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いそいそとした外出は悲しげな帰りをもたらす

2023.10.10(火) go out for lunch


雨があがって空気は梅雨時期のようなムッとした感じがある。
しかし、ほんのちょっと前の狂気に満ちた暑さがないことを私は喜ばなければならない。

早朝のベランダに立つと、下の通りをランニングする人やウォーキングをする人がたくさん見える。顔つきまでは見えないが、やる気に満ちて楽しいのだろうか?それとも嫌々やってて苦しいのだろうか?と思いを馳せる。
朝の気温が30度を下回ったら私もウォーキングを始めようかなと密かに考えていたのだが、とっくに30度を下回ったというのに全然実行に移せないでいる。「今日は雨が降っているから」「今日は腰痛があるから」「今日は嫌な夢を見たから」と、そういう理由だけはいくらでも考えつく。
まぁ、自分に甘いのである。

友人Hから連絡があって「何かいいものを食べましょう」ということで出かける。この時期は平日であっても人が多い。観光客もそうだが買い物客なども結構出かけて来ているように思う。
急に涼しくなって季節物の洋服などを買いにきたか、食欲の秋ということで旬の食材などを買いに来たか、まぁそんなところだろう。
梅田での外食は、好きなものが食べれるとは限らない。正確に言えば、好きなものが食べたければそれ相当の覚悟が必要だということだ。

「何、食べる?」
「何か食べたいもんある?」
「私、天ぷらが食べたいわ」
「いいわね、天ぷら」
「でも5組以上並んでたらやめましょうね」
「そりゃそうよ」

私の行きつけの天ぷら屋に案内する。
幸運にも1組しか並んでなかった。その1組もすぐに呼ばれて中に入っていった。それから5分ほどしたら店の方が「カウンターでよろしければすぐにご案内できるんですが...」と申し訳なさそうに言う。私たちはテーブル席よりカウンターの方が好きなタイプなので「はい、いいですよ」と二つ返事で入れてもらった。
お酒を飲みながら板さんのおまかせを揚げてもらう。
カウンターに座るメリットは板さんが客の食べるスピードなどを見ながらそれに合わせて揚げてくれるから常に熱々が食べれるのが好きだ。
ふたりして「おいしい、おいしい」を連発しながら食べる。
「おいしい」以外はしゃべったらいけないとでも言われたみたいに「おいしい」を連発する。

「なんだかんだ言ってるうちにもうすぐ年の瀬ね」
「忙しくなるね」
「忙しいのに飽きたわ」
「わかる」
「忙しいには飽きるのよ」
「若い人で忙しいのを自慢している人を見ると、いつかそれ飽きるからって言ってやりたくなる」
「いろなことに飽きるね」
「でも飽きるから次の興味が出てくるんだからいいじゃない」

などと取り止めのないことを天ぷらの後に入ったカフェで話して「じゃ、この辺で」と、お別れする。
私は曽根崎通りをのろのろ歩きながら、金つばが食べたくなってちょっと遠回りして福島の『出入橋きんつば屋』に寄った。食べながら歩く。行儀悪いのはわかっているがどうしても今食べたかった。金つばひとつ食べるだけで粋な人になったような気分になるから私って単純バカ。
食べてる途中でぽつぽつと雨が、あらまぁと思い急ぎ足になる。
東の空が真っ暗だ。
手に持った金つがばを落とさないようにあたふたしながら帰ってきた。

金つばはお好き?



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イトカズ
読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。