出会って5年。どんどん世界が開けてきた友人の話。
先週末、イラク人のお友達夫婦とカラオケボックスに行きました。
日本語の歌とアラビア語の歌を交互に歌った2時間半。
とっても楽しかった。
そしてとても、とても嬉しかった。
ここまで彼女が心を開いて、世界を広げてきてくれたんだなあって。
感無量。
初めて出会ったのは今は小4の長女が幼稚園の時。
5年が経ちました。
イラク出身でドバイからやってきた彼女は、すごい美人で、すらっとしていて、エレガントで、近くで見ても、遠くから見ても、ため息が出るほど美しい人。外見を裏切らず、豪邸に住んでいて、お手伝いさんもいるような人です。
当時はドバイから来たばかり。しかもご主人はまだドバイにいて、彼女は一人、子供二人とお手伝いさんを従えた女主人として新しい居住地で奮闘していました。
ドバイのきらびやかな世界から移ってきたパースの町はユーカリの木がうっそうと茂り、川が流れ、青空が見えて、のんびりしていて何にもない場所に見えたのでしょう。
会うたびに「パースには何もない」。
ドバイにはこんな素晴らしいレストランがあり、こんな素晴らしいホテルがあり、こんな素晴らしい自宅があり、そして近しい友人が沢山いた、とそればかりを口にしていました。
ずっとアラビア語のテレビを見ていて、とにかく寂しさを募らせていた。
その頃、彼女の家に行くとドバイの話を延々と聞いて、最後にイラク料理がたんまりと出てきて、それをお腹いっぱいになるまで食べさせてくれる。これがお決まりのコースでした。
お礼に日本食をどう?とオファーしても、恋しいアラブの料理以外には興味がなくて。やっぱりイラク料理(笑)。日本人もイラク料理を食べるのね、と彼女の勘違いが進み(私はアラブの料理に慣れてるし、好きですが、イコール日本人が、ではないことは明白)さらなるイラク料理(笑)。
気分転換にウォーキングに誘ってもつれない返事。
どうにも慰めようがなくて。
私が出来るのは話を聞いて、彼女が立ち上がるのを待つだけだなーと思っていました。
目の前にいるのに、その私を通り越して、彼女が遠くの友人を懐かしがってばかりいるのは悲しかったな。
そんな時間が2年ばかり経ち、お互いが友人であると認識しているけれど、まだ文化の壁は越えてなくて。私が日本人のお友達と会う。彼女がイラク人の友達と会う。そんなことを口にするたびに、なんかそれぞれのホームに帰っていく感じで、若干の交じり合わなさが残っていたんです。
そんな折、彼女の旦那さんがパースに越してきて、彼女は幸せに満ち溢れるようになって。
ある日彼女はコーチングの学びを始めました。
どうしたの?すごい変化だね。
って聞いたら、私がいつしか「そんなに暇なら、それを嘆かずに、自分を忙しくしたらいいよ」と彼女に言ったのだそうです。それを覚えていたらしい。コーチングを学ぶ彼女は、新しい挑戦のせいか、新しく知り合うコーチング仲間から刺激を受けているせいか、学びの進みに合わせてどんどん生き生きしてきました。
そんなある日。
回転寿司に行きたい。一緒に行こう。
と誘われたのです。
えーっ!!!回転寿司に行くの?本気?
と聞き返しました。本気だった。
回転寿司で、これはなに?あれはなに?これは生魚じゃないのか?ほんとに?とはしゃぐ彼女を見ながら、こんなに開いてきてくれて嬉しいなーって思いました。イラク料理しか見ていなかった人が、生魚食べないと言い張ってる人が(いまも食べないけど)、回転寿司に行こうだなんて、なんて変化だろう!
それからも彼女の開化は進み、日本料理屋に行ったり、さらなるハードルである飲茶に行ったり!(飲茶は豚肉が多いのでハードルが高い。ちなみにその時は中国系の友人と一緒だったおかげで分かったことが。豚肉が入っていなくてもラードで揚げてある点心があるってこと。これは知らなかった。)
毎回、こんなの初めて!楽しかったー!!!って大喜び。一緒に初めてを味わった気分になれて、私も嬉しい。
そして先週のびっくり発言。
カラオケに行きたい。
と言われた時は目が点になった。
またまた、えーっ???本気???と聞き返すわたし。
すごい本気だった。
モーニングティーのグループに誘いをかけたところ、外国人にカラオケはハードルが高すぎたようで、あえなく玉砕。
でも行きたいーというので、なんなら夫婦同士でカラオケに行く?と聞いてみたところ、即「週末に行こう!!!子供たちは彼女の家でお泊りさせればいいから」との返事。
よほど行きたかったらしい。
で、カラオケボックス。
見るものすべてが新しい。
珍しがる様子が私にも新しい。
ほかの部屋をのぞきながら、各ボックスの中で踊り歌いまわる人を見ながら、「クレイジーだわ」とつぶやいていたけれど、結局アラブ音楽がかかれば、立ち上がって踊るし、口笛吹きまくるし、とっても楽しそうで。夫婦でラブリーにデュエットなんかもしちゃって。アラビアンナイトのような光景だなあとぼんやり思う私。
彼女、5年前と全然違うなあ。
彼女自身の力でここまで開けてきたんだなあ。
心を開いてくれたんだなあ。
世界も広がったんだなあ。
って感無量でした。
信じて待っていたら殻から出てきてくれたって。
偉そうに聞こえるのですが、ずーっと待っていたから。
もちろん、私が色々あって辛いときに彼女はそばにいてくれたし、複雑なママ関係も、私に気を遣いながら、うまーくやりくりしてくれた。
二人ともコーチングも知らず、とにかくそれぞれ向かい合わねばならぬことがあった。それをstand by meでケアしあいながら、近付いてきた。友人となった。
これは親友だな。
薄暗いカラオケボックスで歌い踊りながら、とにかく嬉しかった。
彼女は「信じて、言葉をかけて、待っていれば出てくるよ」って教えてくれた。
出会えたことに感謝。神様ありがとう。
決まり。次回のカラオケはStand by me を歌おっと。