、ボードゲームサイトDiagonal Moveに掲載された以下のインタビュー記事を翻訳したものである。掲載にあたりDiagonal Moveの運営者Neil Bunker氏から翻訳及び掲載の許諾を得ている。
(補足)
Automa Factoryは、ワイナリーの四季、サイズ、ウイングスパンといったStonemaier Gamesの作品、ガイアプロジェクト、パッチワーク等の有名ゲームのソロルールを作成している会社である。黒い横顔、その中央に歯車のある印象的なロゴを見たことのあるボードゲーマーも多いと思われる。
日本国内の作品(同人作品を含む。)において、通常の多人数用のルールに加えて、ソロルールを独自に搭載したゲームについてあまり見聞きしたことはない。
多人数用のゲームのソロプレイが好きな人も一定数いるだろう。多人数で集まりにくいご時世でもあり、ソロルールの需要は少なからず高まっているとも考えられる。
そこで、普段ソロルールでボードゲームを遊んでいる人にとどまらず、創作・出版する側においても何かしらの意義があると思われたので、本記事を翻訳した。
※以下の翻訳では、インタビュアーをDMとし、インタビュイーをMMPとする。
※原文において、1人用のゲームを指すのか、1人プレイ用のルールを指すのか判然としないことから、翻訳においても特に区別して表記していない。ソロプレイ、ソロモード、ソロゲーム、ソロ、1人用のゲーム等の表記があるが、できる限り原文に従った。
DM: Mortenさん、今日はインタビューを受けてくれてありがとうございます。あなたは、Automa Factoryという多人数用ゲームのソロプレイ版を作る専門のデザイン会社の創業者ですね。他人のゲームのソロモードを作るのは、とても特殊でニッチな仕事だと思います。そこで、あなたの(ゲーム)デザインに関する経歴とこんなニッチな仕事に携わることとなった至ったお話を教えてください。
MMP: 間違いなくとても特殊でニッチな仕事だよね。もし、数年前に、ボードゲーム用に生きてるような人工の対戦相手を作って生計を立てることができるかって聞かれたら、そんなこと言い出す奴は間違いなく頭おかしいって思うよ。
話は私に息子が生まれ、また、友人の多くも子どもを持ち始めた時にさかのぼる。突然、自分たちが卓を囲んで一緒にゲームする時間が限られてるということにふと気づいたんだ。
1人用のボードゲームがあるってことは知ってたんだけど、いつもなんか違和感あるなぁ…って印象だった。つまり、テレビゲームをすればいいんじゃんって思っていたんだ。でも、テレビゲームは私のツボを押さえてこないな(video games didn’t scratch the itch I wanted scratched)とわかったので、ダメだろうなと思いつつ、1人用のボードゲームを試してみたんだ。
The Lord of the Rings: The Card GameやDawn of the Zedsを試してみて納得したよ。これらのゲームは、最高のボードゲーム体験となったんだ。
しばらくの間はソロゲームを遊んでいて、その後,ソロゲームに関するブログを立ち上げて、プリントアンドプレイ(PNP)のソロゲームデザインコンテストに参加した。
これと同時に、偶然にも、Stonemaier GamesのJamey Stegmaierと知り合いになったんだ。というのも、休暇をとって家族でトスカーナのワイン園を訪れていて、Jameyがトスカーナのワイン園経営に関するゲーム(ワイナリーの四季)のキックスターターを始めた頃、ちょうど家に帰ってきたんだ。本当に偶然なんだけど、そのおかげで、私がそのゲーム(ワイナリーの四季)をチェックすることとなり、終いにはJameyと会話して情報を提供するようになった。
ワイナリーの四季の拡張トスカーナの開発をしていた時、プレイテストしていた人からソロモードを要望されたことから、ソロゲーマーではない彼(Jamey)は私に話を持ってきたんだ。
ワイナリーの四季のソロモードがうまくいったので、それ以降、Jameyは、基本ゲームか拡張のどちらかの形式で、全てのゲームにソロモードを作って欲しいと私とチームに依頼するようになった。
また、ほかのパブリッシャーとも仕事をするようになった。例えば、ガイアプロジェクトやテラミスティカのFeuerland、グレンモアⅡのFuntails、Hostage Negotiator: Circle of Automa(ザ・ネゴシエイター〜人質交渉人〜の第5拡張)のVan Ryder Games、パッチワーク(ただし、プロモのソロモード作成に関与)のLookout Gamesがある。
