デザイナーの主観による「アース」と「アーク・ノヴァ」、「テラフォーミング・マーズ」、「ウイングスパン」等の類似のボードゲームとの比較(Earth comparisons to Ark Nova, Terraforming Mars, Wingspan, Race/Roll for the Galaxy and Gizmos, Earth’s designer POV)
訳者まえがき
本記事は、Maxime Tardif氏が2023年3月10日にBGGのフォーラム上に投稿した「Earth comparisons to Ark Nova, Terraforming Mars, Wingspan, Race/Roll for the Galaxy and Gizmos, Earth’s designer POV」の翻訳である。
Maxime Tardif氏は、リゴレから日本語版が発売される予定の「アース」のデザイナーである。「アース」は、Kickstarterにおいても成功を収めたところであり、YouTube上で多くのレビューが見受けられる。
「アース」のレビューは、過去の類似作品と比較されていることが多いようだ。本記事は、類似作品との比較をデザイナー自らが行うという風変わりな内容となっている。デザイナーからの視点(POV)という面は、読む際に注意をしておけば、何ら否定的な意味合いをもつものではないだろう。こういう見方もあるけど、それは違うよなというところもあるが、それは読者において考えるところではある。
翻訳の許諾を取るに当たり、Maxime氏に連絡をしたところ、以下のメッセージをいただいたので、紹介しておきたい。
フォーラム上の返事等を併せて考慮すれば、気前の良く、それなりに知的で、ハッカー文化的な側面を持つ、善人のあんちゃんであると感じられると思う。本記事の冒頭部分の要約にもなっているはずだ。
本記事の後に、大量のユニークカードを用いたエンジンビルドゲームの製作に関して詳細に述べられた「アース」のデザイナーズ・ダイアリーを翻訳する予定である(※その後、翻訳した)。本記事は、通常の記事の4倍から5倍の文字数となったので、目次を付した。興味のあるところから読んでいただいても差し支えがないが、全文を読まないと誤解するところがあるかもしれない。
なお、念のために申し添えておくが、本記事はやや宣伝気味の内容となっているものの、翻訳するに当たり、利害関係者から金銭的な利益等は受け取っていない。
元投稿は、以下のリンク先を参照されたい。ヘッダー画像は、BGGから引用している(クレジット: 左から右へ上から下へ順にW. Eric Martin、Frank Heeren、Enoch Fryxelius、Jamey Stegmaier、Surya is pure Eurosnoot and proud of it!、W. Eric Martin、Fred A.)
はじめに
やほ、「アース」を心待ちにしている地球人のみんな(Earthers)! 私は、「アース」のデザイナーのMaxime Tardif。最近になって、「アース」と他のエンジンビルドゲームとの共通点と相違点について多くの質問をもらうようになったんで、この投稿をしたんだ。すなわち、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」、「テラフォーミング・マーズ」(「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」も同じく)、「ウイングスパン」、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」、それに「ギズモ」といったゲームだ。このトピックについては、既に相当数の質問に答えている。だから、この情報を効果的にやりとりするための最善の方法が、BGG上で投稿を作成することだということを見つけ出した。そうすれば、この問題に関する考えを共有して交換することができる。この投稿は、上記の各ゲームと「アース」との間の共通点や相違点を理解する手助けとなるツールや案内としても用いることができる。「アース」のボードゲームデザインについて正確な詳細に立ち入るつもりはない。興味がある人に向けて、既にBGG上に詳細なデザイナーズダイアリーを書いたんだよね。
The Dice Tower(※ボードゲームレビューサイトの最大手。YouTubeチャンネルが有名)を知っている人たちに対して言うと、彼らの「アース」の最新のレビューの中で、全ての人が「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」、「テラフォーミング・マーズ」、「ウイングスパン」といったゲームと「アース」を比較することになるだろうと言及していたんだ。このスレッドは、このトピックに関する情報を1箇所に集めるのに有益なツールとなり得る。他のデザイナーは、後でこれを精査することができるようになって、多分だけど、デザインするのに役に立つツールの一種として利用することができるかもね。こういったことは素晴らしいことで、最終的にはより良いゲームが生み出されることによってコミュニティが繁栄するのに資する。この種の考え方が私たち全員の利益になると心から信じているんだ。
私が「アース」をデザインしたので、この話題について100%バイアスがかかってるのは留意しておいてほしい。だから、私の言うことを割り引いて聞いてほしいし、下のセクションにあるコメントはご自由に書き込んでほしい! こういったゲームに関して何か質問がある人に向けて言っておくと、これらのゲームは全て素晴らしいと考えているし、私は全部のゲームが好きだ。心の底から、どのゲームを選んだとしても間違いはないと思う。個人的には、これらのゲームはトップクラスのエンジンビルドゲームで、求められたらいつでもプレイするさ。
「アース」を製作した理由は、最高の戦略ゲームというのはエンジンビルドゲームだと個人的に思うからだ。というのも、一般的に、エンジンビルドゲームは、他の形式のゲームよりも深さをもたらすからね。単に少しのカードを組み合わせてユニークなコンボを作り出すということは、高いリプレイ性や戦略、多くの選択肢を生み出す。10枚から30枚までの間のカードをプレイするあらゆるゲームは、毎回異なる組み合わせとなり、200枚以上に至る異なったユニークカードを用いる可能性がある。他の種類の戦略ゲームではこういった性質を再現することは困難だと考えている。他の種類の戦略ゲームでは、ユニークカードが少なくなったり、トークンが増えてしまったり、もっと線形的で、勝つためにしなければならないことをプレイヤーに指示するゲームに適切だったりする。
「アース」と先ほど述べた他のエンジンビルドゲームとの違いを見つけるとしたら、具体的には、「キャリコ」、「キングドミノ」、「カスカディア」、「Ecosystem」、「Arboretum」といったパターン構築ゲームと比較することもできるところだ。「アース」は、純粋なパターン構築ゲームではない。しかし、時として、ゲーム終了時の得点が、構築したパターンによって大幅に決定されることがあるし、ほとんどのゲームにおいてパターン構築要素が多く含まれる。「Ecosystem」と「Arboretum」は、BGGによればタイル配置ゲームと考えられているので、「アース」だって同じだ。私は、BGGのページにそのメカニズム(タイル配置)を付け加えて、現在、BGGの承認待ちという状態だ。「アース」は、同様にセットコレクション要素が多分にあるので、セットコレクションのゲームとして分類される可能性もある。この記事のために、「アース」とエンジンビルドゲームとを比較することにするよ。その辺については、既に十分言ったもんね。
ここで比喩を用いるとすれば、私が車のエンジニアだったならば、「アース」で試そうとしたことがある。多分、失敗しているのだけど、少なくとも挑戦してみたんだよね(笑。それは、トヨタのエンジンだ。これは、消費者のためにできるだけ安い値段だが、本当に頑丈で、実直で、信頼できるもの(バランス)だ。私は、このトヨタのエンジンにフェラーリ(早いスタート、早い展開、多くの報酬、ダウンタイムなし、手っ取り早いセットアップと片付け)のパワーと興奮を持たせようとした。車には、テスラ(単純なルール、緩い制限、膨大なオプションとリプレイ性)と同じくらい多くの手に取りやすいオプションをつけたかった。そうね、おそらく下手な比喩だろうということはわかってるさ。けど、みんながポイントを掴んでくれるといいなと思う。「アース」は、トヨタでも、テスラでも、ましてやフェラーリでもないのが正直になところだが、夢を見たいんだよね🙂!
さてと、本題に戻るとして、今日の時点で、各ゲームについて私がプレイした総回数は、以下のとおりだ。
347回 「アース」
8回 「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」
18回 「テラフォーミング・マーズ」
14回 「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」
132回 「ウイングスパン」
27回 「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」
55回 「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」
24回 「ギズモ」
だから、そう。私の意見を注意して聞くべきもう1つの理由は、他の全てのゲームを合計した回数よりも「アース」をプレイした回数のほうが多いからだね。はは、今まで気づかなかったよ! まあ、それでも各ゲームをそこそこプレイしてるし、類似点とか、「アース」で試そうとした他とは違うところを明確に示すことができると思う。私は、世界レベルで見ても、これらのゲームをかなりの数プレイしたプレイヤーの1人に違いないだろうさ。これらのゲームの概観を伝えることができるのに十分な経験があると思う。また、「アース」のデザインが完成した後に、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」や「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」を知ったりプレイしたりしたことは注目に値する。だから、類似点が見られるとしても、同じエンジンビルドゲームの家系に属するからってことだ。
この記事での課題と目標は、感情や感覚ではなく事実を用いて異なるゲームを比較することで、できるだけ最大の客観性を保つことにある。これらのゲームの1個1個に対して小さい比較をしようと思う。もっと客観的になるために、できる限り、数値で比較しようと思う。数値には感情がない上に、たくさんの情報をもたらしてくれる。こういった営みをしている理由は、私の中核的な価値観の1つが、できる限り透明性を保ちたいというものだからだ。私は、自分の頭の中にあることをみんなと共有したい。そうすれば、みんなと意見交換ができる。ここで交わされたことをゲームデザインを向上させるために用いることができるようにしてほしいね!
このトピックに入る前に、デザイナーとして自分のゲームと他のゲームを比較することに対して怒り狂う人も中にはいるだろうということにも気づいている。他のゲームの大部分については、今まで作成された中で最高のゲームに含まれていると考えているんだけど。こういった営みによって、「アース」に対する毀誉褒貶な評価やレビューがBGG上で生み出されるだろう。でも、私は気にしないし、全然良いことだよね。
"実生活"では薬剤師として、怒り狂っている人や幸せな人とやりとりすることに非常に慣れている。毎日、面と向かって、遅すぎるとか、バカとか、役立たずとかと言うような怒ってる人と接する。その後、次のお客様が来て、今まで会った中で最高の薬剤師だと伝えられる。だから、この10年間の薬剤師であることの体験があるので、こちらでも同じような反応の流れがあることが予想される。けど、それで問題ないし、避けられないことだ。人生において、何をやったとしても、どんなに一生懸命作業をしたとしても、どんなに良いことをやったとしても、引きずり下ろそうとする人と、持ち上げてくれる人がいる事実を変えることはできないと気づいたんだ。このことは、何をするにも当てはまる。かつて、アーノルド・シュワルツェネッガーと呼ばれる偉大な哲学者は、成功するための6つのルールという有名なスピーチの中で言っていたように、何でも反対してくるクソ野郎は無視しろだとさ(笑。
そのスピーチを見たいのであれば、ここにリンクを貼っておくよ。素晴らしい5分間だ😉。
こういった理由から、私は、「アース」について、みんなを喜ばせようとすることをやめたんだ。単純に、そんなことは絶対にあり得ないしね。ただ、限界まで自分を押し上げて、自分のわずかなノウハウの範囲内で、今まで考えついた中で最高のゲームを作ろうとしただけだ。私と私の彼女が持っているどのゲームよりも楽しいものをね。自分に言い聞かせていたのは、できるベストを尽くすこと、他人が何を思おうと、誇りを持って心の底から自分が持っているものを全て注ぎ込んでいると分かっている限りは、目標に辿り着くだろうということだ。自分自身を信じよう! それこそが自分が目標とする必要のあることだし、こういった理由でこの投稿を書いているんだ。私は、その全てをみんなと共有したいと思う!
