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セガサターン30周年! 当時の制作者が語る秘話シリーズ─あの、4年間 1994〜1998・第3回─「ひみつ戦隊メタモルV」 遠藤正二朗


『Beep21』セガサターン30周年記念臨時増刊号の特別寄稿に遠藤正二朗氏がセガサターン時代に手がけた3タイトルを順に振り返っていく回顧録。第3回は「ひみつ戦隊メタモルV」です。

「ひみつ戦隊メタモルV」(毎日コミュニケーションズ / 1998年4月23日発売 / 5,800円 ※当時)セガサターン読者レース歴代12位/最終評点 9.4493

 1997年初夏(※1)、パブリッシャーを毎日コミュニケーションズ(以下、毎コミ ※現・株式会社マイナビ)様に移し、我々は新作であり、セガサターンとしては2024年現在最後となるゲームソフト『ひみつ戦隊メタモルV』の開発に着手しました。橋本真也が小川直也に潰され、『デビルマンレディ』の連載がスタートし、ケータイからメールを送れるようになった、そんな時代のお話です。

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企画の経緯と開発にあたって

 今作については、パブリッシャーがこれまでのビクターエンタテインメント様から毎日コミュニケーションズ様へと移り変わります。毎コミさんは前作マリカの際、出版社として攻略本を作っていただいた経緯があり、そのやりとりで面識を持つことになりました。当時、毎コミさんはビデオゲームパブリッシャーとしていくつかのタイトルをリリースしていて、サターンのラインを増やしたいとのことでした。スタジオとして、マリカに続くお仕事を必要としていた双方の希望は合致し、ただちにサターンでのゲーム開発の同意に至りました。時期的には、マリカの開発末期頃からの交渉開始だったと記憶しています。
 毎コミさんからの要望は確か、女の子の魅力をかしたゲーム、ということでした。打ち合わせ先からスタジオに戻った私は、スタッフとミーティングを始めます。まず、ゲームジャンルとして提示されたスケジュールと開発予算を考えると、自分たちが得意としてもっとも効率よく開発できる、「メタルファイターMIKU」の流れを汲んだ2Dアドベンチャーゲームが適しているとの結論に達しました(※2)。画面構成や音声回りの取り回しもMIKUを踏襲とうしゅう、その上でクオリティアップを目指そう。合意は形成されていくのですが、肝心の「どのような感じのエンターテインメント?」といった点ではなかなか意見がまとまりません。そのような中、スタッフの中から出てきたアイディアが“魔法少女モノ+戦隊モノ”はどうだろう、と言った内容でした(※3)。

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セガサターン30周年の決定版的な内容で、今後もセガサターンに関する新しい記事が追加されていきます。ぜひお楽しみください!

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