DM: あなた自身のデザインの経歴に影響を与えたソリティアゲーム(具体的なデザインや多人数ルールのバリアントルールとしてのソロルール)はなんですか、その理由も併せて教えてください。
MMP: さっき言ったとおり、PNPのソロゲームコンテストに参加したんだ。そのコンテストに提出されていた作品の一つにMaquisと呼ばれるゲームがあった。ワーカープレイスメントシステムのゲームで、カードを引いて敵のワーカーを配置するゲームだ。(Maquisで採用されてる)このシステムは、同じようにワーカープレイスメントゲームであるワイナリーの四季で、人工の対戦相手を作るのに刺激になったよ。
余談になるけど,Maquisは、PNPのルーツを超えて、数年前にSide Room Gamesから出版されたんだ。チェックしてみてほしい。
僕がゲームルール自体を知らなくとも、アナクロニーを初めとするDavid Turcziのbotにも刺激を受けているね。
変な話に聞こえるかもしれないんだけど,ほかの人たちが、botについて次のように話しているのを聞いたことがある。繰り返し指摘されている特徴は、彼の作るbotが、プレイヤーに自分が次に何をしたら良いかについて洞察を与えるかのような動きをするということだ。まさに、みんなが、生身の人間の対戦相手の行動を推測できるのと同じようにね。
これは、初期のAutomaにはなかった特徴だ。私たちは、それ以降のAutomaに(この特徴を)実装するように取り組んだけど、より良いものにしようと考えている。ただ、予測がつきすぎちゃうと、ゲームが面白くなくなるから、バランスを取るのに苦労してるんだ。
そのほかに、私のアイディアに直接影響を与えたと自覚しているゲームやバリアントルールは思いつかないな。でも、無意識に影響を受けていると思うし、チームも仕事をしていく中でお互いに強い影響を与え合っているね。
DM: ほかの人のゲームに適合したAutomaを作るよりも、Automaをベースにしたオリジナルゲームを作りたいと思ったことはありませんか?
MMP: 今、何個か自分の作品を製作しているところだよ。けど、数か月前にパブリッシャーと契約するまでかな。それ以降は、自分のゲームのソロモードは二の次になるさ。お金をもらうってそういうことだし、締切もタイトなことが普通だからね。
Jamey Stegmaierは、今、私が取り組んでいるゲームに大きな影響を与えてくれた。(自作)ゲームの一つは、私のお気に入りソロゲームデザイナーのShadi Torbey(オニリム等の作者)から多大なインスピレーションをもらっている。
私自身が今取り組んでいるゲームは、最初からソロプレイを念頭に置いており、人間のプレイヤーに代わってAutomaが活躍する必要はないんだ。
この種のデッキ(ここでは、Automaでよく用いられているようなカードの山を指す。)は、もちろんほかのことに使われるんだけど、(自作ゲームでは)今のところそのような使い方をしてはないね。25個のゲームや拡張で(そういう)デッキを使ってきた後だから、違ったことに使えたらよいと思ってる。
DM: Automaのデザインプロセスを教えていただけませんか。オリジナルのゲームのどの部分を残し、どの部分を修正し、どの部分を採用しないのか、といった決定プロセスはどんなものですか。
MMP: 私の場合、ソロモードを作るにあたって、6つのデザインの原則に従うことにしている。
1.人間の代わりとなる人工のプレイヤー(Automa)を使う。
2.そのゲームを遊んでいる人間が、多人数用ゲームの時と同じルールで、遊べるようにしなければならない。
3.プレイヤーは、多人数で遊んだ時と同じような決断に直面しなければならない。
4.重要なプレイヤー間のインタラクションが起こるようにしなければならない。
5.プレイヤーは、Automaに代わってその意思決定をしてはならない。ただし、稀であるが、協力的な要素やテーマ上の理由から、(Automaに代わってプレイヤーが意思決定をする)意味がある場合を除く。
6.Automaのルールは、前記1から5までの原則を達成できる限度で、可能な限り簡素で合理化されていなければならない。
仕事に取りかかる際、議論の最初の項目は、ゲーム内で中核となっているプレイヤー間のインタラクションを特定することなんだ。次に、ゲームに忠実に従いながら、こういったインタラクションにおける他のプレイヤーがもたらす影響を再現する方法を解明することになる(原則2から4まで)。
