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酒部朔
2022年4月29日 06:51
そこで震えているものよ邪悪な猛禽類の目を見たのか家族が遠くに行ったのか新聞を細かく読んでしまったのか魂がぶるぶると線香花火の最後のようフクロウはウサギを見つけて去ったし天国は今はいっぱいでお前の探す家族はいないだろう新聞は焚き付けにするものだしお前の寿命を延ばすだろう神の作りたもうた精巧な蜘蛛のデザイン巣にかかった水滴の数珠それら全てはお前のためのもの旅に出るのに必要
2022年4月29日 06:22
衝動的に出るママをあなたの名前で誤魔化してでも死にそうな時はママと言ってしまうママなんてどこにもいないのに母だけがいるママと呼んだことはないそんな甘い呼び方は白いカーネーションが売っていたから欲しがったら花屋のおばさんに言われたあなたのお母さんは亡くなってるの?驚いて何も言えなかったお母さんを殺してしまった300円握りしめたこぶしでそれ以来白いカーネーションは見
2022年4月28日 03:18
2月生まれ占いは絶好調予定が全てうまくいく君に会うことをかっことじで全部保留にしている顔を上げると赤信号で占いは到底当たると思えない目の奥がたまに痛んで僕を小さくする住んでいた古いアパートが解体されるので毎週写真を撮りに通った5週間で更地になったそこには居場所を無くした幽霊が2、3人物憂げに佇んでいる新しい建物が建つのは早かった僕はよそへと越した越した家は角部屋
2022年4月25日 06:25
何度か浮かぶ、何度か浮かんで怒られる。沈みかける。背泳ぎは得意なほうだった。コーチは男子の背中に、もみじと言って、ビンタを張って跡をつける。笑う。その手がわたしの首を掴んで浮かせる。男の人の手、いや。水着になるの、いや。更衣室の床が濡れているの、いや。みんなでサウナ室に何分も入れられるの本当にいや。綺麗な水のことを考える。少し甘い白樺の樹液。山奥の水源。つららからしたたる。前世は烏瓜を
2022年4月24日 05:46
喉にナッツのカケラが詰まって咳き込んだ君が寝ているのに構わずに東京の月島のワンルーム川の匂いとソースの匂いのする中間流行りのモツ屋の行列で取っ組み合いの喧嘩を見たドラマのように川沿いを歩く二人を見た小型犬を抱いたサングラスの芸能人を見たボラを釣る人達はたくさんいた僕は小さい箱の中で寝転んで住人の騒音を聞いている君が小さい箱の中に切り取った求人票を隠しているのを知っているまるで