十分に話をしたね(笑。「アース」と他のエンジンビルドゲームとを比較するという本題を始めよう。
「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」
「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」についてこれ以上に何を言うべきだろうか? このゲームは、この1年で、レビュー、BGG、ソーシャルメディアといったあらゆるところで語られ続けている。BGGのオールタイムランキングで4位に到達し、率直に言うと、素晴らしいゲームだ。また、おそらく、このゲームはリストの中で「アース」から最もかけ離れているだろうが、それでも、明白な類似点が見られる。両作品とも自然をテーマにしていて、深い戦略ゲームで、ユニークカードで構成される大量のデックが中心となっている。例を挙げればキリがない。
上述したように、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」を最初に聞いた時には、「アース」のデザインは既に完了していた。だから、両作品の類似点は、おそらく着想を得たゲームが共通していたことに由来する。「アース」が、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」から直接参照したものは何一つない。
プレイ時間
私の理解する両作品の最大の違いはプレイ時間だ。「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のルールを既に知っている人たちとプレイしても、私は、いまだに「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」の2人用ゲームで1時間30分を切ったことがない。他方、「アース」の2人用ゲームでは、大抵の場合、約40分で終わるし、時には、30分で終わることもある。だから、時間が重要な問題だとすれば、「アース」は、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」よりも早く終わる。
「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」では、お金やカード引きによって良いエンジンが構築されるまでにしばらくしてからということもあり得る。他方、「アース」では、それが初手番から始まるかもしれない。プレイヤーは、最初から楽しめて強力であると感じられる。だから、この点では、「アース」に部があるね。
戦略的な可能性、深さ、リプレイバリュー
両方のゲームとも、戦略的な可能性、深さ、得点手段が豊富にあるのが特徴だ。複雑さという観点からは、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のほうが複雑で(heavier)、熟練したゲーマーを喜ばせるだろう。様々なトラック、移動するカード、動物園、アップグレードが伴い、このゲームには多くのメカニズムが組み込まれている。このことによって、関連する要素が多くなるので、その代償としてプレイ時間がかかるゲームとなっている。時間が重要な要素ではなく、やりごたえのあるゲームのほうが好きなのであれば、「アース」よりも「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のほうを好むかもしれない。また、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」は、似たような戦略的な体験をするために、「アース」よりもルール説明するための時間がはるかにかかる。だから、その点は、同じように考慮要素となるかもしれないね。
深さやリプレイ性を比較するとすれば、どちらのゲームも存分に備わってるね! 正確で客観的な数値を出すのは難しいけれど、できるだけやってみるよ。それぞれのゲームの変化の度合いの大部分を規定するゲーム中の様々な目標を比較してみる。「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」では、12枚の基本となる保全計画カードと、10枚の最終得点計算カードがある。「アース」では、46枚のファウナ(Fauna, ※動物相)の目標と、64枚のエコシステムの最終得点計算カードがある。だから、それぞれ約4倍から6倍までの差があり、かなりのものだ。けれども、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」では、ゲームごとに異なる9つのボーナスタイルがある。両方のゲームの山札は、大量の得点カードが特徴的だ。私は、全ての選択肢を体験してないが、どちらもたくさんの選択肢を有する。283枚のアースカードと、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」における212枚の動物園カードの対決だ。ここでも、同じく「アース」の方が多いね。
バリエーションの多さやリプレイ性に関して続けると、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」では、8枚の両面プレイヤーマップがあり、合計すると16個だ。「アース」では、20枚の島カード、20枚の気候カード、64枚のエコシステムカードから選択するので、開始時には25,600通りの可能性がある。そうね、その中の多くは非常に似ているだろうが、「アース」にはかなり多くの可能性がある開始ボードがあることが理解できるよね。
全体として、数値を見れば、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」よりも「アース」のほうが、バリエーション、深さ、リプレイ性が存分にある可能性がある。
ゲームの流れのよさ
ゲーム中の流れのよさ(Fluidity, ※ゲームに関する学術用語とは別の意味のようであり、スムーズさと言い換えてもいいかもしれない。)に関していうと、「アース」では、全員が常に参加していて、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」よりも、「アース」のほうがかなり流れのよいゲームのように感じる。個人的に、私は、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」を3人以上のプレイヤーで遊んだことがないし、そうする予定も一切ない。だって、私の好みからすると、単純に長すぎるんだ。「アース」ならば、喜んで何人とでもプレイするよ。プレイ時間は抑えられているし、ゲームにもっと関われるからね。「アース」のほうがダウンタイムが少なめということもある。このことは、私にとって大きな利点だ。
プレイ中の楽しさ
この話は、どのゲームが最も満足感を生み出すかということにつながる。言い換えると、プレイ中にもっとドーパミンが出るかって話だ。これが、全ての項目の中で最も重要なポイントなのかもしれない。というのは、私たちがゲームをする中核的な理由は、楽しむこと、素敵な瞬間を生み出すこと、ゲーム中の行動によって強力だとか報われたとか感じることにあるからだ。この点、「アース」は、短時間でプレイヤーにはるかに多くの報酬をもたらす。そうすることで、私的には、プレイ中により楽しさが生み出される。プレイヤーは常に何かを取得して、ゲームの最終的な結果に影響を与える決定を行う。ビデオゲームや他の分野などでは、こういった報酬は、より楽しい体験を生み出すことが証明されていて、依存性とも関連するとのことだ。私は、依存症を生み出すために「アース」をデザインしたわけじゃなく、こういった意図はないよ。概して、私は、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」をプレイするよりも、「アース」をプレイしたほうが多くの楽しさが生まれるみたいだ。その理由の1つは、「アース」は多めのドーパミンが生成されるからだね。
プレイ制限
面白くプレイする主たる要因としてほかにあるのは制限だ。ゲーム中に制限があればあるほど、ゲーマーとしての体験を妨げるものになるかもしれないということが判明した。この制限が論理的なルールによって正当化されてなくて、ルールがそうなってるからというのがその制約に対する唯一の答えであるならば、この話はより一層当てはまってしまう。この点、「アース」は、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」よりも随分と制限が少ない。「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」において、多くのカードを引いて、手札に残しておいて、その後にカードをプレイするというのは困難なんだ。多くの制約が伴う長いプロセスが必要となる。「アース」では、プレイヤーは大量のカードを容易に引いてそれをプレイすることができる。制限要素は、プレイヤーがプレイしたいカードの選択に由来しており、ゲームが課した制限ではない。
ここで、簡単な例を挙げて、私が不満に思っていた「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」における2つのカードを紹介しよう。
この2つのカードはイカしてる! これらをプレイしたいというのが、このゲームを遊ぶ理由だ。イカしたカードをプレイすることだね😉。でもだ、私がこれらのカードをプレイするためには、どちらのカードも5つの異なる制限が伴ってしまう。どちらも、動物園内で特定の囲い地(enclosure)が必要となるところ、一方は水域に隣接させる必要がある。また、両方ともコストがあって、その前に特定の動物をプレイしておく必要がある。さらに、アクションの1つをアップグレードしておくか、プレイするための適切な提携をしている必要がある。こいつは多い。これのせいで何が生じているかというと、ゲームの序盤にこれらのカードを引いたら、プレイするのが不可能のように思われるので保持することはない。他方、ゲームの終盤にこれらのカードを引いたら、最初から持っていたわけじゃないので、これらをプレイするために適切な構築なんてしてないだろう。だから、破棄することになる。どちらの場合においても、取得したイカすカードについて、ゲームから、「はい、プレイできないですー」って言われてしまうんだ。
また、そんな風にたくさんのカードを手札に持っていて非常に圧倒されてしまいかねず、プレイヤーが間違いを起こしたり、分析麻痺を招いたりする。終いには、楽しむためにボードゲームをプレイしているというより、宿題をやっている気がしてしまう。「アース」では、恒久、土壌のコストという制限1つしかない。そして、これは、まさにこの種の状況を避けるために意図されたものだ。プレイヤーは、1つの山の土壌の数を把握する(know the count of 1 stack of soil)必要がある。そして、その後、それを用いてやりたいことができる。ゲームは自由に選択させてくれる。全てが良いことかもしれないが、より良い選択肢がある。「アース」では、更なる制限を加えることなく、プレイヤーの能力によってその選択肢を見つけて選ばせている。
「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」が「アース」よりも制限的で線形に感じられる別のポイントは、行う必要があるアクションの順序だ。「アース」では、プレイヤーは、常に土壌を生成させる必要があるだけだけれど、(※「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」では、)プレイヤーは、常に、ゲーム中で動物カードをプレイする前に構築してお金を得る必要がある。主要な違いは、双方のゲームのアクションの順序の定め方にある。「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」では、毎ゲーム、動物カードをプレイするために建設アクションをする必要があるだろう。「アース」では、プレイヤーは、どの色のものでも生産するという戦略を構築することができる。「アース」は、プレイヤーがしたいことをさせて、それが全てうまく機能してるんだ。確かに、大量の土壌を生産する赤が大量に出てくるといったゲームのときもあるだろう。しかし、その後、そうすれば、赤にもカードを引いて、植えて、育てるものを追加できれば、自足できるようになる。お好きなように、プレイヤーは全ての色でこんなことができる。したがって、プレイヤーは、毎ゲームにおいて、常に同じ順序でプレイする必要はない。このゲームは、プレイするたびに同じ道筋をたどるように強いることはない。プレイヤーが何をしたいか次第であり、「アース」はその方面でプレイヤーができるようにしている。
バランス
双方のゲームのバランスに関していうと、「アース」における戦略ゲームが、できる限りベストなバランスが取れられているようにひたすら努めた。ここでは詳細には立ち入らないが、1000回プレイしたとしても、その全てのプレイにおいて、全カードが似たような平均点を叩き出すようなプレイされるように、各カードのあらゆる確率を試して計算する公式を開発したんだ。戦略ゲームを開発するに際しては、こういったことは、カードの中に冗長なもの(redundancy)がないとか、ゲーム中に強すぎたり弱すぎたりするカードがないとかといったことを確かめるために、必須であるべきだし、将来的にはそうなるだろうと思う。また、1000人のテストプレイヤーがいたとしても、カードが非常に多くてそれぞれの相互作用も非常に多い場合には、正確に見抜くことはあり得ないようなことだ。「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のゲームを遊んでいると、偶然、手札にこういったカードがあった。
両方とも全く同じカードだ。けど、一方は、他方より強い。このことは、「アース」において、私がデザイン上のミスだとみなしたことだ。私の開発した公式は、容易にこのことを指摘してくれる。このことが意図されたことかどうかはわからないけど、「アース」において、2つの似たカードがあるとしたら、カード効果が1つ少ないので、山羊の方がプレイするコストが低くなっただろう。「アース」においてしたくなかったもう1つのことは、こんなような同一のカードを入れることだ。というのも、ゲーマーは、コンポーネントという支払ったものに対する価値を失うことになるからだ。こんなふうにカードに冗長さがみられるとしたら、そういうゲームは、こういったことが、疑う余地のない戦略的な手法の1つだと伝えていることになる。だから、プレイヤーにこういった戦略をプレイするように誘導するために複数の(※似た)カードを用いることになる。これって、ゲームがプレイヤーに対して何をすべきか、どういう戦略を適用すべきかを一層指示することとなる。数回、この戦略的な道筋を試してしまえば最後、何か新しいことを試しているとは思わなくなるし、より早くゲームに飽きがくることになるので、リプレイ性も奪ってしまう。
この現象は、デックビルドゲームにおいて、結構起こっていることだ。カードに冗長さがみられると、ゲームがこういった戦略的な道筋を試すように強いることになる。一旦、プレイヤーが、利用可能な5種類から10種類までの戦略的な道筋を最適化するデックを作り上げたら、もうそういう道筋を試したことで、それ以上ゲームをプレイしたくなくなる。それに、プレイヤーは、個別のゲームにおいてのみ強いユニークなコンボを探し出すのではなく、ゲームが提案してきた明らかな選択しかしなくなるので、プレイヤーは賢いことをしたと感じなくなる状況も生み出す。このことは、私が「アース」で避けたかったことだ。したがって、たとえ、それでも、中には非常に似ているものがあるにしても、公式と全てのカードが真の意味でユニークでとなった。
運要素の話に関していうと、カードがあるゲームにおいては、常にカードの引き運が存在する。このことを軽減する2つの方法があって、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のように、全プレイヤーが確認できるカードプールを設けるか、「アース」のように大量のカードから引くかのどちらかになる。プロトタイプによるテストプレイの間は、カードを示す共通ボードを設けようとしたが、ゲームのペースと流れがかなり遅くなってしまうことが判明した。全員が常にカードを読まなければならず、カードはテーブルの離れたところにあることが多い。手も届きにくい。そういったことが、ゲームのペースと流れをかなり遅くしていた。そこで、共通ボードを取り去ることにした。みんなにもっと多くのカードを引かせ、植物を植えた際に、緑の部分で4枚引いて1つの選択肢を選ぶこととした。そうすれば、運要素を軽減できる。これは、ゲーム中の流れを確実に良くするために必要不可欠な決断だった。こんなような複雑なカードがあるのに共通プールを設けてしまうと、結果的に取扱いが手こずることになるんだ。少なくとも、「アース」の場合にはね。「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」においては、カード引きの部分にイカしたメカニズムがあるが、それでも、最終的には、新しいカードが場に現れるたびにそのカードを読みたくなるので、かなりゲームのペースを悪くしていると思う。プレイヤーは、全員が全てのカードを見終わるまで座って待つことになる。そして、誰かがカードを引くたびに繰り返されるんだ。
セットアップと片付け
ゲームの購入に際して考慮すべきことといえば、セットアップと片付け(tear down)の時間もある。この点でも、「アース」は、トークン、駒、ボードが少ないので、少しだけ早い時間で済む。これによって、プレイ時間の総合計が縮まるし、卓上に広げられる機会が多くなって、定期的にプレイされると考える的確な理由だ。こういったことは、みんながゲームを選ぶ際に着目しがちなところだが、的確な理由があるってことだ。
テーマ
この話はめっちゃ単純だ。動物や人間が好きならば、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」になる。植物や人間の存在しない自然が好きなら、「アース」になる。本当に好みの問題で、質問に対する的確な回答なんてものは存在しないね。
最終ゲーム得点
ゲーム終了時の得点計算については、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のほうがかなり早く済む。言葉どおり、数秒で自分の得点が算出できる。マジで素晴らしいぜ! この点は、「アース」の主たる弱点だ。ゲーム終了時の得点計算には結構時間がかかる。簡単な計算方法にして、戦略的な可能性を犠牲にしたくなかったんだ。様々な理由から導入したくなかった妥協だった。そういうことで、この点は、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のほうが簡単だね。
独自性
独自性の面についていうと、この点でも、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」に軍配が上がる。このゲームでは、強力になっていくカード、アップグレード、複数のトラックとゲーム終了時における複数の得点計算のような滅多に見られないメカニズムが多いことが特徴となっている。「アース」は、テンポが早くて、戦略的で、真の意味で報われるという意味では独自性があるけれど、メカニズムに関しては乏しくなっている。だから、もし、新しくて独自性のあるゲームを探しているのであれば、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」が一番おすすめだね。
