クリスマスのちぎれそうな思い出
小さい頃、クリスマスの時期になると母が銀座のサンリオショップに連れて行ってくれた。今はなき店舗でなんだけどお店の中はそれはそれは夢の世界で(店内にメリーゴーランドがあった)、何も買ってもらえないけどその時間と空間が大好きだった。
母の機嫌がいいときは、たまに「いちご新聞」を買ってもらえた。すごくうれしかった。
クリスマスの銀座は賑やかで華やかで、「特別な日なんだ」と子ども心にときめいてたのを覚えている。
だからこそ、家に帰ると落差に落ち込むんだよね。
クリスマスは、なんだか通信簿みたいだった。
1年間、私がいい子にしていたかどうかを母がサンタに報告するっていうしくみだったんだけど、プレゼントがない朝は口も聞けないくらい落ち込んだ。
だって、どうやって反省したらいい?
2学期末にもらえる通信簿の成績と違って、何がダメだったのかもわからない。
「お前はこの1年間悪い子だったんだぞ」って評価と、おもちゃを期待しちゃった恥ずかしさと、街の華やかさとのギャップに死にたくなった。
1日中泣きたくてしょうがなかったしそれが母を苛立たせて悪循環だった。
そういう悲しさから心を守るために、子どもの頃の私は早くからサンタを卒業した。
サンタなんていない。
大人になった今、クリスマスは好きだ。
評価されたり悲しくなることのないクリスマス。
大切な人にただただ喜んでほしいがために、私はクリスマスを口実に楽しい思い出をつくりたい。