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よく聞かれる「牛心。」の由来

高知の音楽家・ギタリストの牛心。です、うしこころ、です。
「どうして牛心。なんですか?」とリアルで定期的に聞かれるので由来を記録しておきます。

由来はCaptain Beefheart

ネーミングの由来は一言でいうと
「Captain Beefheartというアーティストをもじった」で終わりです。
ご存知ですか、ビーフハート。

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その界隈では有名な TROUT MASK REPLICA/CAPTAIN BEEFHEART & HIS MAGIC BAND というアルバムがあるのですが、18歳くらいの頃にライブバーのマスターから「1年に1回は聴きたくなる」と紹介されて知りました。

どんな音楽かというと、まぁYouTubeにもあるので30秒くらい聴いてくれたら雰囲気が分かると思います。
グチャーっとした、素人が聴いても「なにこれ下手だね」って分かる音楽です。
で、僕がこういう下手っぴな演奏を面白おかしく引用してもじってるって訳ではありません。いや勿論、面白いし大好きなんですけど。


素人の友達を集めて作られたアルバム
「TROUT MASK REPLICA」

このアルバムがなんでこんな破壊的なサウンドなのかというと、楽器未経験の友達を集めて山籠りして作ったアルバムだからです。
どうしてそうなったかはWikiがだいたい詳しい理由を説明してくれるので割愛しますが、当時10代後半の僕にはまず「こんなバカバカしい企画アルバムが世界的な名盤なんだ!」と衝撃を受けました。

マスターからCDを借りて、最初は単純にそのバカバカしさが好きで友達に聴かせて回りました。これ下手やろ?wwみたいな感じでした。
でもそれを続けているうちに、次第にこのアルバムの「音自体」がとてもクリアで美しいことに気がついてきました。

まずドラムの音が生々しい、下手だけど。
ギターとベースが勢いある、明らかに上手くはないけどギターは勢いあればいい。
歌がめっちゃ歪んでるしカッコいい、ビーフハート本人による。彼はブルースシンガーでありマルチリード奏者なんですが、慣れてくると普通に渋いしかっこいい。

そして曲がかっこいい、それに耳に残る。

という感じで、まんまとビーフハートとフランク・ザッパの術中にはまってしい、借りたCDを返した足でTSUTAYAにてTROUT MASK REPLICAを購入してしまった。


影響を受けてフリーセッションを始めた

誰でも音楽やってたらアーティスティックな存在に憧れ、岡本太郎の「自分の中に毒を持て」を読んで感激する時代があるはず(?)。
自分の在り方と作品を繋げたかったり、誰にも媚びずに純粋な自分らしさを求めたりする厨二的な時代が、僕にもありました。

そういう多感な頃に、このヘンテコなアルバムにハマってしまい、「よし、我も仲間集めてセッション録音しよ!」と思い立ち、完全にフリーなセッションを開催し始めました。20歳くらいでした。
とりあえずビーフハートの面白さに気づいた友人を中心に、何ヶ月かごとに集まって録音機能付ポータブルMDの設定をLP4にして録音。別に聞き返す訳でもなく、記録のつもりで。
(そのうちこのセッションしてる誰かが超ビッグになったらブートレッグとして売ろうとは思ってた(笑))

そのセッションでの気づきは、相手の音を聴くためには楽器をもっと自在に弾けなきゃいけないってことで、これは音楽に限らず、相手の意図や真意を汲み取るには自分の知識や教養を深めなきゃいけないってことも同時に悟ったのでした。
この発想は今も常に気をつけてることで、例えば相手の言い分がよく理解できないとき、それは相手の知ってる領域の中に自分が知らない分野があるぞ、と考えるようにしています。
理解できないときは聞く、具体的に自分の分かる範囲に会話を引き込む。そういうテクニックも磨かなきゃなぁと気がつけた。

TROUT MASK REPLICAからの学び①
『相手を理解するには自分を磨かなきゃいけない』


「よく分からない」への好奇心

正直、いま聴いてもTROUT MASK REPLICAはヘンテコな音楽ばかりで、これが一般的に受け入れられるものであるべきだとは全然思いません。ましてや僕の作る音楽に似ても似つかぬサウンドです。人はもっと心地よい音楽に身を委ねた方がハッピーに違いない(笑)