インタラクション
この長文の比較記事の中で言及した全てのゲームは、インタラクションが弱い部類にあるゲームとして知られている。「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」と「アース」のどちらも、インタラクションの程度はかなり弱い。この点では、多分、「アース」よりも「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のほうが若干インタラクションが強いと思うかな。けれど、「アース」も、小競り合いのゲームであるとは正確には知られてない。
値段
値段に関しては、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」が大体70アメリカドルで見られるけど、「アース」は大体45アメリカドルになるだろう。だから、この点は、「アース」が有利だね。けど、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のほうがコンポーネントが多い。だから、コスト高くなるというのは当然だね。
コンポーネント
私は、「アース」の 小さな木が好きなんだけれど、2つのゲームのコンポーネントの品質は全体的に非常に似通っていると考えている。質問すべき疑問は、果たして、コスト増加という結果につながる「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」に含まれる追加のコンポーネントは、支出以上の価値を提供しているんだろうか。最終的に判断するのは皆さんだ。
小括
両方とも素晴らしいゲームだけれど、こうしたあらゆる要素や、深い戦略性、リプレイ性、楽しい体験を提供することを目標とするゲームであるという事実を考慮に入れると、「アース」のほうが良い選択だと思ってるね。「アース」のほうがテンポが早いし、リプレイする価値もあるし、報われるし、熱中できるし、戦略的な道筋も多いし、流れが良いと感じられる。もし、もっと難しくて、もっと重厚な体験を求めていて、時間が重要な要素でもないならば、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」を選ぶべきだね。
「テラフォーミング・マーズ」
繰り返しになるけど、「テラフォーミング・マーズ」に言うべきことは、今ではBGGのランキング上のあらゆるゲームの中で6位にランクされていて、素晴らしいゲームだってことだ! このことは、先ほど掲げた全てのゲーム1個1個に対して繰り返すよ。だって、全部素晴らしいゲームだからね! 「アース」と「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」との間の違いの中で既に言及した多くのポイントがある。だから、同じことを何度も繰り返してボケてしまったように聞こえるのを避けるために、この項目では短くしてまとめるよ。
プレイ時間
最初のポイントであり、個人的に最も重要なプレイ時間だ。私は、2人プレイの「テラフォーミング・マーズ」を1時間30分以内でプレイしたことが一度もない。けれど、2人プレイの「アース」は、約40分で終わる。「テラフォーミング・マーズ」では、他のプレイヤーの手番中にあまりすることはないのに対して、「アース」では、プレイヤーは常に関与していることとなる。だから、この理由のおかげで、私は、いつも(※「テラフォーミング・マーズ」を)最大で2人でプレイしているよ。「アース」はもっと流れのよいゲームでダウンタイムが少ない。
「テラフォーミング・マーズ」では、より多くの生産をし始めるエンジンを構築するまで相当な手番数がかかる。エンジンが駆動し始める前は、少ないお金で数ラウンドを行わなければならない。他方、「アース」では、まさに初手番から強力で利益のあるエンジンがあるので、ダウンタイムが少なくてより楽しむことができる。何人とでも喜んで「アース」をプレイするけど、「テラフォーミング・マーズ」は、プレイヤーが増えると時間が多くかかるので、最大でも二、三人のプレイヤーと遊ぶことにこだわる。
戦略的な可能性、深さ、リプレイバリュー
リプレイバリューからすると、「テラフォーミング・マーズ」では、208枚のプロジェクトカードと、17枚の企業カードがある。「アース」では、「テラフォーミング・マーズ」の17通りに対して、25,600通りの開始時の可能性がある。それに、(※「テラフォーミング・マーズ」 の)208枚のプロジェクトカードに対して、283枚のアースカードがある。けれども、それ以上に違いがある点として、目標の違いがある。「テラフォーミング・マーズ」は、直にボード上に印刷された目標がある。5つのマイルストーンと、5つのアワードがある。印刷されているから、これらが変わることは絶対にないね。プレイヤーは、毎ゲームとも常に10個の目標を狙うこととなり、リプレイバリューが損なわれている。
「アース」では、46のファウナの目標と64のエコシステムがあり、合計すれば、(46*44*42*40)*(64*62) = 13,492,469,760通りの開始時のボードの可能性がある。そうね、その可能性のうち多くはかなり等価だろう。けど、それでも、「テラフォーミング・マーズ」よりも1つ以上の可能性があるんだ。2回の異なるゲームにおいて全く同じことを目標にすることは決してないだろう。だから、「アース」のほうがかなり独創的なリプレイバリューが高いと考えている。ただ、私が「テラフォーミング・マーズ」の拡張をプレイしたことがないのは留意してほしい。ここでの比較対象は基本ゲームにすぎない。「テラフォーミング・マーズ」にも「アース」にもある大量のデックは、異なる状況で多くの可能性を生み出す多くの種類のカードが含まれている。その点については、どちらも同等だ。全体として、上記の数値によれば、「テラフォーミング・マーズ」よりも、「アース」のほうが多様性、深さ、リプレイバリューがあると思うね。
流れのよさ
プレイヤーは常にゲームに参加していてエンジンを回しているので、ここでも「アース」のほうが流れがよい。単純にダウンタイムが少ないんだよ。プレイヤーは、別のプレイヤーが考えてアクションを行うまでの間、ほとんど待つことはない。プレイヤーは、常に何かをしているか、ちょっとした報酬や意味のある意思決定を行なっている。
プレイ中の楽しさ
両方のゲームの報酬要素を比較すると、またもや、「アース」のほうがかなり多くの報酬を与えて、ドーパミンを放出させている。よって、プレイヤーは常にゲームに参加していて、ゲームのほうから、もっと多くの報酬を受け取るので、楽しいって寸法だ。プレイヤーは、「アース」をプレイしている間ずっと、たくさんの利益を受け取る。そして、そういった利益は、ゲーム開始時という早めの段階でもらえることになっている。手持ち無沙汰になる時間は少ない😉。
両方のゲームにおいて、首位プレイヤーが逃げ切ることがあるが、「アース」では、ゲームの終了が早く訪れるので、問題性は小さくなる。「テラフォーミング・マーズ」は、「アース」よりも、同じような戦略的体験を伴うためのルール説明に時間がかかる。だから、同じように、「アース」が優れていて、ゲームを楽しむ時間が多くなるんだ。
プレイ制限
「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のように、「テラフォーミング・マーズ」においても、カードを場に出す前にいくつかの制限があるカードが含まれていて、既に言及した苛立ちを伴うことがある。しかし、4個とか5個とかの制限があるような「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」ほど厳しいというわけじゃない。「テラフォーミング・マーズ」では、以下に示すような1個(お金)か2個の制限であることがほとんどだ。
ゲーム全体として、「アース」のほうが「テラフォーミング・マーズ」よりもプレイヤーができることに関して制限が多い。「テラフォーミング・マーズ」では、定位置のある固定のボード上で行動することになるけれど、「アース」では、自分のカードを用いてボードを発展させてどこでもカードを置くことができる。だから、「アース」は、一般論として、「テラフォーミング・マーズ」よりも自由度が高いし制限が少ない。
バランス
どちらのゲームともバランスがよく取れている。「テラフォーミング・マーズ」において強すぎるとか弱いと思ったカードを体験したことはない。けれど、ゲームの背景に公式とか数学的なエンジンがあるかどうかはわからないね。
セットアップと片付け
セットアップについては、両ゲームとも同じ時間がかかると思う。けれど、「アース」の片付けは少し早く終わる。ここでもまた、「テラフォーミング・マーズ」の得点計算は、「アース」のよりもかなり簡単だ。こいつは、最も弱いポイントの1つであるし、得点計算を簡単にして戦略的な選択肢を減らしたくなかったんで時間がかかってしまう。
テーマ
どちらも惑星をテーマにしているのに、テーマはかなり違った感じだ! もし、自然よりも、宇宙とサイエンス・フィクションが好きならば、「テラフォーミング・マーズ」を好むかもしれないね。他方、「アース」は、その逆の人たちが当てはまる。
最終ゲーム得点
この点では、「テラフォーミング・マーズ」が上位に来るね。ゲーム終了時に得点を稼ぎやすくなっている。早く終わるし、手間もかかりにくい。「アース」では、同じように、あらゆる得点源につながる多くの戦略的な可能性がある。そういった戦略的な可能性を犠牲にしたくなかったので、こういった複雑な得点システムを維持する必要があった。そういうことで、「テラフォーミング・マーズ」のほうが最終ゲーム得点についてはユーザフレンドリィだ。
独自性
私には、比較対象となるゲームにおいて特に革新的だとか独自性があるだとかいう資格はないと思う。引き分けといったところかな。
インタラクション
インタラクションが強いゲームを探し求めている人たちにとって、「テラフォーミング・マーズ」は、おそらくこのリストの中で最もインタラクションの強いゲームだろう。ボード上や目標に関してインタラクションがある。中には直接攻撃するカードがある。個人的には、そういったカードがあまり好きではない。自分のエンジンを組み上げるために資源を集めるのを頑張っていたのに、後で否定されるだけのものになる。けど、これは、私の個人的な好みだ。だから、もし、インタラクションが強めのゲームがお求めならば、「テラフォーミング・マーズ」を遊ぶべきだ。
値段
「テラフォーミング・マーズ」は大体50ドルで買えるけど、「アース」は大体45ドルで買える。
コンポーネント
「テラフォーミング・マーズ」のコンポーネントの品質は、私が見てきたこの種のゲームの中で最も低かった。だから、「アース」のコンポーネントは、かなり優れていると思うね。木の幹や林冠の見た目は素晴らしい。カードのアートも「アース」のほうがまとまりがある。「アース」の全体的な見た目の方が好きだ。けど、結局は、これは主観の話になるね。
小括
全体として、「アース」のほうがテンポが早くて、似たようなゲームの深さを提供する。制限も少なくて、リプレイ性も高く、流れもよい。「テラフォーミング・マーズ」よりも「アース」のほうが良い選択だと思う。けれども、インタラクションが強めのエンジンビルドゲームがお望みならば、「テラフォーミング・マーズ」が良い選択になるかもしれないね。
「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション
何度も言うけど、このゲームもなんと素晴らしいゲームだろうか! 「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」は、このリストの中で最も「アース」に近しい関係にある。「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」のように、「アース」のデザインが終わる前にこのゲームのことを知らなかった。だから、類似点というのは、おそらく、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」から直接得たというよりも、むしろ同じゲームから着想を得たのだろう。
プレイ時間
プレイ時間から始めるとすると、2人プレイのアースと似ていて約1時間だ。それに対して、「アース」は約40分間となる。ということで、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」は、先ほどの2作品よりも確実に早く終わるが、「アース」のほうがまだ少し早く終わる。
「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」では、同時アクションもあるので、3人以上のプレイヤーで遊んだんだ。「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」は、2人から4人までのどのプレイヤー人数でも楽しい。「アース」も同じだね。私は、どのプレイヤー人数とでもプレイしたい。
戦略的な可能性、深さ、リプレイバリュー
「アース」のほうが若干プレイ時間が短いのは別として、2つのゲームの最大の違いは、異なる戦略的な道筋、リプレイ性、報酬システムとなる。「アース」のほうが多くの報酬をもたらす。したがって、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」よりも、少しだけ満足感が得られる。戦略的な道筋の面では、「テラフォーミング・マーズ」と同様に、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」では、プレイヤーは、海を作り、酸素と温度を高めることを目標とする。だから、結局、常に同じゴールを目標にしている。達成する方法は大きく異なるのだけれど、結局、多かれ少なかれ、毎回のゲームで似たようなことを目標にすることとなる。
先ほど述べたとおり、膨大な数のスタート時の可能性と異なるボード上の組合せがあるので、「アース」は、最終的に、より多くの戦略的な道筋とリプレイ性をもたらしてくれる。「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」には、12枚の企業カードがある。それに対して、「アース」には25,600通りのスタート時の可能性がある。カードについては、「アース」には283枚のアースカードがあるが、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」には208枚だ。報酬、勝利への道筋、リプレイ性の面では、「アース」のほうが上回ると思う。
流れのよさ
両方のゲームとも、プレイヤーは常にゲーム中に何かをするので、同じくらいゲームに関与することとなる。この段階では、非常に似通っているんだ。どちらを選んでも間違いはないはずだ。双方とも流れが本当によい。けど、「アース」は、この点において、より直感的かもしれない。というのも、「アース」では、本を読んでカラー・コード(the color code)に従うようにアクションを起動させるけど、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」では、プレイヤーが望む順序でアクションカードを起動させるからね。
プレイ中の楽しさ
ここでもまた、「アース」の報酬システムのほうが合理的であるように感じられる。「アース」は単純にプレイヤーにたくさん与えるんだ。そして、爆発的に報酬が増える傾向にあるので、序盤から早く始まるんだ。「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」をプレイする時の私の個人的な嬉しい点としては、オリジナルの「テラフォーミング・マーズ」から"直接攻撃をする"カードを取り除いてくれてるところだと言わなければならないね。そのことによって、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」の楽しさが大きく向上している。このことは、みんなにとってはそうではないかもしれない。多くの人たちは、インタラクションが強まるので、直接攻撃要素を楽しんでいる。そのことを念頭におけば、「アース」のほうが全体的に楽しさを提供するエンジンとして優れていると思う。シンプルにプレイヤーはたくさんもらえるんだから。
プレイ制限
上述した2つのゲームでも述べたが、「アース」のエンジンは報酬を得ることから始まり、リソースをもたらして、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」よりもカードが早く回る。だから、プレイヤーは、ゲーム序盤から楽しみ始める。たくさん生産する前に数ラウンドしゃがむ必要はない。「アース」のほうは、プレイヤーにもたらされる利益の点では制限が少ない。
また、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」は、「アース」よりも制限的だ。何をすべきかについて多くの指示がある。「アース」は、(※この点での)制限が少ない。「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」では、カードを引いて研究アクションをする必要があったり、お金を得るため産出する必要があったりするなどといったことがほとんどだ。アクションの連鎖と順序は、「アース」よりも、毎ゲームにおいて同じことを課せられがちだ。「アース」では、カードを引くことから育てたり芽を出したりするためのリソースまでなんでも行う、全ての色のエンジンを作ることができる。「アース」の各ゲームは、プレイヤーごとに異なるプレイヤー個人のアクションの順序がある。
「アース」のカードよりも、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」のカードの方が制限的な要素がある。けど、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」ほどでないよね。それでも、ちょうどいいタイミングでカートを引けなくてゲームのシステム的にそれを使うのが阻害されるだけといった理由で、終盤で良いカードを引いてただただそれをプレイできないといった不満の出る瞬間が生み出される。例えば、カードの中には特定の気温の下でのみ用いることができるものがある。もし、その温度に到達してしまった後でこのカードを引いたら、このゲーム内においてそのカードをプレイすることができないだろう。そうすると、プレイヤーは、プレイする際にカードを注意深く見るべきものが増える。「テラフォーミング・マーズ」の箇所で掲げた画像を「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」のカードとして参照してもいい。非常によく似ていて、時々、お金以外の条件があるものもある。
バランス
バランスについては、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」には、強すぎたり弱すぎたりすると思えるものは見当たらなかった。だから、どのくらいバランスが取れているのかはわからない。私にはかなりバランスが取れているように見えるので、明確な勝者がいるかどうかは言わないでおこう。
セットアップと片付け
この2つのゲームは、セットアップの時間と片付けの時間が大体同じだ。どちらのゲームとも大きな優位性というのはないね。
テーマ
テーマに関していえば、「テラフォーミング・マーズ」のように、サイエンス・フィクションが好きならば、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」を選ぶし、自然が好きならば、「アース」ということになるさ!
