ごあいさつ / カブキ(傾奇)
ごあいさつ
常識外れの出立(いでた)ちや言動で人目を引く傾奇者(かぶきもの)は何処の社会にも、いつの時代にも在るようで、常識豊かな言動を伝統とする所謂(いわゆる)歌舞伎界とは様相をまったく異にすると私には想われます。だからといって傾奇のレベルが低いと言っているのではありません。さざれ石には細(さざれ)石としての役割りがあり、いわおには巌(いわお)としての役割りがある筈で、役割りを持たない生(せい)は私には考えられず、(仮に)役割りがない役者はステージに在って身の置き所なく、亡霊にも劣るではありませんか。
ともあれ傾奇者に厳しい現実があって、その現実が善いのは君が代に具体的に見えていて、それなら打たれ弱い存在は巌(いわお)というホンモノに成り難い。打たれ弱き存在がホンモノになりたいと棚ボタの幸運を願ってもコソコソ逃げ隠れる術(すべ)しか知らなければ余りに中途半端で見っともない。私にはそんな半端者が不憫(ふびん)でならず無視できない。ぶつかって砕け散れと強く励ましたいのは山々でも、疾(と)うにさざれ石であれば今さら砕けることも出来まいに‥それでコソソコ癖だけはまだ抜けていない。
私には華々しく砕け散るザマも恰好よさげに想われて、それで傾奇者が砕けて飛散る見っともなさをこの身でも味わいたいと思っている所。(´・ω・`)
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