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#詩のようなもの
詩30「あした暗黒星雲のほとりで」
つま先から死後硬直が始まって
つらい日々に
さよならができる
嬉しい
そのとき
窓の外から
鳥の羽音がした
ものすごく
たくさんの
鳥みたいなものに
あおむけにされ
たましいだけを
抜き取られた
わたし
は
いろんな世界の、いろんなひとの意識が固まってる何かにアクセスして、中に取り込まれる。愛も戦争もごちゃまぜの集合体だ。わたしの記憶も分断される。がりがりと歯車で摺りつぶされる。夏休みのアサガオ
詩29「コールマイネイム」
彼女は最近重くなってきた子供を暖かくして前に抱き
真駒内駅に向かうことにした
真駒内駅は札幌の地上に出ている地下鉄駅
バス乗り場があるから待合室は広い
そこに行こう、と鏡を見る
化粧をしていないそばかすのある赤い顔だ
まだ十代に見えるのか十代なのかわからない
なまえをよんで
彼女が待合室に行くと、真ん中にストーブがあり、
ほどほどに人がいた
外はひどい吹雪になってきたから、逃れて入ってくる者も
詩25「わたあめは誰のもの」
わたあめは誰のもの
白くてなんて古い
虹色のだよ
コットンキャンディ
掴んだら飛んでいけそうなでかいやつ
あれが食べたいなおかあさん
森でさひとりで食べるんだ
リスに分けてもいい
そうしたらさ虹が出るんだ
この街の虹はあれから出来てるんだ
虹色のわたあめ食べたいなあ
ぼくはいつか思い出すんだ
わたあめを食べたんだってね
大きいやつをね
詩18「こもりうた」
汗をかいたオレンジ絞って昔の話をした
ワインとクラッカー割れた鏡
朧げな記憶が心地よくて
そのまま眠りそうになる
全て肯定するよ君の話を
砂の中の都の大冒険も
君の天使が磔刑にあった話も
全てが心地よい子守唄
痩せたロバがいななくまで
続けてくれ酒はあるから
おじいさんが乗ってたプロペラ機は
藤の色だったと聞く
真偽はいいんだ残ってないし
君を乗せる夢を見ていいだろう
なんて幸せな夜
私は幸せな亡