最終ゲーム得点
最終ゲーム得点については、またしても、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」は「アース」よりも簡単だ。「テラフォーミング・マーズ」や「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」でもそうだったようにね。ゲーム終了時の得点計算を簡単にするために戦略的な道筋を犠牲にしたくなかったんだ。だから、この点は、最初から「アース」の最も弱点となるところだった。しかし、結果的に、ゲームに大きな利点を生み出すためのわずかなネガティブ要素だったと思うね。
独自性
独自性に関しては、必ずしも、どちらのゲームとも新しいメカニズムを伴うものではないと思うよ。「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」は、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」と「テラフォーミング・マーズ」をまさしく混ぜ合わせたように感じるということは言わなければならないね。「アース」は、市場にある従前のゲームよりも爆発的に増えて本当に報われるという意味では革新性があるので、取ってつけたようだけど、この点でも、「アース」に軍配が上がると思う。でもねぇ、革新的なポイントということであれば、どちらもそんなに強いわけじゃないんだよね。
インタラクション
インタラクションの面については、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」も、「アース」と同等だ。だから、この点では大きな違いはない。先ほどの箇所で言及したように、「テラフォーミング・マーズ」は、ここに挙げるゲームの中では最も強いインタラクションがある。だから、こういったものを探し求めているのであれば、「テラフォーミング・マーズ」に行くべきだ。
値段
値段に関しては、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」は大体45ドルから50ドルで見つけることができる。他方、「アース」は大体45ドルになるだろう。この点では、同じように非常に似通っているんだ。
コンポーネント
コンポーネントについては、どちらも素晴らしいコンポーネントがある。けど、全てが収納できる小さな箱、インサート、ルールブックの紙質は、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」においては本当に素晴らしいと思う。だから、この点に関しては、わずかながら「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」を推すよ。けど、「アース」も、間違いなく素晴らしいコンポーネントがあって、どちらのゲームとも「テラフォーミング・マーズ」よりかは上だ。
小括
最終的には、上述のあらゆる要素を考慮に入れると、両方とも似たような体験を提供すると思う。けれど、「アース」は、より多くの報酬が与えられて、序盤から色々できて、リプレイ性もあって、戦略的な道筋も多いということもあって、こういった要素を比較すると、どちらか1つを選ぶとしたら、こちらがよいということになる。
そうは言っても、私は、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」の大ファンだ。もっと大きな箱と拡張がついた新しいバージョンが印刷されたので、古いアートのものが売切になった。だから、今週ちょうど20カナダドルの新しいバージョンを6つ受け取ったんだ(笑! だから、届いて嬉しいし、友人の家の夕食に招かれた時にホストに渡すギフトとして注文しといたんだ。ボトルワインよりもめっちゃ良いギフトだと思う🙂。夕食後に私を招待してくれた人たちと卓を囲んで、ゲームのルールをインストして、プレゼントするんだ! この値段でこんなに良いゲームなんて間違いなくもうけものだ🙂。
ウイングスパン
なんて素晴らしいゲームだろう。このゲームは、おそらく、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」に次いで、「アース」と最も類似点を共通するゲームだ。この作品は、「アース」を除けば、コレクションの中で私が最もプレイした戦略的なゲームだ。もし、求められたら、いつでもプレイするだろうし、本当に好きなんだ。私は、「ウイングスパン拡張:大洋の翼」と「ウイングスパン拡張:欧州の翼」を所有していて、おそらく、近い将来、「ウイングスパン 東洋の翼」も買うだろう。じゃあ、比較を始めようか。
プレイ時間
プレイ時間に関していうと、「ウイングスパン」の2人プレイは約45分かかるけど、「アース」は約40分かかる。だから、基本的には同じだ。両方とも、この点では本当に同等なんだ。もし、もっと多くのプレイヤーとプレイしたいのであれば、「アース」の方が上回ると言わなければならない。というのは、プレイヤーを追加したところで、そこまでゲームが長くならないからだ。けど、「ウイングスパン」は、長くなってしまうんだよね。したがって、2人プレイゲームとしては、両方とも、同等の時間の長さだが、3人以上でプレイしたくて時間が重要な要素なのであれば、「アース」の方を考えるべきだね。
戦略的な可能性、深さ、リプレイバリュー
他のゲームに関していうと、「アース」は、「ウイングスパン」よりも、かなり多様性に富んでいるし、戦略的な道筋もかなり多い。また、「アース」は、同様に、「ウイングスパン 」よりも深さを提供する。説明させてほしい。目標の数を比較すると、「ウイングスパン」は26枚のボーナスカードと8個の目標タイルがある。他方、「アース」には、46個のファウナ目標と64枚のエコシステムカードがあるのに加え、あらゆる地形得点カードがデックの中に含まれている。「ウイングスパン」には170枚の鳥カードがあるのに対して、「アース」には283枚のカードがある。最終的に、あり得るセットアップや多用途性(versatility)において、全体として「アース」の方がかなり上回る。私の132回プレイした「ウイングスパン」の体験が証拠となるが、「ウイングスパン」がかなりのリプレイバリューのあるゲームである。たとえ、そうだとしても「アース」のほうがはるかにリプレイバリューがある。「ウイングスパン」の戦略的な道筋、深さ、リプレイバリューを大幅に制限する2つの要素は、プレイ制限とバランスのところで説明するよ。そこでは、どのようにして「ウイングスパン」が線形的で指示的なゲームになってしまっているか、それゆえに、勝つためにゲームがさせようとする面白くもないあからさまな意思決定をプレイヤーに強いているのかについて詳らかにする。
流れのよさ
「アース」では、常にゲームに参加していて全員のプレイヤーの手番なので、ゲームは単純に流れがよくなる。1人から5人までプレイできるし、常にゲームに参加しているように感じられて、行うべき意思決定をしたり、ゲームから何かを得たりしている。「アース」にはほとんどダウンタイムがないことを除けば、やりたい順序でやりたいことを何でもすることができるという意味で流れがよい。このゲームには、プレイ制限の箇所で議論するような障害が少ない。結局、「アース」は、「ウイングスパン」よりも流れのよいゲームということだ。
プレイ中の楽しさ
「アース」は、「ウイングスパン」よりも報われるゲームだ。同じ時間の中で、より多くの物を得て、意味のある意思決定をすることも多い。制限も少ないので、できることに対して不満も少ない。「アース」では、より多くの物を受け取ることができるので、ドーパミンがより多く生成されて、勝っていないときですらゲームを楽しめる。もっとポジティブな体験として終わるんだ。他のプレイヤーの手番が完了するまで座って待っていることなんて一切ないので、楽しさも一層持続する。
プレイ制限
双方のゲームの最も大きな違いの1つは、プレイヤーに与えられた自由と権限だ。「ウイングスパン」においては、ゲームによって、プレイヤーは、特定のタイミングで特定のことをするように指示されて強制される。中には、こういったことが気が楽のように思うプレイヤーもいるかもしれないが、もし、ゲームがしてほしいと設計されているからといって常にしなければならないというのであれば、こういったアクションをする意味がない。ゲーマーの手に意思決定を取り戻すために、合理化してデザインから取り除いたというデザインに関する私の意思決定がある。「ウイングスパン」のこの点を説明するために2つの主要な理由を挙げよう。
まず1つ目は、通常の食糧コストに加えて、鳥のために卵で支払をしなければならないことだ。それは、それぞれの色の場所に2つ目の鳥カードを置くことによって始まる。このメカニズムによって、プレイヤーは、非常に似通ったスタートを強制される。ほとんどの場合、プレイヤーは、ゲームの最初のアクションで1枚から3枚までの鳥カードをプレイしようとする。すると、プレイヤーは、鳥カードをプレイをし続けてフィールド上にもっと多くの鳥を置けるようにするために、自分の鳥カードの上に卵を置くに当たって義務的に黄色のアクションを強制される。ゲームによって強制されて、プレイヤーがした意思決定や、戦略的な選択に由来するものではなく、ただプレイを続けるために義務的となっているので、その卵アクションをする必要があるという現象が起こってしまう。このことによって、プレイヤーは毎回のゲームで常に同じことをすることになるので、不満が引き起こされるかもしれない。「アース」では、いつどのようにどこでカードをプレイするかについて制限がかなり少ない。だから、ゲームによって与えられる指示はプレイヤーによって決断されたもので、ゲームそれ自体から発せられたものではない。
2つ目は、ゲームの最終ラウンドのことだ。ネタバレ注意:「ウイングスパン」をあまり知らないのであれば、読むのをやめてほしい。そういった人たちには少しゲームの構造を晒すことになってしまう。このことは、他のスレッドで広く議論されてきたことだから、あまり長く話さないよ。しかし、黄色のアクションは、一般的に最も多くの得点を得られるものだ。ゲームの85%かそれ以上だ。もし、そうじゃなければ、多くの回数、そうなるように自分の戦略を構築すべきだった。このことが、卵を鳥カードの上に置くことによって、特定のアクションに対してプレイヤーに大部分の得点を与えるゲームであることによって全て引き起こされている。大多数のゲームにおいて、勝利したいのであれば、ゲームがプレイヤーにしてほしいことをしなければならない。つまり、黄色のエリアでたくさんの鳥カードをプレイして、鳥カードの上に卵を最も多く置けるように最終の5手番は望んでもないけど大量にそれを行うんだ。この戦略をとれば、ほとんどのゲームにおいて勝利することができる。だから、もし、ゲームがしてほしいことをしたら、ちゃんと勝てるということだ。このことで、同じことをしがちになるので、ゲームのリプレイ性も損なわれることになる。拡張では、このことを修正しようとして、ある程度までは修正できた。けど、ここでは、追加された拡張に基づいて比較をしてはいない。
私は、「アース」ではそうなってほしくなかった。「アース」では、本当に、プレイヤーが考えついたあらゆる戦略の可能性を用いて勝利することができる。全てバランスが取れていて、うまくプレイすれば全てうまく機能するんだ。意思決定はプレイヤーがするものであって、ゲームがするものではない。プレイヤーが選択したり実験したりするのはかなり自由だ。ゲームはプレイヤー人ほとんど指示を与えず、この点は素晴らしいよね。プレイヤーが楽しめるように、プレイヤーに権限を取り戻したんだ。みんなの中には、ゲーム中に何をすべきか指示されるほうが楽しめるって人もいるかもしれない。しかし、これが優れた戦略ゲームのあるべき姿だとは思えない。極端な例を挙げるとすれば、「モノポリー」は、プレイヤーの権限の大部分を取り除いている。意思決定はほとんどなく、ダイスを振って、ダイスの目の指示通りに進むだけだ、良くも悪くもだけど。いまだに「モノポリー」は、ボードゲーム界隈で毎年のベストセラーになるのだろうけれど、この投稿を読んでいるみんなの多くは、プレイヤーから権限を奪い取ってゲームにそれを与えるのが進むべき道であるというのはどうなのかって思ってるはずさ。
上述した他のゲームのように「ウイングスパン」では、カードをプレイするのに何個かの制限要素がある。(複数の入手源がある)食糧コスト、生息地、そしてほとんどの場合に卵を支払う必要がある。このことで、何かが不十分だと、たとえ非常に悪い局面であっても、行いたいアクションが行えないので不満が生み出される。時には、非常にイカしたコンボを決めるために特定の生息地に鳥カードをプレイしたいけれど、この生息地に鳥カードがプレイできないことがある。そうすると、ゲームがそうすることを阻んでいることになる。「アース」では、注意深く見ておく必要がある制限要素は土壌リソースだけで、どこにでもカードをプレイすることができる。誤解しないでほしいのは、選択肢の中には他の選択肢よりも良いものがある。けど、意思決定はプレイヤーのもので、ゲームのものではない。
バランス
「アース」が「ウイングスパン 」よりも優れていると思うもう1つの点は、ゲームのバランスだ。「ウイングスパン」には強いカードがたくさんあるし、弱そうに見えるカードもたくさんある。デザイン陣がゲームの背景に公式を作っていたかどうかはわからない。けど、何枚かの鳥カードを見ると、ほぼ確実に公式を作っていなかったように思う。以下の2つのカード見れば、それ単独でゲームを壊してしまう可能性がある。ゲーム開始時にそのどちらかを引いていたら、そこそこのプレイだけをしていれば、もうほとんど勝利したも同然だ。これらは、「ウイングスパン」において強力すぎると思う最も目に余る2つの例だが、もう少しあるかもしれないし、同じように弱すぎるカードもあるかもしれない。
この2枚のカードがもたらす結果は次のとおり。このカードによって、プレイヤーは、完全に色の能力をスキップしてプレイすることができる。これは、他のプレイヤーはそうすることでアクションを失わなければならないのに対して、自分はする必要がないので、本当に強いんだ。誤解しないでほしいのは、「アース」にもそういったカードが多くある。しかし、重要なのがバランスだ。「アース」では、多くのカードによってそういったことが可能となっている。たった2枚のカードではなくね。多くのカードは強力だけど、同じレベルにはある。
全てのプレイヤーが自分のタブローにこんなようなカードがある。「ウイングスパン」においては、簡単に別の色の効果をなくすことができるのはほぼこの2枚のカードしかない。別の戦略を用いることもできるが、複数のカードを一緒に組み合わせる必要がある。こういった理由から、公式を発明することが非常に重要となる。前にも言ったように、1000人のテストプレイヤー以上の価値がある😉! 公式によって、ゲームからそんなような状況を省くことができるし、各カードのバランスという素晴らしいアイディアがもたらされる。
