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あなたは私に、冷たくて甘い

2020.7.30(木曜日)  See The Doctor

私は強度のドライアイ患者である。3種類の点眼薬を常に持ち歩いている。それらがないと目を開けていられなくなるくらいの痛みが出る。シャンプーが目に入っ時や玉ねぎをみじん切りにする時のあれと似た痛みだ。朝、目覚めた時が一番辛くて、できるだけ目を細めに開けて小さな隙間から目薬をさす。それをしないでいきなり目を開けるとヒリヒリとした痛みが襲ってくる。「開けていたならいざ知らず、ひと晩中目を閉じていたのになぜ目が乾くのか?」私はそれが長年不思議でならなかった。ある日担当医に聞いてみた。担当医は「口を閉じていても喉が乾くのと同じです。体内で水分はどんどん失われています」と、こんなことも知らないのかというような厳しい口調で言われた。その口調がなんかいい。なんか懐かしい感じが好き。学校の先生が出来の悪い生徒に呆れた調子て言う感じに似ていた。その時大袈裟にも私はこの医師に一生ついていこうと思った。

そういうことで、今日は2ヶ月に1度の眼科定期検診の日だ。ドライアイごとき(私は「ごとき」とは思っていないが、そう思っている人は多い)で大学病院に行くのかと思われがちだが、私はここの眼科医が好きで通っている。好きといっても医師として好きなだけで、恋愛感情などない。それに担当医は女性医師だ。この医師に診てもらう前は違う病院で診てもらっていた。以前の医師は「ドライアイごときで...」という考えを持っていて、言葉使いなどは優しいが、真剣に私と向き合ってはくれなかった。参考までにそれは男性医師だ。それが嫌で新しい病院探しを始めて何度目かで大学病院のドライアイ外来にいる今の医師に出会った。言葉はキツい。嫌われているのかなと思うほどキツい。ちゃんとできない患者を叱ったりしている時もある。でもちゃんと質問にも答えてくれるし帰り際に「気をつけるのよ、気を抜かないでね」と声をかけてくれる甘さもある。

私はいろいろ診療科を定期検診のような感じで受診しているが、担当医の3分の2が女医さんだ。自分から選んでいるわけではないが、偶然にもそうなってる。男性医師が悪いわけでは決してないが、個人的な経験としては女医さんの方が私の中での信用度が高い(あくまでも個人的見解)。

今日も大好きな先生に会う嬉しさでいそいそと病院に出かけた。さすがに大学病院、予約していても待ち時間は1時間。読書をしたり、お水を飲んだり、トイレに行ったり、1時間はやっぱり長い。やっと私の名前が呼ばれて診察室に入ると、真っ赤なメガネをかけた医師が私を見て「ごめん、だいぶん待たせたね」とキツめの口調で言い放った。

やっぱりこの人、好きだ。言い放つ感じが好き。

私ってひょっとしてマゾヒスト...。

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イトカズ
読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。