でも「なんじゃこりゃ!!?」という存在であり続けるのがこのアルバムでもあります。このアルバムは、自分の知識や経験が通用しない。いつまでも「よく分からない」のです。
社会や世間は「分かりやすさ」を必要としているし、そっちの方が気持ちいいというか、楽だし快適ですよね。
ただ、分かりやすさ志向は「分かりにくい」を排除しがちです。そこにどんな可能性があるかも知らないまま、捨てちゃう。美味しい部位かもしれないのにグロテスクだからって捨てられてきたホルモンみたいなもんです。

向学心だとか、向上心を支えているのはきっと好奇心です。
好奇心って、分からないから興味を持つってことですよね。
だからもし「なんだこりゃよく分からんな」という場面に直面したら、そこは率先して「なになになに、何が起こってるの?!」と目をキラキラさせる。そんな気持ちを忘れちゃいけない。その好奇心は、向上心そのものだと思うから。

TROUT MASK REPLICAからの学び②
『よく分からないを排除しない』


感覚を信じる

幼稚園とか小学校低学年の合唱って感動しませんか?僕は涙が出そうになります、自分の子どもでもないのに。それって何故でしょうね?もしくは、高校生バンドがパンクのコピーバンドしているのを見て、ときどき泣いちゃいます。曲も知らんのに。
頭で考えると、そこには社会的なストーリーがあって、そのストーリーに感動してるんだ云々。
人が絶叫しているサウンドに含まれる倍音の美しさ、50Hz以下の低域の揺らぎ、そういう具体的なサウンドの美しさに感動しちゃうのではないか。
理屈はいくらでも思いつくのですが、答えはよく分かりません。言葉では説明できないものかもしれない。

だけど何かに感動したり、美しいと感じることは事実でしょ。いま実際そう感じてるその感覚は自分にとってリアルじゃないですか。
僕がTROUT MASK REPLICAを聴いて感じる美しさも、理由が分からないから余計に、自分の感覚のみによって定義づけるしかないというか、そこには雑味のない感性や好みが生まれるのだと思います。

このアルバム、たぶん普通の人に聞かせたら「これ音楽なの?」って変な顔されると思うし、そう感じちゃう人の好みも、もちろん本物。
だけど、これがとても美しく感じる僕の感覚も本物。
どっちも本物。それでいいし、同じになる必要もない。


TROUT MASK REPLICAからの学び③
『説明できない感覚は本物』


気がつく人がいたらいいな。

大事なことを沢山教えてくれたCaptain BeefheartのTROUT MASK REPLICAなんですが、2005年頃にアバターチャットのコミュニティが面白いってので僕も乗っかってアバターを作った際、つけたハンドルネームが牛心。でした。

ビーフハート、牛肉、心、牛、心、牛心。

誰かこのネーミングを見て「あ、もしかしてビーフハート好きなの?」と気がついてくれたら、絶対友達になれるぞ!っていうアイデアでチョイスしたのでした。
実際のところ、牛心。というハンドルネームでビーフハートと繋がる人はオンではいなかったけど、バークリー時分にたった1人だけ「もしかしてビーフハートから・・・?」と気がついてくれた友人がいます。

気づいてくれる人がいたらいいな、と思いながら、別に気付かれなくても信条としては悪い名付けじゃないなと思いまして、今では屋号にもなってます。

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幸いbeefとsoulの組み合わせは当時は誰も使ってないドメインだったのでGMAILのアカウントもbeefsoul@gmail.comです。英語ネイティブの人にもユニークだねって興味を持たれるようなネーミングになりました。

いまの僕の活動はビーフハート本人のそれとは関係ない感じですが(笑)
学びをおさらいしましょう。

TROUT MASK REPLICAからの学び
『相手を理解するには自分を磨かなきゃいけない』
『よく分からないを排除しない』
『説明できない感覚は本物』

TROUT MASK REPLICAでビーフハートが友達を集めて作品を創作したみたいに、できれば仲良しと一緒に創作したいと僕は考えています。
ゲラゲラ笑いながら作る作品はクォリティも高いってのを信条にしています。

そんな感じでぼちぼち今後も活動していきますので。
お、俺もビーフハート好きだよって方は是非フォロー&スキをどうぞ!
(そうでなくても是非どうぞ)

今後ともどうぞよろしく。

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牛心。
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