「アース」のために開発した公式は、部分的には、この種の状況をまさに避けるためにあった。全てのカードは、1000ゲームプレイしたとしても同等に強いはずだ。全てのカードは、1000回のプレイにおいて、土壌というコストと比較して、平均的にほぼ同じ数の勝利点を生み出すことになっている。中には特定のゲームにおいて間違いなく強いものもあるが、次のゲームではうまくいかないかもしれない。常に良いとか常に悪いとかといったカードはない。全ては状況によりけりだし、どのタイミングで何が良いかを見当つけるのはプレイヤー次第ということだ。それを判断するのはゲームというわけじゃない。「ウイングスパン」における上述した2つの例は、プレイヤーが勝利するためにゲームがさせたいことを強いるということがわかるというものだ。このことは、バランス、深さ、リプレイ性を損なうということだね。
セットアップと片付け
「アース」は、セットアップと片付けが若干早く終わるが、この点において、そこまで差はないと思うので同等と考えられる。他のゲームとの比較と同じように、「アース」のエンジンは、「ウイングスパン」のエンジンよりも初動が速い。だから、プレイヤーは早めにゲームに参加できるようになる。
テーマ
どちらのテーマも自然に関連したものだ。だから、どちらとも好きか、どちらとも好きでないかになると思うね。もし、鳥類にハマってるならば、「ウイングスパン」を選べばいいし、植物にハマっているならば、「アース」を選ぶといい!
最終ゲーム得点
最終ゲーム得点に関しては、どちらとも時間が結構かかるし、この投稿で比較した他のゲームよりかは退屈だ。それでも、「ウイングスパン」は得点計算が最も簡単だ。それは、非常に分類が少ないからということではなくて、主として獲得する点数が少ないからなんだ。したがって、「アース」は、この点で、「ウイングスパン」よりも劣る。重ねてになるが、「アース」の最も弱いポイントで、あらゆる戦略的な道筋、深さ、リプレイバリューを保つために避け難いんだ。
独自性
両方のゲームともテーブルに新しいメカニズムを一切もたらさないけれど、「ウイングスパン」に軍配が上がると思う。テーマだけに着目すれば、「ウイングスパン」は、市場で最初に大きなヒットをした戦略ゲームであって、その後に多くの後に続けといった作品が出てきた。また、トレイの中にあるコンポーネント、ダイスタワー、それに小さな卵は、非常に独自性があってテーマ性もある。このゲームは、市場において最も見た目の良いゲームの1つでもある。メカニズム的にユニークなところがないかもしれないが、上述した理由から、「ウイングスパン」のほうが革新的だし、多分、より没入できる作品だ。
インタラクション
インタラクションの面からは、どちらのゲームとも同じ範囲に分類されるだろうと思う。明確な優位性はないね。
値段
値段に関しては、「ウイングスパン」は、50ドルから60ドルの間で見つかるが、「アース」は45ドルになるだろう。「アース」のほうがお買い得だよね。
コンポーネント
コンポーネントの面に関していうと、「ウイングスパン」は極上もの(top notch)で、まごうことなく美しく見えると言わざるを得ない。箱、ボード、卵、ルールブック、駒といったゲームの全てがとにかく豪華で、そういった理由もあってか、十分にこのゲームをオススメすることができないね。「アース」は見た目が本当にイカしてて、カード、成長駒といった全てが豪華に見えるけれども、この点においては、おそらく「ウイングスパン」が市場における最高のゲームだと思うね。だから、コンポーネントの品質単体で見れば、「ウイングスパン」を選ぶね。
小括
上述したこれらの要素を考慮に入れると、「アース」のほうが、流れがよくて、リプレイ性があって、バランスが取れていて、非常に制限がなく、戦略的な道筋も多く、ゲームに参加している感じで報われる感覚も多いので、「ウイングスパン」よりも勝っていると思うね。
そうはいっても、これはゲーマーとしての私の意見だ。この趣味に最近ハマった人たち、ファミリー層、若い子供たちに対しては、素晴らしいゲームだし、何をすべきかについてプレイヤーを指示してくれるし、見た目は間違いなく豪華だし、制限が多いから何をすべきかを追うことが簡単だしということで、「ウイングスパン」を提案するよ。もし、オープンワールドの道具箱が欲しければ、「アース」一択だ。
「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」
これらは、私が常にお気に入りの2作品だ。多くの人が、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」と「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」が非常に異なる作品であると主張しているけれども、それでも、上述した分析の中ですでに十分冗長性について論じているとおり、両作品にある重複を避けたいので、私は同じ分類に当てはめている😜。
プレイ時間
この点では、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」が間違いなく最も早く終わる。2人プレイならば約25分間でプレイされるし、多分、もっと早くプレイが終わるかもしれない。「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」の2人プレイは、約40分間くらいかかる。だから、「アース」の2人プレイと同じくらいの長さだ。プレイヤー人数が何人であろうと、これらのゲーム全てには全員が参加する同時プレイがあるので、各ゲームに多くの時間が付け加わることはない。よって、最も早く終わるゲームは、この比較の中では「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」が間違いなく、他方、「アース」と「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」は、だいたい同じプレイ時間だ。
戦略的な可能性、深さ、リプレイバリュー
他のゲームと比較した場合と同じように、ここでも、「アース」は最高の選択だと思う。デザインの中で最も強みのあるポイントの1つだからね。「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」は、11枚の初期ワールドと109枚のゲームカードがある。「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」は、9枚の種族タイルと9枚のホームタイルがあるので、合計で81通りのスタート時の可能性がある。55枚の両面のゲームタイルがあり、合計すると110枚の"カード"がある。「アース」は、25,600通りのスタート時の可能性と大きな山札の中に283枚のカードがある。「アース」における多様性のほうが大きくある。「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」における多様性は、カード/タイルの山によって付与される異なる使用可能な戦略から生み出されるのがほとんどだ。連邦、大ワールド、軍事、小ワールドの生産、宇宙船戦略などが全てデックの中に含まれている。探求したり組み合わせたりするためのものがかなり多いけれど、50ゲーム以内でそのほとんど全てを見ることができる。「アース」には、33通りを超える得点計算の可能性があり、その全てを組み合わせてゲームに勝利することができる。数々の戦略を軒並み探索しなくてもたくさんのゲームをプレイすることができる。それに加えて、全てのゲームがボード上の異なる目標のおかげで回っていくという事実がある。何度も言うけど、46個のファウナ目標と64枚のエコシステムカードが組み合わされて膨大な数の異なる可能性のスタート時のボードとなる。この膨大な数によって、「アース」は、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」や「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」よりも、多くの可能性とリプレイバリューがもたらされている。
流れのよさ
3つのゲームの中に同時プレイがあるので、全てのゲームにおいて流れが非常によい。「アース」のエンジンはスタートが早く、リソースを生み出したりカードを引いたりするためのアクションの順序の制限も少ない。「アース」では、1手番後には、1アクションで多くのものを生み出す非常に優れたエンジンができあがっているけれど、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」や「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」では、一般的に、カードを引くために探査アクションを行うか、お金を得ために消費アクションを行わなければならない。また、消費アクションに先立って、そのアクションを作動させるために生産アクションをしなければならないことが多くて、このゲームを義務的で単調なものとしている。それに、流れのよさも損なってしまっている。「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」では、「アース」よりも、望むことを達成するためにもがき苦しむことが多いことがわかる。ほとんどの時間において、大きな戦略を試してそれ単体に集中する必要がある。他方、「アース」は、もっと緩くて(generous)、1つの方向性を強く推し進める可能性を残しつつもプレイヤーが異なる道筋を探求することができるようになっている。「アース」の緩やかさは、この2つのゲームよりも少しだけ流れをよくしているけど、最終的には、それでもどのゲームもかなり流れがよいことになる。
プレイ中の楽しさ
この3つのゲームは、プレイ中に多くの報酬と楽しさが得られるが、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」は、「アース」よりも不満を持つことがある。もし、プレイがうまくいかなかったら、巻き返して優れたエンジンを構築するのがかなり難しい。「アース」では、たとえ、悪いプレイをしていたとしても、なお多くのものを生産し、多くのことを達成することができて、プレイしていることを楽しめる。「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」では、自分の戦略がうまくいかなかったら、時として行き詰まりを感じることがあり、ストックをなくすためにゲームがプレイヤーに強制する一連の義務的なアクションによって動くクソダメなエンジンであると感じてしまう……。「アース」では、単発で4枚のカードを引こうが、単発で5個のリソースを得ようが、たった1手番で多くの芽を得ようが、たった1つのアクションがプレイヤーに活路を与えることが多い(unstuck you)。時には、1回のアクションでこれら全てがもたらされることすらある! したがって、このカテゴリの勝者は「アース」だと思うね。
プレイ制限
「アース」を除けば、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」と「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」は、この記事の中で比較した全てのゲームの中では比較的制限のないゲームだろう。カードをプレイするために必要となる通貨は1種類で、カードを置く方法、場所、タイミングには制限が一切ない。これらのゲーム全体において、自由に多くのことをすることができるし、自分の選択には比較的制限がない。それでも、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」では、「アース」よりも、お金を早く得て多くのカードを早く引けるようにするのはかなり難しいと感じる。また、「アース」では手札の上限枚数が一切ないけれども、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」は手札の上限枚数は10枚だ。「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」と「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」は、消費に先立って生産するといったような、特定のタイミングで特定のアクションを強制することが多い。他方、「アース」では、エンジンをうまく構築することができれば、たった1回のアクションでなんでもすることができる。したがって、これら全てのゲームはかなりオープンなゲームだとはいえ、「アース」のほうがまだ全体的な制限は少ない。
バランス
「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」は、今まで制作された戦略ゲームの中でもバランスが取れたゲームの1つだということが長い時間をかけて証明されてきたと思う。「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」は、個人的に非常にバランスが取れていると思うけれど、プレイヤーが振るダイス次第ではある。こういった具体的な理由から「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」は、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」ほど、バランスが取れているとはいえないと思うね。ダイスによる運要素を軽減する最善の方策は、たくさんのダイスを振るゲームにするということだ。「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」にあるとおり、それでも、最終的にはダイスのせいで良い手番と悪い手番があることになる。それでも、私が「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」と「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」が本当にバランスが取れているかを確認するのは不可能だ。だって、これらのゲームの背景に数学的なエンジンが作られているかどうか知らないからね。その情報にアクセスできない。私が言える唯一のことは、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」は、「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」よりもバランスが取れていると思うし、「アース」が「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」と同じくらいバランスが取れているといいなと願ってることだね(笑! そうすると、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」と「アース」は最高にバランスが取れたゲームであるということなんだろう。けど、私は、それを確認するための資料を持ち合わせてないので単なる感覚的なものだ。私がわかっていることは、「アース」のバランスが取れていることが確かだってことになる🙂。もし、見たいのであれば、デザイナーズダイアリーに挙げたExcelシートを見ることができる。「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」でうまく機能していて、私が「アース」に適用させた1つの要素は、両面カードというメカニズムだ。卓上に置かれたままのカードについては、支出以上のものをゲーマーにもたらしてくれる最高のコンポーネントの使用法といえるね。その上、同じゲーム中には使用したくないと思っているが、それでも盛り込みたいと思うカードの両面に2つの同じような効果を付けることができるようになる。そのことによって、「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」のように片面ではエンジンを向上させつつ低い得点とし、もう片面にはエンジンを強化させつつ低い得点として、プレイヤーが素晴らしい選択を行うことができるようにもなる。
