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酒部朔
2022年5月30日 01:09
赤い雲が裂けて森の奥の一本の樹に落雷する燃え広がることなく昼間のように明るく燃えるリスは非常食を持って逃げたひっそりと深い森の奥誰も知らないわたしの胸の中一本の木が燃える燃え尽きる様子のないそれは光の樹のようになり神様の遣わした大きな鹿ああわたしは滅んで行くんだねそして生きていくんだね涙は蒸気に変わるわたしの顔を焼く見知らぬわたしになるわたしはわたしの髪を捧げる
2022年5月25日 04:09
知らずのうちに落っこちたアリスはもういないらしい言葉たらずなあなただからイートミー食べすぎている赤の女王の振動が伝わって物語は終わろうとしている次の女王はアリスになった穴はがちゃがちゃ変容して僕のための穴となるだろう僕はといえば身支度をしてタイを身につけお呼ばれにうまくやるさ帽子売りともうさぎはケージに押し込み兵士の剣を拝借しておいたきらり光が王宮から見えて女王アリス
2022年5月22日 01:53
安全剃刀の音朝から響いて洗面台の角に当てる音する私は二度寝のクマに襲われ抱き合い布団絡れこんでる掛けっぱなしレコードの針見放して浮きスイッチの緑付きっぱなしバッテリーのない掃除機がすうすう言う炭酸水を飲む牛乳を温めるコーヒー淹れ怖いものない最強目玉焼き日曜の朝方はわたしたちの勝ちで終わる
2022年5月9日 03:31
よあけまで起きていようかこのまま眠れないときはわるい事した数かぞえると言ったら先生は僕の方がはるかに多いと仰った診察室のドアを閉めて先生のしたわるい事を思った窓から見た花壇には赤と黄色の鶏頭が咲いている何度も読みかえさずにわざと乱雑に封筒に入れた便箋一枚一枚廊下に落ちて白く光っている踏み分けていえ踏まないように歩くそんなふうにして眠りが降りるのを待つ神様がいくつか