掃除考
20代や30代の時に取り組んでいた仕事というのは、力技で何とかなるものがほとんどで、大変だ大変だと言ったところで、所詮は自分の力量の範囲以上のものはなかったと思います。それが50代に入った途端に変わって来ました。
いま自分が取り組もうとしている「農福連携」ですが、時々「自分の力量以上の事をやろうとしているのではないか」と不安になる事があります。なぜならば、養蜂や農業、また福祉に関しても私は経験が浅く、その道のプロの人から見れば明らかに素人で、「何一つわかっていない」からです。養蜂にしても、やればやるほど「自分はミツバチの事など何一つわかっていないんだ」という確信は深まるばかりで、前に進んでいる気がしません。福祉も同じです。
昨日は腰痛が酷く、力仕事も座り仕事も出来なかったので、剪定バサミと熊手を持って、一日中庭掃除をしていました。掃除は腰に負担がかからずに達成感が得られる素晴らしい仕事で、やればやっただけ前に進み、成果が目に見えます。シンプルに目の前の事に集中して手を動かしているうちに、少し前向きな気持ちになれた次第です。
ところで、私に養蜂を教えてくれた師匠の庭はいつ伺っても綺麗に掃除されていて、またいつ蜂場に行っても、巣門の前の草は丁寧に抜かれ、蜂場にはいつもさっぱりと新鮮な空気が流れていました。師匠の元を去ってそろそろ10年になろうとしていますが、私と師匠の間には未だに大きな差があり、その差は全く縮まっていない気がしています。
いつか自信を持って師匠に会える日が来るのか。いや、まだまだその日は遠いです。