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過去は否応なしにやって来る

2023.4.14(金曜日)  a distant memory

今日も街は砂だらけ。
『春霞』といえば聞こえはいいが『黄砂』である。

午前中、せっせせっせと自分のベッドルームの掃除をする。
ベッドの横にある棚からいらないものをどんどん捨てる。
一番上の引き出しに取り掛かったところ、奥の方から何やらメモ書きしてある小さな紙が2枚出てきた。それは日めくりカレンダーの裏を使用したメモで、何が書いてあるのだろうと読んでみたら、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」の第2楽章のあの有名なメロディに、作詞家・堀内敬三が日本語の歌詞をつけた楽曲の歌詞を書き写したものだった。

1.
遠き山に 日は落ちて
星は空を ちりばめぬ
今日の業(わざ)を なし終えて
心軽く 安らえば
風は涼し この夕べ
いざや 楽しき まどいせん
まどいせん

2.
やみに燃えし かがり火は
ほのお今は 鎮まりぬ
眠れ安く いこえよと
さそうごとく 消えゆけば
安き御手(みて)に 守られて
いざや 楽しき 夢を見ん
夢を見ん

これを書いた覚えはないのだけど、確かに私の字だから私が書いたのに間違いはない。
裏の日めくりカレンダーの日付を見ると2013年5月21日と22日の分だった。
ほぼ10年前…
私は何を感じて何を思ってこれを書いたのだろう。そして引き出しの奥にしまったのだろう。
思い出って忘れていくね。
重要なこともどうでもいいことも、どんどん、どんどん忘れていく。
果たしてこのメモは10年前の私にとって重要なことだったのだろうか?
忘れそうになると、こうやって秒速で過去から飛んでくる。
ただ過去の秒速サービスとは裏腹に、私は一向にそのことを思い出せないでいる。申し訳ない限りだ。

気を取り直して本屋に散歩に行く。
片っ端から気になる本をパラパラとめくっていく。
女性雑誌を立ち読みしていると、加賀まりこさんのインタビュー記事があったので真剣に読む。
その中に『たいがいの愚痴や悩みって、人の目を気にするところから生まれる』というふうなことをおっしゃってて、納得した。
友人の中でも人の目を意識する人ほど、悩みが多いのは実体験で感じていた。(あくまでも私の経験上での話だけど)人の目を意識し過ぎる人はやっぱり他人と自分を比べているのだよ。
この雑誌を友人に読ませてあげないなぁ。
でも、雑誌を読んだくらいじゃ長年の性格は変わらないか…

本屋の散歩1時間。
文庫本2冊の収穫。


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イトカズ
読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。