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地元の捉え方が変わった日。

私は地元が好きじゃない。
親友といえる友人もいなければ、
今ひま?あそぼ!って気軽に誘える仲間もいない。
自分から声をかけないくせに、
声をかけられないと寂しくなって、
そんな葛藤を感じることも嫌だった。
家族ともなんだか分かり合えている気がしない。
だから、大学卒業と同時に地元を離れた。

物理的に距離が離れていれば、
同級生が集まっているのをSNSで見かけても
「誘わなかったのは来るの大変だって
気遣ってくれたからだよね」と
勝手に理由をつけて納得できたから。

社会人になり尊敬する大人たちの中で、
時には荒波に揉まれながらも
必死に生きてきた私は、自分のことながら
両親が思うよりもちょっぴり早く
成長していたのかもしれない。
両親と喋っても、いつまでも子ども扱いされたり、話が合わなかったりして、帰省が面倒になった。

地元・実家より、ひとりで暮らしている家と
周りにいる人たちのほうがずっと心地よかった。

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先日、祖母が入院したと母から連絡を受けた。
1年前に米寿のお祝いをした時は
「腰が曲がっちゃったよ〜」なんて言いながらも、自分の足で歩き階段も登り
満足げな笑顔で懐石料理を食べていた祖母。
気になってお見舞いにいくと
寝たきりでごはんも食べず、見るからに痩せて
元気が無くなった祖母がいた。

私は病院で働いているから
数日で動けなくなる人の現実を多くみてきたが、
それでも自分の家族は大丈夫だと
どこかで思っていた。
例外は無いんだと痛感した。

もうひとりの祖母は今年に入り何度も転んで
額に大きなあざを作っているし、
母はパートで始めた仕事が激務で
1ヶ月で3キロ痩せたらしい。足は大分細くなった。
2人ともまだ動いて食べてお酒も飲んでって
見かけは元気だけど何かと心配事が多い。

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「実家の近くにいるのもありだな〜」

これからどこに住みたい?
って彼と話をすると大抵、
海外、国内の行ったことない街、
旅行をして気に入った場所などがあがり、
地元に戻るなんて選択肢は無かった。

だから、そんな言葉が自分の口から出てくるなんて思わなかった。

家族の体調不良が大きなきっかけではあったが、
絶対的な味方と思えるパートナーの存在、
家族との関わり方、
自分と自分を取り巻く環境が
地元を離れると決意した7年前から今日までに
大きく変わり、”地元”の捉え方も変わった。

仲間がいる場所、帰れる場所、安心できる場所。
“地元”とはそういう場所でなければいけない
と思っていた。

いまは違う。
やっぱり親友も気軽に誘える仲間もいない。
それでも帰りたいって思う。

そう思えたのは、
大切な家族と大切なパートナーがいるから。
“地元”とはただの場所。
大切な人たちと過ごせるのならどこでもいい。
それが今回、”地元”だったってだけの話。

ちなみに私、”地元”自体はとっても好き。
田んぼに囲まれ、空は広く、
自分の家で採れた野菜やお米を食べられ、
お庭で花火もバスケもできる。
虫の鳴き声や星座から季節の移ろいを感じ、
不便を感じないくらいにスーパーも駅も近い。

これからもっと、好きな場所になりそうな予感。

実家のネコ。仲良くしてね?

びぃ

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