舞台 ・笑の大学
1996年の初演の時に東京で私はこのお芝居を観た。
当時の出演者は、西村雅彦さんと近藤芳正さんだった。
その後映画化された時も観た。
映画版の出演者は、役所広司さんと稲垣吾郎さんだった。
そして初演から四半世紀経って今回は瀬戸康史さんと内野聖陽さんである。
私の中では「なるほどな...」という納得の配役だと思った。
「四半世紀ぶりに再演します」というお知らせを頂いた時は、一瞬時が止まったような気分になった。27年前の舞台を思い出し、そして自分の27年前を思い出した。
今回の資料を拝見すると、なんとラジオ版や落語版もあったそうだ。
それは残念ながら知らなかった。
この作品は三谷幸喜作品の中でも傑作な作品だと個人的には思っている。
他に「12人の優しい日本人」という傑作もあるが、この「笑の大学」は二人芝居ということもあり、台詞のひとつひとつが洗練されていて、とても重要な意味を持っていておもしろい。
内容は隅々まで知っている。
あとはこの二人が向坂と椿をどう演じてくれるかだけが楽しみで、
ワクワクしながら劇場に足を運んだ。
ちょうど劇場のど真ん中といういい席が取れて、いい感じに舞台全体と登場人物を見ることができた。
これまで観てきた役者さんと比べるのは愚の骨頂で、そんなことは頭の片隅にもなかったのだけど、演技がどうのこうのということより、見た目が洗練されている二人であった。
隣で観てらしたおばさま方は「わぁ〜二人ともイケメン」と喜んでらしたくらいだがら。
確かに私もそう思ったが、そんな見た目がどうのということは始まってすぐに吹っ飛んでしまった。
二人の力の入れ具合抜き具合、セリフの外し方間の取り方など素晴らしくて、最初はストリーと関係なく涙が溢れてきた。
いい演技といい役者を観ることは泣くに値すると思っているから遠慮なく泣かせてもらう。
瀬戸康史さんのお芝居を舞台で観るのは初めてだったけど、すごいよ。
あの若さで内野聖陽さんと対等にやり合ってるのだから。
*
物語の結末はここには書かないが、切なく、哀しく、ほろ苦い二人の男たちに拍手を送る。
結末を知ってるはずなのに、ラストシーンは切なくて哀しくて涙が流れた。
いいお芝居だった。
また何年か後、この作品に会えることを願う。
作・演出:三谷幸喜
出演:内野聖陽、瀬戸康史
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