そして、Automaにとって無駄な部分を全て削ぎ落としながら、インタラクションを再現したルールを合理化し、均質化していくことが目標になる。この作業の1つの例が、サイズにおけるプレイヤーマットだ。プレイヤーマットは、他のプレイヤーに直接影響を与えるものではない。そこで、サイズのAutomaにはプレイヤーマットを実装しなかった(原則6)。
実際のプロセスは、私が説明したみたいに、段階がきれいに分かれているわけではない。このプロセスは、サブシステムを放棄したり、取り替えたりしながら、何度も何度も繰り返すことになる。
ソロモードの品質確保のために、外部のテストプレイヤーに参加してもらって出来具合を試してもらっているんだけど、彼らのテストプレイ回数は平均して数百回に及ぶ。もちろん、テストプレイの回数はゲームによって異なるんだけど、現在進行中の仕事では700回を超えており、これに加えて、私たちだけでも500回のテストプレイをしているところだ。
テストプレイヤーは微修正すべきところや放棄すべきところを決める際にとても役に立ってくれている。例をいうと、Euphoriaの拡張であるIgnorance is Blissという作品では、大体、7回ほど作ったものを放棄してやり直しになった。テストプレイヤーのフィードバックがあんまり良くなかったことが原因だったんだよね。
少し小さい規模感の話をすると、テストプレイヤーのフィードバックは、ルールのインストがうまくできない部分とか、プレイヤーが誤解しやすい部分とかの特定にも役に立つんだ。私たちの仕事は、そんな粗い部分を滑らかにしたり、メカニズムの不快な部分を取り除いたりするということでもある。
もちろん、ルールの粗い部分を発見することが自分たちの仕事に含まれることもあり、時々、5つのルールを4つに減らすために、同じように伝わるようにとか、もっとわかりやすく説明できるようにとか、もっと少ない言葉で説明できるようにとか考えて、何日も費やすこともある。
オリジナルゲームの要素を一部取り除くことに関していうと、人間のプレイヤー側の視点からはほとんどすることがない作業である。私たちは、全てのゲームがプレイヤーのためにあってほしいと考えている(原理2から4まで)。
時として、ゲームに要素を加えることがある。でも、タペストリーの拡張である陰謀と策略においては、1人しかできない5つのシナリオを作ったんだ。
DM: デザインのプロセスは、長年にわたってどう発展してきたんでしょうか。新しいAutomaのデザインは、今までのAutomaのデザインの焼き直しであり、多人数用ゲームに適合するようにデザインされたものと考えられるのでしょうか。
MMP: 私たちは、いつも、多人数用ゲームにできる限り忠実であろうとしている。私たちは、デザイナーの家に招かれた客であり、デザイナーの家の模様替えができるような立場ではないんだ。だから、いつも多人数用ゲームに合わせてソロモードを作っている(原理1から4までを見てほしい。)。
私たちは、今までのAutoma製作の経験を利用して新しいものの改良に勤しんでもいる。いうならば、焼き直しでもあるし、適合でもある。
例を示すと、最初のAutoma(ワイナリーの四季)では、ゲーム中のAutomaの行動に何ら進歩がみられない。サイズでは、ゲームの中盤でその性格が変わって、ゲーム終盤に適合するように2段階のAutomaを製作した。次の段階がガイアプロジェクトだ。そこで、Automaは、徐々に戦略を進化させていくようになった。Euphoriaは、より緻密にコントロールされ、多人数ゲームの進行を反映してデッキが進化していくので、このアイディアの最新版(current iteration)に見えるかもしれないね。
同じように、ワイナリーの四季、ふたつの街の物語、サイズ、ガイアプロジェクトと順を追ってみると、アクションを選択するシステムについても進化させている。
DM: 多人数用ゲーム製作のどの段階であなたの作業が始まるのでしょうか。また、多人数用ゲーム側の間際のルール変更が、どの程度、(あなたの)デームデザインの作業に影響が生ずるのでしょうか。
MMP: ゲームがまだデベロップ段階にあったとしても、もはや大きな変更がされなければ、出版社からプロトタイプのファイルをもらっている。これに基づいて、私たちは、Automaのための大まかな枠組みを作る。
ゲームのデベロップが進み、変更の割合が減ったら、大まかな枠組みであったものを、完全に機能するプロトタイプにした上で、最初の数人の外部のテストプレイヤーに来てもらってる。
ゲームがほぼ完成したら、徐々に本格的な外部のテストプレイに移行し、出版社のグラフィックデザイナーが基本ゲームのファイルを完成させた時に、私たちのほうのファイルが納品できることを目標にしている。
