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その少女は変化を拒んで成長しない

母は多感な少女みたいな人だ。
いくら時間が経っても、自分の子どもがどれだけ成長しても、母は変わらずに少女のまま。
まるで変わっていくことを拒んでいるように。

「お母さんって子どもみたい」っていうのは、実は小学生の頃から感じていた。母子家庭で厳しく育てられたけど、弱くて乙女な母がひとりで働いて子育てするなんて、子ども心に無理だと思った。

少女らしさは、恋愛にもあらわれていた。
さみしさからいつも母には恋人がいて、そのたびに「新しいお父さんだよ」って紹介された。
清水さん、金井さん、田中さん……
名前も知らないお父さんもたくさんいたな。
私は床に寝ていて、起きたら母と「新しいお父さん」が裸だったのもよく目の当たりにした。

母の恋愛の免罪符は「あんたに父親が必要だからがんばって探している」とのことだった。

びっくりしたのは、母と新しいお父さんが結婚式を挙げた直後、ホテルから私を連れて逃げたこと。
確か母は何かにすごく憤っていた。
私は新しいお父さん、新しい家、新しい暮らしにすごくワクワクしていたんだけど、なんの説明もなくその未来は消えてなくなった。

結局母は再婚した。
母が絶対神として君臨していた母子家庭じゃなくなってほっとした。これから私だけ怒られることは少なくなるだろうって。
父の連れ子でいきなり弟と妹もできた。

ただ、それからが試練の連続だったんだ。

母が少女で居続けたから、私は早くから精神的に自律できたように思う。母の少女エピソードはまた。

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