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セガサターン30周年! 当時の制作者が語る秘話シリーズ─あの、4年間 1994〜1998・第2回─「マリカ〜真実の世界〜」 遠藤正二朗


『Beep21』セガサターン30周年記念臨時増刊号の特別寄稿に遠藤正二朗氏がセガサターン時代に手がけた3タイトルを順に振り返っていく回顧録。第2回は「マリカ〜真実の世界〜」です。

「マリカ〜真実の世界〜」(ビクターインタラクティブソフトウェア / 1997年6月20日発売 / 5,800円 ※当時)◆セガサターン読者レース歴代97位/最終評点 8.9303◆ ©1997 Victor Interactive Software Inc.

遠藤正二朗氏は『Beep21』で完全新作小説「秘密結社をつくろう(略称 : ひみつく)」を連載中で、メガドライブミニ2登場時には「魔法の少女シルキーリップ」についての制作秘話も明かしていただきました。

遠藤正二朗氏がセガサターンで手がけた三作品についての回顧録も、あわせてご覧ください!

▼第1回「メタルファイターMIKU」はこちらから

▼第3回「ひみつ戦隊メタモルV」はこちらから

▼本記事はこちらからご覧いただけます!

 1995年秋、「メタルファイターMIKU」から引き続き、我々はビクターエンタテインメント様の依頼を受け、「マリカ〜真実の世界〜」の開発に着手します。Windows95が発売され、新世紀エヴァンゲリオンの放送が始まり、カラオケボックスという娯楽がアニメファンにも定着し、カルトに認定された、ある組織による地下鉄テロ事件で世間が揺れていたころのお話です。

企画の経緯と開発にあたって

 「メタルファイターMIKU」開発末期にあたる1995年春、我々はビクターエンタテインメント様より、次回作の打診を受けました。今回は原作のないオリジナルタイトルで、企画内容については“18歳推奨枠でのリリース”、“女性キャラクターを主軸とした構成”の二点を満たすことが前提条件とのことでした(※1、※2)
 さかのぼること1994年夏、MIKUの開発提案を受ける以前、私はビクターさんにひとつの企画案を提示していました。それは、いわゆる戦隊モノをベースアイデアとして現代を舞台としたRPGで、企画内容は一定の評価を受けたものの、ひとまず初手としてMIKUの開発が優先されることになりました。従って、18歳推奨の女性キャラクターを主軸とした新作において、この戦隊モノRPGの企画を再構成する形で進めていくことにしました。RPGのパーティー構成は五人の少女、それぞれが超能力者で念動力やテレポート、テレパシーといったオーソドックスな能力をRPGの魔法やスキルに置き換え、現代社会を舞台にテロリストとの戦いがり広げられる、といった概要を取りまとめ、企画書を提出しました。

当時の企画書表紙(※今回の回顧録にあたり発掘されました)

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セガサターン30周年の決定版的な内容で、今後もセガサターンに関する新しい記事が追加されていきます。ぜひお楽しみください!

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