セットアップと片付け
「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」は、間違いなくセットアップと片付けが最速だ。以上。このゲームは、ほぼ1つのデックで成り立っており、シャッフルして終わりだ! 実のところ、最速でセットアップと片付けができて、おそらくプレイ時間も最速な既存の深い戦略ゲームなんだろう。この点において打ち勝つのはかなり難しく、このカテゴリにおいて記事に掲げた全てのゲームの勝者である。「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」と「アース」は、セットアップと片付けをするのがほぼ同じ時間だ。ここには明確な勝者はいない。
テーマ
テーマについては、うーんとね、「テラフォーミング・マーズ」と「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」のところと同じ感じで、サイエンス・フィクション/宇宙テーマのほうが好きなのであれば、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」を選ぶべきだし、地上に降り立っていて、自然テーマのほうが好きなのであれば、「アース」になるね。
最終ゲーム得点
「アース」との他の比較に関しては、最終ゲーム得点は、またもや、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」と「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」のほうが簡単ということになる。早く終わるし、面倒でもない。しかし、このことによって、代償として、「アース」よりも小さめの戦略ツリーしかないゲームとなっている。だから、結論として、「アース」において得点を計算することは、苦労する価値が十分にあるということになる。
独自性
この点では、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」に大きな賛辞を与えなければならない! 「アース」は、この素晴らしい両作品なしでは決して存在することはなかった。「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」以後にどれほど多くのゲームが真似しようとして出版されたのかは分からんね。このことは、出版当時、このゲームがいかにユニークで、独自性もあったかを示している。「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」は、ユニークなダイスシステムと巧妙なメカニズムでこの後に続いた。「アース」は、メカニクスの観点からは、そこまで多くの独自性をもたらしているわけではない。「アース」のユニークさは、こういったメカニズムをゲーマーたちに伝える方法にあるが、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」ほど革新性があるわけではない。
インタラクション
まあ、ほとんどのエンジンビルドゲームにも当てはまることだが、これらのゲームも同じカテゴリの範囲内に収まっていると思う。この3作品全て、プレイヤーインタラクションは同程度だ。この点に関しては、明確な勝者も敗者もいないね。
値段
「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」は約30ドルで売っていて、「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」と「アース」は、約45ドルくらいになるだろう。
コンポーネント
ちょっと趣向を変えてみようと思い、敗者からまず先に述べようか。明確な理由から、敗者は「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」だろうね(笑。「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」が間違っているわけじゃないが、基本的にはカードデックしかない。「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」には、この世のものとは思えないほどコンポーネントがないと言っていいはずだ。カードはすごく素晴らしく見えるけど、それがみんなが得るものだ。そう、カードだ。「アース」と「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」については、「アース」には豪華に見えて非常に良いコンポーネントがあるけれど、(※「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」にある)ダイスは本当に楽しめるものだと言わなければならないね。だから、「アース」の木の幹やプレイヤーボードも素晴らしいので、この点では、どちらも同等だ。けどさ、素晴らしいダイスのせいで、「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」のほうに若干ながらなびきつつある。だけど、「アース」の一般的な見栄えのほうが良いと思うね、心の底から自然が好きだからさ!
小括
つまるところ、ゲームにおける体験として何を求めているかということに行き着く。ささっと終わるゲームを求めていて時間が唯一の重要な要素であるならば、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」を選ぶ。見た目が豪華で、深さ、独自性のあるメカニズム、イカしたコンポーネントがあって、追加の運要素を気にしない精神があり、ダイスを求めているならば、 「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」となる。3作品の中で、最も満足感があって、楽しくて、深くて、リプレイバリューとリプレイ性があって得点計算が多様なゲームを求めているならば、「アース」になるね。
「ギズモ」
「ギズモ」は「アース」と似ている部分が多いけれども、同時に、かなりかけ離れたゲームだ。「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」と「アース」との距離とほとんど同じくらいだが、対極の位置にある。共通点はたくさんあるが、同時にプレイ中は異なるゲームと感じる。「アース」のほうが複雑でゲーマー向きであるが、他方、「ギズモ」のほうは、ファミリー層や子どもにアピールすることができる。だから、従前と同じ観点から比較することとしよう!
プレイ時間
どちらのゲームも約40分間でプレイすることができると思う。だから、この観点からは明確な勝者はいない。「ギズモ」が同時プレイを特徴としていなくても、手番はすぐに終わり、4人プレイであったとしても、おそらく「アース」と同じくらいの早さでおわる。だからね、プレイ時間では、どちらともかなり同等なんだよ。
戦略的な可能性、深さ、リプレイバリュー
双方のゲームを比較した時に、このカテゴリでは大きな違いがある。「ギズモ」の多様性は、間違いなく112枚のカードデックに由来するけど、中には同一でユニークでないものもある。「アース」における283枚のユニークカードのデックは、「ギズモ」と比較して、より多くの得点の選択肢や勝利への道筋を含んでいる。「アース」における25,600通りの開始時の可能性と、46個のファウナ目標と64枚のエコシステム得点カードを組み合わせると、「ギズモ」よりも「アース」のほうがかなり深くてリプレイ性がある。「ギズモ」で気づいた別の問題というのは、できる限りゲームを早く終わらせるために、ほとんど常に、点数が低くて稼働が早いカードで得点を得ることが優れているという点だ。高い得点を得られるカードは、一般的に、達成が困難すぎるので、勝利を確定するためといって何枚もプレイすることができない。このゲームは、結局のところ、レースゲームであって、各手番で得点を多く得られないと遅れをとり始めてしまう。このことによって、追加のマーブルを与えてくれるスタート時のカードが、残りのカード全てよりもかなり強くなってしまう。これは、ゲームの大部分において、全プレイヤーが、できるだけ早くゲームを終わらせるために、追加のマーブルを与えてくれるちまちましたカードをたくさんプレイするという状況を生み出す。第3世代のカードでゲームが終わったのをほとんど見たことがない。「ギズモ」を約20回プレイした後には、ゲームに勝利するための戦略的な方策を全て見たという可能性が極めて高い。このような点において2つのゲームを比較するのは本当はフェアじゃないと言っておこう。「ギズモ」のデザインは、深い戦略ゲームを意図したものではなかったからね。けど、もし、深くてリプレイ性のある体験を求めているのであれば、「ギズモ」の代わりに「アース」を手に取るべきだね。
流れのよさ
「アース」は、全プレイヤーが常に何かをしていて、ゲーマーは多くのものを受け取れるので、全体的に「ギズモ」よりも流れの良いゲームだけれども、同時アクションがない種類のゲームの中で、「ギズモ」には、流れのよさという観点からは打ち勝つことは困難ではある。プレイヤーの選択はかなり単純で、手番がかなり早く終わるので、このゲームはただただ取り回しがいい。「ギズモ」では、多くのことを連鎖させて、自分の手番で多くのことを行い、プレイヤー人数が何人であろうとそんなに待たせることはない。このゲームのエンジンは滑らかで、満足させるものだ。そうとはいえ、2つの間で「アース」のほうが流れのよいゲームだと考える理由として主要なものが3つある。まず、「ギズモ」では、エンジンが稼働するまでに数手番かかるけれども、「アース」では、ほぼスタート直後にエンジンが稼働する。次に、「アース」では、プレイヤーは常に何かをしていてゲームから多くの物を受け取るのだけれど、「ギズモ」では、多くの手番で1つのマーブルしか手に入れられず、他のプレイヤーの手番では何も手に入らない。最後に、「ギズモ」では、フルパワーと滑らかなエンジンを体験するためには、まさにゲームが終了する瞬間から追加の手番が必要となるという感想を常に持ってしまうけれども、「アース」では、ゲームが終わる前に完全にやりきってエンジンをうまく稼働させたという感想を抱くことが多い。こういった理由から、「アース」のほうが流れがよいゲームだと考える。
プレイ中の楽しさ
どちらのゲームもプレイしてたくさんの報酬と楽しさが得られた場合には、どちらのゲームも本当に優れていると感じる。この記事の中で「アースと比較した他の部分に関していうと、「ギズモ」の報酬に係るシステムは、「アース」ほど強いものではないと思う。この点は、「アース」の主たる強みの1つである。「ギズモ」のエンジンは、「アース」のエンジンほど多くの物をもたらさない。また、エンジンの稼働もかなり遅く、他のプレイヤーの手番で行動しない。それゆえ、行うべき意味のある意思決定やゲームへの関与が少なくなっている。そうとはいえ、「ギズモ」には、多くの報酬をもたらす強いエンジンがある。ただ、「アース」のエンジンによって生成されるドーパミンほど多くのドーパミンが生成されないってわけだ。
プレイ制限
どちらのゲームも非常にオープンで制限が少ない。結論としては、なお「アース」のほうが制限が少ないことになる。この点は、「アース」の強みのもう1つの点である。「ギズモ」のカードには、プレイする必要のあるマーブルの色に関連した4つの異なる色が描かれている。マーブルがあるけど、適切な色が描かれたカードがないので興味のあるカードが何もプレイできないといった状況に陥ることが多いと気づく。このことが、不満を招くかもしれない。ゲーム中には、コンバーター使用するといった、この不満を軽減する方法があるが、適切なカードを適切なタイミングで用意する必要があるけど、言うは易く行うは難しということだ。また、第3世代のカードは、本当にハイコストでプレイするのが困難となっている。1回のゲーム中に1枚はプレイすることができる、時には2枚プレイでき、運が良ければ3枚といったところだ。良いカードだからプレイしたくなるものの、そのカードに集中してしまうとペナルティを受けてしまう。それに、卓上に第3世代のカードを置くためには数手番は犠牲にしなければならない。そうすることで、ポイント獲得競争に敗北してしまうだろう。たったこの2点だけで、「アース」のほうが制約の少ないゲームだと明らかになったね。
バランス
この点も繰り返しになるが、「ギズモ」の背後にあらゆる点でバランスを取るための作成されたエンジンがあるかどうかわからないので、説明し難いことになってる。けれども、気づいた点として、プレイするためのコストとしてどの色でもいいけど7かかる第3世代のカードは、個人的には非常に強いと思われる。「ギズモ」をプレイすると多くの回で、どの色でもいいからマーブルを7個所有するというのは結構簡単だ。同じ色のマーブルを5個所有するというよりもはるかにね。そして、このカードによって、ゲーム終了時に自分のリング内にあるマーブル1つにつき1勝利点が与えられる。「ギズモ」をプレイしているとよくある話なので、このカードを使って7勝利点以上を叩き出すことは非常に簡単だ。