多人数用ゲーム側の変更による影響の程度は場合によるかな。ただ、私たちは、多人数用ゲームを模倣しているので、私たちのほうの(ゲーム)システムは、(多人数用ゲーム側の)変更に敏感に反応してしまう。
ふたつの街の物語のデベロップ中に、得点計算システムが思いのほか大きく変わったことがある。Automaは、当初の得点計算システムに大きく依存するものであったことから、私たちは多くの作業をやり直すことになった。
最悪のケースは、ワイナリーの四季のエッセンシャル版(アークライトの完全日本語版に相当)だった。収録される拡張モジュールに変更が生じ、初版で作った後に2回ほど、9つのシナリオを作り直さなければならなかったんだ。
偶然だけど、先週末、私たちが作っているソロモードが出版社からの間際の変更にどれほどうまく対処できるかってことについて、起きている間ずっと考えていたんだ。幸いなことに、なんとかやり遂げてやったけどね。
DM: あなたやチームが携わったゲームの中には、非対称であったり、レガシー要素があったり、"複雑な"ゲームだと多くの人が思ったりするようなゲームがあります。適合させるのに最も困難でやりがいのあったゲームは何ですか、理由と共に教えてください。着手したけど、敗北を認めることとなったデザインはありますか。
MMP: 非対称性は、みんなが思ってるほど大きな問題ではないかな。開発当初から、Automaをそのようなメカニズムの影響を受けない(insulate)ようにしている。
とはいえ、非対称性がトラブルを起こす場合だってある。タペストリーでは、非対称な16個の能力(faction)があり、そのメカニズムの中には、たった1個の能力のとある部分を支援するために、かなり複雑な操作をAutomaに加える必要があった。そこで、もう単純にそういう能力は取り除くことにした。こうして、プレイヤーが使用できるのは12個の能力となり、バランスを欠いても構わないのであれば、3個の能力も使用できることにした。
1人で遊ぶ場合において、全ての能力が同じくらいの強さであることは、多人数で遊ぶ場合ほど重要ではないという利点もある。それは、多人数のプレイにおいては不公平感やイラつきとなり得るけれども、1人のプレイでは、微妙に異なる難易度として機能する。バランスを気にしないというわけじゃない。バランスを整えるために、膨大なプレイテストを行うんだけど、能力間に多少の違いが出たとしても問題がないというのが私の見解となる。
私たちは、多くのルールやゲーム構成に対応できるようなAutomaを作る必要があることから、チャーターストーンのレガシー要素はとても困難だがやりがいのあるものだった。普段,人工的な対戦相手を動かそうという気がないノンソロゲーマーにとっても価値のあるAutomaを作りたいって思ってるから、更に困難な仕事となってるけどね。つまり、とても合理的で洗練されたAutomaを作らなければならないってことさ。
ソロモードを作るにあたってもっとも困難だった仕事は、おそらく、サイズにおけるボード上の(ワーカーの)自由な動きだったと思う。単純にダンボール製のbotを置いただけでは対応できなかったことと当時の私たちは経験が浅かったことの2つの理由がある。膨大な作業量だったけど、プレイヤーからのウケも良く、苦労が報われたかなって思う。
私たちがソロモードの製作を諦めたり、頓挫したりしたことはない。最近、私たちが手がけているゲームで、残念ながらまだ詳しくは言えないものがある。そこでは、テストプレイヤーの大多数が私たちが作ったものを気に入ってくれなくて、プロジェクトの途中だけど、全ての作業を没にして、最初からやり直すことにした。これには、さっき7回作り直したって言ったEuphoria: Ignorance is Blissは含まれてない。これ(Euphoriaの拡張)はソロモード(の構造自体)とは関係のない話だったからね。
開発中のソロモードが2つあるんだけど、Automaによる製作が適切ではないことがすぐに判明したよ。これは初めての経験になった。
DM: Automaを作ってみたいと思うゲームの「バケツリスト」(bucket list, 死ぬ前にやっておきたい、達成しておきたいリスト)にはどんなものがありますか、理由と共に教えてください。
MMP: Keyforgeは遊んだことがないけど、本当に面白そうなので、試してみたいと思ってる。ちょっと関連するものでは、Warhammer: Invasionは私の愛するゲームで、公式のソロゲームがないんだよね。ただ、いつもどおりのやり方では、うまくソロモードが機能しなさそうとは思ってる。
