短歌17「檸檬の空」
青空がこわいんですとぼくら集う歯車の影誰も見えない
レタス割り細かくちぎり今日は晴れ夕餉の時に訪れる鬱
毎日を窓見て過ごす飽きないで飽きてはいるが見るものもなし
青空に生まれたアゲハ山椒の木深く抱かれて死を暗喩する
青空の断頭台が光りおり かぼちゃを母が叩き割る音
濁ってる空見上げると思い出す 海から這った柔らかい脚
春告げる日傘ゆく人わくわくと あなたのメガネ空映りおり
違う人 見直しても夜の君流れるように眠っているけど
空ひとつ愛ひとつとて出せないで でもここにいて欲しいと頼む
雲の穴落ちる光が宗教画ねえ指で切り取って帰ろう
見てました何度も花火みずうみの きっと火花は拾ったクワガタ
海と空見上げて椅子にもたれおり もうただひとりただただひとり
ベランダの船首掴まり海原に乗り出すここは箱庭の中
悲しみを悲しみとせず空青きレモンの苦味ああ涙出る
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