このカード(第3世代のデックの中には4枚入っていたと思う。)は非常に強くてゲームを変えてしまっていると思う。また、エンジンを稼働させるために、ゲーム開始時にマーブルを生み出す小さいカードは、ほぼ義務的だ。小さいカードを何も持たなければ、勝利するのは非常に難しい。格納戦略は、何も建てることなくカードを収めるのに1手番必要となるので、効率的にやる通そうとするのはかなり難しい。確実には言えないけれど、ここでは、常に強すぎるとか弱すぎるとかといったカードがなく、プレイや場に出された目標次第で、ほとんどの戦略が実行可能であるように見えるので、「アース」が最もバランスの取れたゲームであるとの自信がある。
セットアップと片付け
「ギズモ」のほうがコンポーネントもカードも少ない。だから、セットアップや片付けという点では、間違いなく「ギズモ」が最速だ。この点は、ファミリー層、カジュアルゲーマー、子供達に最適な選択である理由にもなる。
テーマ
このカテゴリでは、「アース」が圧倒的な勝者であると言わなければならない。実際、プレイした後ですら、「ギズモ」の真のテーマについて説明できないんだよね! 科学と実験室に関係していとは推測するけど? ゲームの見た目は素晴らしくてアートワークが見事に合致しているけれど、「ギズモ」はかなりテーマのないゲームだ。「アース」では、生態系を発展させて、樹木を成長させて、寒々しい氷河を作り、小惑星を島に衝突させる感覚が得られる。決して、ボードゲーム市場において最もテーマ性のあるゲームではないけれども、「アース」のほうがテーマ性のあるゲームだと間違いなく思うね。
最終ゲーム得点
やってきたね、最後になるけど、「アース」はこのカテゴリでは敗北する……。またしてもだ(笑。「アース」がこんなにも複雑な最終ゲーム得点の計算となっている理由については、別の機会では触れることはないだろう。他のゲームとの比較の箇所を読んでくれよ。「ギズモ」は、得点計算がかなり簡単で、比較にならないほどだね。
独自性
どちらのゲームともテーブルの上に新しいメカニズムをあまり持ち込むことはないけれど、プレイヤーに報酬を与える方法が革新的であるというところから、ここでは、「アース」が最も独自性のあるゲームかもしれないと思う。「ギズモ」よりかは、ユニークで革新的なものをテーブル上にもたらすと思う。けれども、なお「ギズモ」のマーブルの分配器は本当にイカしてるよね。
インタラクション
ここでも繰り返しになるが、この比較の中の大部分のゲームに関しては、プレイヤーインタラクションについては同じ範囲に属していると思う。この点では、明確な勝者も敗者もいない。
値段
「ギズモ」は約40ドルだけれども、「アース」は約45ドルとなる見込みだ。
コンポーネント
マーブルが好きとはいえ、「アース」のほうがテーブルの上でかなり映えると思う。木の幹の駒、カード、プレイヤーボードが本当にうまく一体となっている。大人であれば、この点に関して「アース」を選ぶべきだと思うが、子供であれば、ゲームとコンポーネントのおもちゃ要素が強いので、「ギズモ」のほうを選ぶと思う。
小括
戦略的なゲームが好きな人ならば、上述した点を全て考慮に入れると、「アース」がほとんど全ての面において優れたゲームだと思う。戦略的な可能性、深さ、リプレイバリューに関してだけでも、「アース」のほうが「ギズモ」よりも得るものが多いと思う。そうは言っても、カジュアルゲーマー、家族、ましてや子どもと遊びたいのであれば、「ギズモ」は最高のゲームで、間違いなく最適な選択だ。
議論
結局のところ、これらのゲームのどのゲームであったとしても失敗することはない。どのゲームも素晴らしい。たとえ、できる限り客観的であろうとしても、人間だもの、ゲームを評価する際に、常に100%感情を排することは不可能だ。ゲームの評価なんてものは、常に多面的で、一緒に遊んだ人、遊んだ時間帯、場所、その時々の瞬間、まさにこのゲームで起こったこと等に左右される。
また、人によって、ゲームのどの部分を楽しんでいるかが異なることは間違いない。非常に戦略的なゲームを楽しむ人もいるし、運要素の強いゲームを好む人もいるし、パーティーゲームを好む人もいる。プレイし続けて楽しめている限りは、他の人がなんと言おうと、他の人がなんと考えようと、正しいことをしているんだ。
様々な種類のゲームに見られるこうした大きな違いがあることから、通常、多くの類似点を持つゲームを比較することはかなり容易い。こういう理由から、この投稿をしたんだ。この記事でお示ししたゲームは、もたらされるゲーム体験において強い類似性が共通してあるので、比較しやすいと思う。こういったゲームの1つに10点の評価をしておいて、別のゲームには3点、4点、5点とかのように、非常に悪い評価をしている人たちを見るといつも驚いてしまう。私の頭の中では、この中の1つのゲームが好きならば、比較的近い体験がもたらされるのであるから、少なくとも他のゲームでも楽しむべきだし、多くの要素を正当に評価すべきだ。
このことが示すのは、中にはゲームを評価する際に、ひどく感情的に評価してしまう人がいるということだと思う。そうしていることで、客観性を保つことが極めて難しくなる。こういったことは、最近見かけたような「ブラス:バーミンガム」が、「グルームヘイヴン」の前に出てBGGのオールタイムベストの1位になった時の状況につながってしまう。多くの人たちは、特定のゲームに対して自分を写し重ねていて、そのゲームに悪いことや良いことが起こると、怒ったり、めっちゃ嬉しくなったりする。こうしたことが原因で、ゲームに1点や10点の評価を爆撃する人たち(waves of people rating games 1 and 10)が後をたたない。そんなことをしても得るものも失うものもないので、ナンセンスなことだと思うよ。
感情的な評価の例として、「テラフォーミング・マーズ」と「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」を比較したとする。どちらも評価が高いゲームだけれども、なお、オリジナルの「テラフォーミング・マーズ」のほうがいまだに平均評価が高い。この2つのゲームについて客観的な事実に着目すると、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」は値段が低いし、小さな箱に収まっている。コンポーネントの質も高くなっているし、見た目もよく、プレイ感も速い。プレイヤーは常にゲームに参加し続けていて、報われることも多くなった。似たような深さと戦略的な道筋を維持しながらも、このゲームは、こういった全てのことが達成している。このゲームが「テラフォーミング・マーズ」よりも先に発売されていたら、「テラフォーミング・マーズ」よりも高評価を得ていたであろうと確実に思うね。「テラフォーミング・マーズ」のほうが高い評価なのは、多分、先に発売されていて、感情的にそのことに固執しているからだと思う。「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」の後に「テラフォーミング・マーズ」が市場に置かれたら、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」に対して引き起こされている感情よりも、「テラフォーミング・マーズ」のほうに厳しい感情が引き起こされていただろうさ。人々によって行われる合理的ではない感情的な評価の例として格好のものだと思う。
再び、車業界においてこのことを見比べてみよう。T型フォード(Ford Model T)は、テスラ・モデル3(Tesla Model 3)よりも前に発売された。T型フォードが、テスラ・モデル3よりも車業界に大きな与えた傑作であることはほとんど議論の余地がないことだが、現代において、T型フォードがテスラ・モデル3よりも良い車だ主張する人はほとんどいない。何かのアイディアが先にあって、他の人が後からやってきてそのアイディアを改良することができたからといって、その当初のアイディアが常に最高のアイディアであるとは限らないわけだ。実際には、ほとんどの場合に、逆のことが起こる。今の時点で、客観的に物事を判断することで、今日の市場において、T型フォードよりも、テスラ・モデル3が優れた製品であるという多くの理由を見出すことができる。たとえ、テスラ・モデル3が、それ以前に存在していたT型フォードと直接的な結びつきがある唯一の存在だったとしても、同じように当てはまる。同じことが、遺伝子(ダーウィンを思い出そう😉)、映画、シリーズ物、アスリート、社会システム、私が最も興味を持つのであるボードゲームを含めたあらゆる分野でも当てはまる🙂。けど、何かを食べるときに、感情から距離を置いて純粋に客観的な事実を用いることは難しいということは認めるよ。実のところ、私が最初にそういうことに陥ってしまっていて、今まさにそうだからね(笑! けれども、できる限り、自分自身から感情を遠ざけようとしているんだ。
さあ、この記事の主題である「アース」の話に戻ろう。今のところ、似たようなゲームに9点以上の評価をつけながらも、「アース」に5点とか4点とかそれ以下の評価する人を多く見かけるよ。みんなが大好きなゲームが「アース」のようなゲームによって脅かされてしまうと感じるといった感情的な機序が顕れているように思われる。「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」と「テラフォーミング・マーズ」との間にあったようにね。どういうわけか、「アース」によって、個人的に脅かされているように感じている人もいるようで、しかして、感情的に動いてしまって、「アース」に低い評価をしてしまっているんだろう。他には、単純に、人気のあるものが好きではないという理由で、人気のあるものに低い評価をつけている人もいる。いわゆるいつも否定的に物事を見る嫌なやつらだね(naysayers)😉。
「アース」の場合には、こういった要因によって、一部は、低い評価になっているかもしれない。多くの人たちが低い評価をつけた理由として別の大きな理由もあると思う。それは、「アース」はまだ発売すらされておらず、評価の多くはオンライン上でのプレイに基づいてされているということだ。私は、このゲームをコンピューター上でのプレイに最適化してデザインしたわけではなかった。みんなが最終的に卓上でプレイしてほしいと切望するということはいくら強調してもしきれないね! 現実に「アース」をプレイすれば、そこから肯定的な感情が出てくると思う。
今のところそこまで評価が高くない人がいる別の理由は、「アース」がかなり早くて、緩やかで、オープンということで、一、二回遊んだだけでは、不安定に感じられてしまうからだ。多くの人たちはやりすぎだと感じてしまい、その結果、低めの評価をつける。みんなに言ったとおり、少なくとも、四、五回はプレイしてくれ。そうすれば、全てがカチッとはまって、素早くゲームが進むんだ! ゲーマーとして、こんな形で動いて、こんなに多く、こんなに早く報酬を与えてくれるゲームにまだ慣れてないだけだ。このゲームをプレイした後に、他の似たようなゲームで、もっとゆったりとしていてもっと制限的なゲームに戻ってくると、近いうちに、ペースは早くないし、オープンでもないゲームだなと感じることになるかもしれない。最後に、評価に関する議論を締めるにあたって、市場にゲームが長くいればいるほど、そのゲームに関して感情的にならなくなる傾向にあると思う。時間だけがみんなが本当に考えていることを明らかにしてくれるし、ゲームに対する一般的な感情をもっと全体的なアイディアをとしてもたらしてくれると考える。
こういった人間の心にある感情的な揺らぎに関して話していた主たる理由の1つは、おそらく、このゲームのデザイナーである私がゲームについて語っているこの記事が、そんなような反応を引き起こすだろうとわかっているからだ。一部の人にとって、この記事が、(シュワちゃんの命令に従って)ルールを破っていることを認識している。デザイナーが自分のゲームについて語り、コメントをする。こういった所作は、一般的ではないし、一部の人には肯定的には見られないかもしれないね。繰り返しになるけど、どんな形であれ、おそらく私が言っていることに対して脅威を感じる人もいるだろう😉。それはそれで仕方ないね。不可避だし、人間の脳の自然な所為なんだ。私は、決して誰かに脅威を与える意図はないんだ。楽しさを生み出すゲームについて語って、そういった観点においてゲームをより良くさせる方法を見出そうとしているんだ! ゲームが可能な限り最高のものであって欲しいと思うからそうしているんだ。この記事で達成したいことは、私がし得る最も透明性が高い形で私が体験したことを共有することだ。だって、こういったことが、フィルターなく心に思ったことを率直に言うというのが、私の中核的な価値観の1つであるからね。何が起ころうと、みんなとこのことを共有できたことをめっちゃ誇りに思うし、嬉しいよ。そして、このことに関して考えを交換するのが待ちきれない! そんで、シュワちゃんの話を聞くとしたら、私は失敗を恐れないし、否定的なことばかり言っている嫌な野郎どもの話を聞くことはないね😉。
好きなゲームについて否定的なことを話したということで怒る人もいるだろうということも指摘しておきたい。この投稿で議論したゲームに関して私が非常に批判的に見えるかもしれないけれど、私はおそらく全てのゲームを最も楽しんでいて、これからもずっとプレイし続ける見込みがあるということは頭の中に入れておいてほしい! 私はこれらのゲーム全てが今まで作られたゲームの中で最高のゲームに含まれると考えているし、少なくとも、ゲーム体験として私が好きなことや私が探し求めていたことといった特定の分野に限っていえば、そうだろう。否定的に聞こえたかもしれないが、この記事は、そういったゲームに対して細かいところをついていくようなものだ。私は、これらのゲームが大好きだし、もっと良くなってほしいと思うから、こういうことをしている。完璧なゲームなんて存在しないけれど、ここで言及した全てのゲームの全体的なクオリティは、小さなマイナス面を大きく凌駕するものだ。「アース」を手がける中で、私の思考過程を説明するために弱点を明らかにしたり、エンジンビルドゲームにおいて改善しようとしたことを明らかにしたりする必要があっただけだ。これらのゲームを愛する証拠として、「ウイングスパン」とその欠点については広範囲に説明していた。そう、私のコレクションの中で2番目に多くプレイされた戦略ゲームであるし、比較したゲームの中で最も好きなゲームだ! それに、「アース」は、こういった先行作品の多くがなければ、存在しなかっただろうということは頭に入れておいてほしい。まるで、極端で突飛な比較である、T型フォードがなければテスラ・モデル3がなかったように。こういった全てのゲームに多大なリスペクトをしている。遊び始めてから何が好きかを明らかにしてくれたし、その1つ1つから学ぶべきことがあった。世界や賞の中でべすとだったものの中身を見ることなく、良い製品を生み出すことなんて単純にあり得ないよね!
