セガサターン版「電脳戦機バーチャロン」の思い出
電暦拾遺、四回目となります。
前二回、ちょっとゲームデザイン寄りのニッチな深掘り系の話が続きました。読み手を選ぶ内容であることに危惧を抱かれてしまったのか、このたびBeep21さんから「セガサターン版バーチャロンについて書くように。分かりやすく」との厳命がくだりました(※1)。
やってみます。
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光輝くセガサターンが…
セガサターンは、バーチャロイド背面にあるVコンバータのモチーフになっていることもあり(※2)、個人的には思い出深いハードです。当時は個々の機体デザインに先立って全体のレギュレーションを定めようということで、セガゆえのセガらしさを纏わせる方向性、かつ、客観視点のゲーム画面であることも勘案し、背部の意匠にこだわる線であれこれ考えていました(※3)。しかし、なかなか「これ!」といえるアイデアは出てきません。「そもそもセガらしさとは?」的な探求の果てにゲシュタルト崩壊気味の迷走を経て、ふと目にとまったのが当時の『BEEP!メガドライブ』さんの誌上で紹介されていたセガサターンの試作機画像でした。
たしか、メタリックシルバーな質感で、漠然とではありますが、いかにも「セガっぽい」ハイテクな輝きや訴求力があるように思われ、「これしかないのでは?」となりました。テンションが高まっていたので、「我々のゲームに登場する機体はすべからくこれを背負ってフィールド内を走り回るし、ヒートアップするとディスクドライバーが不思議に展開して中のディスクがむき出しになっちゃったりするわけ」などと早口でまくしたて、まわりの人間は引き気味でした。
それでも他に良い対案はなく、この方針で行くことになるわけですが、参考になる資料が雑誌に載った小さな画像だけというのは心許ない。できれば試作品の現物を拝見、あるいは拝借できないものか。そう思い、とりあえずハード研の方に問い合わせてみました。最初はこちらの意図がうまく伝わらず門前払いになりそうだったのですが、食い下がっていたら「ちょっと待ってて」と言われ、でもちょっと待っていてもちっとも音沙汰がないのでしつこく、かなりしつこく催促し続けました。その甲斐あってか、ある日ハード研からラウティング(※4)の紙袋が届いたのです。
はやる心を抑えつつ開封すると、中からは緩衝材に包まれたセガサターンが……
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