#002 山岡牧場について
牧場の概要
山岡牧場は広島県安芸高田市に所在しています。黒毛和種の子牛を導入して飼育し、出荷をする肥育農家です。
飼養頭数は40頭前後と、近年の規模の拡大トレンドからすれば中小零細規模。
その他に食用米を育て、副産物である稲わらを飼料として活用。牛糞堆肥を散布し、土壌改良をするなど耕畜連携に積極的に取り組んでいます。
2000年より飼料米の生産に着手し、収穫した飼料米を自ら製粉機で米粉にして飼料として牛に給与しています。
牧場の歴史
祖父の代に農耕用ではなく肉用牛として肥育事業を始め、父の代で120頭まで規模を拡大。子牛の生産から肥育して出荷を行う"一貫経営"に取り組んだり、交雑牛のスモールを肥育したり、試行錯誤を続けます。
その時点では牛をつなぎ留めて飼養する構造の牛舎(ツナギ牛舎)。牛が自由に動き回れない一方で、1頭あたりの飼養面積が小さくて済むため、小さな牛舎でも多くの牛を飼育することができました。
その後、2010年口蹄疫の発生や2013年牛海綿状脳症(BSE)の発生、2014年安愚楽牧場の破産など大きなニュースが相次ぎます。
そのように経営環境が大きく変化する中、頭数を多く飼養するためのツナギ牛舎の限界を感じ、その他試行錯誤の結果も踏まえ、経営規模の抜本的な見直しを行いました。具体的には飼養頭数を減らし、牛が自由に行動できるマス飼い牛舎へ改修しました。
1頭あたりの飼養面積を確保し、飼育環境の改善を図りました。
特に2014年安愚楽牧場の破産によって、繁殖親牛が減少。結果、生まれてくる子牛の頭数も減少し、需給のバランスが崩れて子牛価格が高騰し始めました。
それにより肥育農家は想定した頭数を確保するための費用が急増する、もしくは確保できないという事態に陥ります。うちの牧場も一時飼養頭数が33頭(2017年)にまで減少しました。
過去に例のない子牛価格の高騰に悩まされるものの、当時枝肉価格も高水準を記録していました。
その年に私がUターン就農をすることになります。畜産に関する専門的な教育を受けることなく、OJTで作業や牛に関して学ぶ道を私は選びました。
子牛を思うように導入できない状態を踏まえ、導入する子牛の評価基準を先入観なく見直しました。子牛の評価基準をそれまでの”血統・発育ともに優れた子牛"から"発育の劣る子牛"に変更し、肥育期間も延長することで発育期間を確保します。
今後の展望
牛舎の環境を整え、発育の劣る牛を肥育期間を延長して育てる方針に至りましたが、それで経営が軌道に乗るかは自ら実践してデータを集め検証するほかありません。これまでの導入した子牛のデータと肥育成績を分析することで、方針変更後の成績と比較することが可能となります。
今後の投稿で具体的なデータを掲載し、皆さんの参考になるような情報を提供できればと考えています。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今後も硬軟使い分けながら田舎の小さな肥育農家のリアルを伝えていきたいと思います。スキ・コメント・フォローなどを頂けますと励みになります。
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