おわりに
ここまで言ったとはいえ、異なる要因に着目すれば、あらゆるゲームには強みと弱みがある。一緒に遊ぶグループ、自分の好み、参加するプレイヤーの年齢、プレイしなければならないタイミング、望むインタラクション等によって、私が語った特定のゲームを好む人もいるし、別のゲームを好む人もいる。全て素晴らしいゲームだから、このことは理解できるし、異なる理由で素晴らしい選択となる。けれども、私のような人間であれば、「アース」は、多くのカテゴリにおいて大きく傑出してると思う。プレイ時間が短さ、報酬、コントロール、戦略、深さ、リプレイ性、流れのよさ、楽しさ、制限の少なさ、手頃な値段、コンポーネントの良さ、適度な重さ、単純なルール、それにバランスが見事な組合せってだけだ。他のゲームも、同じく、このカテゴリのほとんどにおいて強みを持っているし、特定のカテゴリにおいては傑出してるものもある。けど、「アース」のほうが、こういった要素の全体的な組合せが優れていると思う。このゲームは、多くの楽しみを生み出すゲーム体験をもたらすという、やろうとしていたことにおいては非常に満足のいくレシピである。ここで分析した基準とプレイしたいと思う私自身の意思によって、これらのゲームを順位づけするとしたら、次のような順序になる。けど、求められたら、どのゲームもほぼいつのタイミングでもプレイするだろうけどね。
1位:「アース」
2位:「ウイングスパン」
3位:「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」
4位:「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」
5位:「ギズモ」
6位:「テラフォーミング・マーズ」
7位:「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」
これが多くの人の結論ではないことを忘れないでくれ。今のところ、「アース」はまだ世に出ておらず、現在、バッカーの下に届き始めているところだ。けど、反応は非常に良いものだと思う。少なくとも、この記事で私が書いた内容と似た結論に達したゲーマーも中にはいる。このことが事実かもしれないという思う理由が現れ始めているんだね。
今のところは何個かのレビューしかないが、その多くは、この投稿の内容のみたいな似た思考過程を辿っているように思われる。The Dice Towerは、私が思うに、4人のレビューのうちの1つで、今までのゲームの中で最も高い平均点を付けたと思う。Mike Dilisioは、常に、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」、「テラフォーミング・マーズ」、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」以上にプレイするだろうと言っていた。彼は、「ウイングスパン」については、まだ(※プレイしたことがなくて)知らないと言っていた。また、彼は、これらのゲームは全て似たような体験をもたらすとも言っていて、私も同じように考えるところだ。Man vs Meeple(※これも海外の有名ボードゲームYouTubeチャンネルである。)のEmilyは、「アース」を自身のオールタイムベストで2位と評価してくれた。彼女は、まだ、プロトタイプしかプレイしてないというのに! Man vs MeepleのElishaは、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」以上に「アース」をプレイするだろうと語っていて、Davidは、「ウイングスパン」よりも楽しいかもしれないと語っていた(この動画のコメント欄参照)。Ant Lab Gamesのみんなは、本当に高い評価をしてくれて、その評価どおりの価値があると強く言ってくれた。そして、コメント欄で、彼らにとって、「アース」は「ウイングスパン」に取って代わるだろうと言っていた(この動画の下のコメント欄参照)。QuackalopeのJessieは、このゲームに関するたくさんの動画を制作してくれて、非常に楽しめて、もっとプロトタイプで遊びたかったと言ってくれた。これがその動画の1つだ。BoardGamecoのAlexは、「テラフォーミング・マーズ」、「エバーデール」、「ウイングスパン」と比較して、「アース」を高く評価をしてくれた。彼は、それでも「テラフォーミング・マーズ」のほうが好きだと言っていたが、コメント欄で「アース」は欠点がないヒット作になるだろうと教えてくれた。Board Game DadのBenは、「ウイングスパン」よりも優れていると言っていたけど、私は、彼が「アース」をもうプレイしたのかどうか知らないんだ。彼も、コメント欄で「アース」が大ヒット作になるだろうと言及していた。ここカナダのケベック州でも、かなり好意的なレビューがいくつかあったけど、フランス語でそれが理解できたらだね。The Boardgames SocietyのMartin、同じくThe Boardgames SocietyのSteve、Les Deux PionsのJeffとSteeve、l’École du JeuのSylvainからは、「アース」が驚くべきゲームになるだろうとみんな信じてくれてる。l’École du JeuのSylvainは、昨日、「アース」が今年のベストゲームの候補作になると思うと言及してくれた。まだ、たったの3月上旬だというのに🙂!
このおかげで今まさにめっちゃ幸せだ。私が「アース」をデザインした時、私が思いつく限り全ての面において最高のエンジンビルドゲームになるように最適化しようとしたからね。みんなに「アース」を見せることができて、楽しみ始めてくれてるように見えてめっちゃ嬉しい。このゲームのためにマジで死ぬほど作業した。シュワちゃんの助言に感謝するよ! はじめにで述べたとおり、詳細なデザインについて語った広範囲に及ぶデザイナーズ・ダイアリーをここに書いた。私は、主に自分と彼女が楽しめる硬派なゲームを作るために「アース」をデベロップしたんだ。また、一般的に、あらゆるボードゲームの中で最も好きなのがエンジンビルドゲームなので、エンジンビルドゲームが成し遂げられる境界も広げたかった。ほとんどのボードゲームにおいて知られていた、たくさんの制限があって、ペースが遅くてかったるい進行(手札制限、配置ルール、カードを引く枚数の少なさ、遅いリソースの産出、ゲームにおけるゆるやかな成長曲線、遅いスタート、悩ましい手番、プレイヤーがすべきことをゲームがたくさん指示すること、無駄な時間の多さ等)といった暗黙のルールを破る必要があった。もう一度、シュワちゃんに感謝!
ボードゲームの根底にあるもの、要は、楽しさを生み出すことに立ち戻ることに注力した。できるだけ最大限の範囲でゲーム最適化しようとし、既にプレイしたことがある多くのゲームにおいて見かけた楽しさを最も阻害するものを取り除いた。パラメータに加えて、箱のサイズ、コンポーネントの数、ゲームの値段、できるだけ最高の製品を作り出すためのあらゆることも最適化しようとした。私が100%満足がいって、エンジンと製品の構成を最適化するための事柄についてもはや何も思いつかなかった時に、作業をやめてInside Up Gamesにゲームを見せたんだ。そしたら、Inside Up Gamesは、見た目、コンポーネント、ルールブック等を最適化する似たような作業プロセスを始めた。彼らは驚くべき仕事をやってくれたと思うし、私たちは、今、みんなにこの製品を見せられることを誇りに思っているよ!
私のボードゲームに対する見方は、いわば科学論文の出版を見る方法と似ている。私は、約13年前に分子生物学の博士号を取得しているので、ボードゲームに対する見方が専門家的にひずんでいるんだろう。ここで言いたいのは、楽しくて素晴らしい体験をもたらす出版としてボードゲームを見ているということだ。だから、科学やどの分野においても同じように、進歩するための方法は、以前に行われたことを研究し、そのことをじっくり検討して、それに基づいて前進しようとすることだ。人生におけるあらゆることは、そんなような徐々に改善させていくことで成長していく。最初の電球からスーパーコンピュータへとか、T型フォードからテスラ・モデル3へとかに一挙に進歩しなかった。思い出してほしいのは、何事も一層最適化する前に、常に多くの漸進的な改善を必要とするんだ。
私は、「アース」で同じことをしようとした。科学的な手法を当てはめて、以前に達成されたことを少し改善させようとした。この手法は、私たちや生命が知っている進化するための最善のもので、遺伝子、政治システム、発明等にも応用されている。私が理解するところでは、博士号よりも「アース」により多くの時間をかけたので、「アース」はボードゲームにおける私自身の博士号とといっても過言ではないかな? この博士号の審査委員は皆さん、つまり世界中だ。そして、この文章やデザイナーズ・ダイアリーは、この審査員に対するプレゼンテーションだろうね! はは、ここで言おうとしていることは、単純に、私の主たる目的の1つは、たとえ、たったわずかだったとしても、「アース」がボードゲームを進歩させるということだった。単なる小さな進歩であっても私にとっては成功だし、コミュニティ全体にプラスだろうさ! 多くの人は、ボードゲームをより良くさせるという目標が無駄な努力や些細な目標であるとみなすだろう。私にとっては、強迫観念とまでは言わないけれども、それが夢中になれることだったし、人生の目標だ🙂。
「Tikal」がアクション選択システムに与えた影響、「カタン」が北米のボードゲーム市場を切り開いた影響、「ドミニオン」がデックビルドゲームに与えた影響、「パンデミック:新たなる試練」が協力ゲームに与えた影響、「グルームヘイヴン」がダンジョン探索ゲームに与えた影響、「ディクシット」がパーティーゲーム/ファミリーゲームに与えた影響等のような影響を、「アース」が与えることはないだろう。他方、私は、「アース」がエンジンビルドゲームや戦略ゲーム全般に良い影響を与えるといいなと思っている。「アース」が他の戦略ゲームに早さ、報酬の多さ、深さ、そしてバランスに対して影響を与えるほど十分に良いゲームであることを願っている。また、できる限り長い年月にわたって市場に残り続けるゲームを作り出し、近頃、濫造気味のゲームの良き競争相手になれるように「アース」をデザインしたよ。このゲームが強くてオールラウンドなエンジンを備えていて、しばらくの間、小売店のタブレットにとどまり続けることができる見た目になっていると思う。それに、みんなの美しい思い出と体験を生み出すことができることも願っている。このゲームの平均評価がどうなるだろうかということと同じように、数年後もいまだにゲーマーが楽しむような、ゲーマーに通用するゲームになり得るどうかを明らかにしてくれる。「アース」がボードゲームコミュニティに好意的な影響を与えてくれるだろうと心から願っている。
最後に、他のデザイナーが後にこんなような投稿を作成して、「アース」を分解し、そこからより優れたデザインを生み出すのであれば、そいつは私にとっては栄誉なことだ! このことは、私がボードゲームという大きな神殿に少なくとも1つのレンガを置くことができたということを示すのであって、そいつはすげぇことになる。それは、「アース」が、最終的に私たち全員に利益になることをしたということを示すだろうさ。そして、そう、ゲームをプレイする際に、どんな論理でデザイナーの頭が動いているかを共有するためにも、この投稿をしたんだ。シュワちゃんが言ったように何かお返しをしたかったんだよ(笑!私が思いつく最も肯定的なゲーム体験とデザインプロセスに関する思考を共有した。この話に関して議論することができるといいなと思うし、こんなような記事が、直接的に私たち全員により多くの楽しさをもたらしてくれる、より優れたゲームにつながることを心から信じているよ! というわけで、下のコメント欄において何を考えたのか教えてくれよな!
まとめ:もう語りは十分だ、長すぎて全部読みたくなんかない、今どの作品を買うべきなんだ?
この質問に対する単純な答えが1つある……全部だ! はは、マジで、これらは全部堅実なゲームで、どれも私のコレクションから外れることはないだろう。少なくとも、私が死ぬまではね😉。もし、短くて単純な要約をするのであれば、独自性があって重めのゲームを望むのであれば、「アーク・ノヴァ 新たなる方舟」を選ぶことだね。美しくてカジュアルゲーマーたちとゆったりとした体験を望むのであれば、「ウイングスパン」に決まりだ。ファミリー、子供、ティーンたち向けといったら、「ギズモ」を勧めるよ。インタラクションがあって没入感のある体験を望むならば、「テラフォーミング・マーズ」一択だ。ゲーム終了までが早いものが良ければ、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」/「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」が間違いない。プレイ時間が短いのとともに多様性があるのが欲しければ、「テラフォーミング・マーズ・カードゲーム:アレス・エクスペディション」だし、流れがよくて、楽しくて、報われて、リプレイ性のある体験をお求めならば、「アース」ということになる。私は、これらのゲームに対して「アース」が以下のカテゴリのほとんどにおいて勝っていると思っている。戦略的な道筋、深さ、リプレイバリュー、生み出される楽しさ、オープン性、流れのよさ、それにバランスだ。「アース」が「カスカディア」、「キングドミノ」、「Ecosystem」、「Arboretum」、「キャリコ」のような配置系ゲームとも比較し得るということと組み合わせれば、ここに非常に完璧なゲームがあると思う。このゲームがシステム的に劣る唯一のカテゴリというのは、最終ゲーム得点の部分だが、この複雑な得点計算がゲームにもたらす優れた点を全て考慮に入れれば、少ない犠牲である。
最終的に、これらのゲームのいずれかであっても間違いはないけれど、上述した主たる理由から、いくつかの客観的な事実と私のボードゲームにおける好みによれば、これら全てのゲームの中で「アース」が全体として最高の選択になるだろうと思う。同じように、これがみんなに当てはまるといいなと思う。けれど、もし、全てが良いものでないとしても、みんながボードゲームをプレイし続けて楽しんでいる限りは、それが重要なわけだ。みんなのお気に入りのゲームとその理由について下のコメント欄で教えてくれよな!
心より敬意を込めて。
Maxime Tardif
以上
※本記事と関連する記事としては、以下のものがある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?