次に、失礼だなんて捉えてほしくないんだけど、Uwe RosenbergのゲームにはAutomaを作ってみたいものがある(例えば、アグリコラやヌースフィヨルド)。KeyforgeやWarhammer: Invasionとは対照的に、Uwe Rosenbergのほとんどの作品は、理想的なAutoma製作の素材だ。
これらのゲームにはすでにソロモードが実装されてるんだけど、それらは"自分のハイスコアを叩き出せ"というタイプのものだ。私は、ゲーム体験をそのままソロに引き継いでくれるような人工的な対戦相手がいたほうが望ましいと思ってる。
この発言は、Uwe Rosenbergを怒らせるために言ってるわけじゃない。私は、彼に畏敬の念すら抱いてる。個人的には最も偉大なゲームデザイナーの1人と思ってるし、私のトップ10のソロゲームの中には彼の作品が3つも含まれている。
ということで、私がUwe Rosenbergよりもよく知っているだとか、私のほうが優れたソロモードデザイナーだとか言うつもりはないよ。むしろ、ソロモードにおける好みが彼とは異なっていると言ってるだけなんだ。
DM: 今後、Automa Factoryから期待できることはなにがありますか。
MMP: テラミスティカ、グレンモアⅡ: クロニクル、ふたつの街の物語のためのソロモードがもうすぐ出る。また、残念ながらまだ話せないんだけど、進行段階は様々だけど、4つのAutoma製作の仕事を抱えてるよ。
ソロモードの仕事以外をいうと、私が一からデザインしたForeshadowというゲームが出版社との契約に至ったよ。まだやるべき作業がたくさん残ってるから、すぐに出るって期待しないでほしいな。
DM: 振り返ってみて、最初から知っておけばよかったことはありますか。また,そのことによって、ゲームデザインのキャリアな影響があると思いますか。
MMP: もちろん、一般的なゲームデザインについて学んだことを最初から知っていたり、自分のデザイン原則が確立されていたら、今と同じくらい上手くデベロップできるので強みになってただろうね。僕には卓越した特別なものはないよ。私は、この道筋(journey)を楽しんでおり、最初から今持ってる知識や経験があることで、それ(道筋)がなくなっちゃうのは嫌かもね。
キャリアの面では、15年間にわたり、プログラマー、サポーター、チームリーダー、プロジェクトマネージャーを務めており、関連する多くの経験がある。その全てが、とても役に立っている。
最初から知っておきたかったことってのは、実は、自分の仕事量をコントロールすることなんだ。でも、いまだにどうしたらよいかわかってないよ…。
DM: ゲームデザイナーを目指している人たちに何かアドバイスをすることがありますか。
MMP: まず最初にやるべきことは、ゴールは何かを明らかにすることだ。
楽しんだり、湧き出る創作意欲(creative rush)を感じたりしたいのかも。そうだったら、出版までこぎつけようとするのではなく、まずはプロジェクトをスタートして、楽しくなくなるまで続けて、次の作品製作に移ったらいい。
こうすれば、退屈な仕事をしないで、何度も何度も、気持ちよくなる創作意欲が湧き出てくる。
もし、出版に漕ぎ着けたいならば、ゲームデザインは楽しくて、いいことづくめだ(rainbow unicorns)って考えは捨て去らなきゃならない。そういう面もあるけど、ほとんどの場合は仕事だからね。
この2つの道のどちらが正しいとか間違っているという話ではなく、単に異なるものってことなんだ。
もし、出版するという道を行くと決めた場合、僕が言わなきゃいけない重要なことは、毎日、粘り強く、多くの努力を注ぎ込めば才能をも打ちのめすってことだ。素晴らしいゲームを作るためには、最も才能あふれるゲームデザイナーである必要はない。たとえ、最も才能あふれるゲームデザイナーだったとしても、粘り強く、多くの努力をしないのであれば、何もすることができない。
プロジェクトが退屈な作業と化したとしても続けなければならない。友達がビーチに遊びに出かけても、家にこもって作業しなければならない。失敗するたびに気を取り直して、その失敗を分析しなければならない。
ゲームデザインに関するあらゆる情報を得られるだけ読んで見て聞かなければならない。好きなゲームや嫌いなゲームを分析して、何が機能しているか、どの部分が好きで嫌いなのかを理解しなきゃいけない。
(終わり)
Mortenのブログは以下のリンクを参照してほしい。
Automaの手法について更に理解を深めたいのであれば、以下のリンクを参照してほしい。
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