お金は人を狂わせるはなし
DV男と別れたあと、友達が婚活パーティーに行くというので一緒に行くことにした。
20代後半の脂がのった時期をDV男に捧げてしまった私は流石に焦っていた。
気がついたらまわりはどんどん結婚していき、遊ぶ友達も減ってきて合コンに誘われる事も少なくなってきてしまい新しい出会いはほぼない状態だったからだ。
結婚したいわけではなかったが、一刻も早くマトモな人と付き合わねばという強迫観念に囚われていた。
そんな中参加した婚活パーティーで一人の男と出会う。
年上だったけどかわいい、人の良さそうな男。
その時の私は、暴力ふるわなくて、酒癖悪くなくて、浮気しなくて、借金なければ誰でもよいと思っていた。
同じ業界だったのもあり仕事の話も出来るし、顔もタイプだし、何よりお金を持ってたので借金がないというのは精神衛生上とってもよかった。
ほどなくして付き合うことになった彼は敬虔なクリスチャンだった。
車のエンジンかけたら爆音で賛美歌が流れて慌ててミスチルに変えたりするところとか、クリスマスは家族と過ごす日だから恋人とは過ごさないよとか言っちゃうところとか、日曜日は教会に行くとか、神様に感謝して生きるところとか、無宗教の私からすると異世界の住人と過ごすことは新しい発見の連続で刺激的だった。
しかし、何かでキマってるな〜コイツっていうときは時々あって、家に行くと全裸で踊りながら出迎えられる事も一度や二度ではなく、その上翌朝には記憶がほとんど残ってない。
出張先で飲み過ぎたのか朝起きれずに仕事を飛ばしたってのを聞いた時は流石にヤバイ奴なのかもしれないと感じ始めていた。
そして徐々に感じ始める他の女の影。
なすちゃんとは将来の事真剣に考えてる、結婚したいと思ってる、とはいっていた。
それなのに、「前に置いていった私の化粧水どこ?」って聞いたらメイク落としを渡してきて、それじゃないっていったらさらに違うメイク落としを出して来やがった。
「このメイク落とし私のじゃないんだけど」
「実家にあったものもってきちゃったのかな?だから姉のかな?」
って、そんな訳あるかよふざけんなよ。
そして数日前の美女と野獣のチケットを発見。誰といったかはわからないが男友達とか一人では行かないだろうし怪しい。
そんなある日、家でご飯を食べた後にその男がソファーで寝落ちたので、最近忙しかったと言っていたしちょっと片付けでもしてあげようと思い立った。
片付けの途中、財布を落としてしまい中身をぶちまけてしまう。
お金やカードに混じってプリクラがあるのが見えた。遠目から見ても女と2ショットで写ってるのが見える。
心拍数が一気に上がり、吐き気を催してくる。
しかし見てしまった以上確認しない訳には行かない。
手にとって見てみると3枚のプリクラがありなんと3枚とも違う女。
しかも婚活パーティーのカップルカードまで出てくる始末。
ブチギ切れた私、「起きろ!死ね最低男!!」と言ってビンタするもお薬飲んで爆睡してるので起きず。
もうどうでもいいやと思って、禁断の
携帯を見る
をしてしまった。
そしたら出るわでるわ、いろんな婚活パーティーからのメール、いろんな女からのメール。
プリクラ女のうちの一人からのメールも発見して、付き合ってるのにこんなに会えないの無理だからやっぱり別れようってメールを発見する。
待て待て、浮気とか二股とかそういうレベルじゃねーぞコイツは。
5人?いや6人?パッとメール見ただけでそのくらいの女の名前がある。
眩暈がしてきた。
プリクラを財布に戻し、男が寝ている間に逃げるように家に帰った。
翌日男から電話がくるが、何も気づいていない男というのは呑気なものだ。別れ話をするのもめんどくさいのでいつ切り出そうかと思いつつ先送りにしていた。そのテンションの低下を感じ取ったのか、今まで毎日なんて絶対電話してこなかったのに毎日くる電話。
クリスマス翌日には鬼電がきて、クリスマスミサでの聖書の一節や神父様の言葉を朗読される。
何が神様じゃ・・・・ゲス野郎が・・・・一番神に背く行動してるのテメェだろうがよ地獄に落ちろクソ野郎・・・・・
ある日友達と飲んでる時に電話がきて、あとで掛け直すといったら、こんなに忙しくして稼いでるんだからいつでもかけられるわけじゃないのになんで切ろうとするんだ!!!とまくし立てられ、ついにプリクラ見たことを暴露した。
そしたら、それだけで判断するのか!っと逆ギレされる始末。
さすがに携帯を見たことは言えなかったし、その時みた生々しいやりとりの数々を思い出すのは嫌だった。
こんな状態を続けるのも限界になり結局は別れることになったのだが、その男の行動の根底にある考え方は、お金もあり優秀な俺の遺伝子を残すために必要な最良の相手を探しており、そのための手段は選ばない、私は将来の嫁候補の第一位ではあるが、よりよい人がいる可能性を考えて色々な人と出会っている、というものであった。小さい頃はお金で苦労した経験があったようで、お金で苦労しない人生を送りたいと強く願った彼は、愛すらお金で手に入れようとしていたのだ。
顔本で近況を知ったが、まだ最良の相手には出会えていないようだった。
別れたあと友人に言われた言葉がある。
周りがみんな結婚してるしそろそろしたいなーとかそんな気持ちだったら結婚しない方がいいよ、結婚はゴールじゃなくてそこからがスタートだから、そういう気持ちで結婚するとうまく行かない事も多いよ、事実自分はそれで失敗したよ、と。
その言葉を言われて、私ちょっと焦りすぎていたのかも、と気がづいた。
結婚したいわけではなかったが、その言葉をちらつかされたことで舞い上がってしまい、その人の本質を見ようとしてなかった。
結婚ありきで相手を見ていたら、うまくいくものもうまくいかない。
今の私、そもそも自分とちゃんと向き合ってない。
自分一人の時間を楽しめない人は、誰かを楽しませることはできないし、自分を愛せない人は人から愛されない。
そんなあたりまえのことにようやく気がついた30歳。
思えば今までの人生を振り返ると、一人になるのが怖くて誰かに依存して生きてきたように思う。
もういい歳した大人だし、本当の意味での自立をしなければいけない。
そう決意し、もう変な男とは付き合わないと固く心に誓ったのであった。
しかし、一度落ちた負のスパイラルからはそう簡単には抜け出せなかったのである。
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