アイルランド紀行vol.16 「2001.9.11.」
「学生時代にアイルランドに留学していて、その時の9月11日にアメリカ同時多発テロがあった。」
という話をインターンシップ生にしたら、
「まだ生まれてません。」
と言われた。
そんな前?昨日のことのようなのに。
その数日後に留学を終えてアイルランドを離れることにしていた。
午前中に学校に行って、ビーチの近くをサイクリングして、パブでギネスを飲んで。
いろいろあったけど楽しくて大好きになったアイルランドの港町ゴールウェイ、また絶対帰ってくるぞ、って思って海に向かって
I'll be back!!
とか叫んでた。
そしてホームステイ先に帰ってきたら、ステイ先の他の留学生がテレビにかじりついていた。
飛行機がアメリカのビルに突っ込んだ、とか。
みんな軽くパニくっていて、聞いても状況がよく分からない。
なんで、どゆこと?ってなって、ホストファミリーも帰ってきたけど、会話の大半がOh, my god.でだいたいよく分からなかった。
翌日とりあえず新聞を買って学校へ。
授業になるはずがなく、新聞を音読させられたりしたけど、先生も生徒も、なんでこんなことになったか断片的な情報しかなくよく分からない。
こちとら母国語でもないんだし。
その混乱の2〜3日の間に入ってきたのは、どうやらこの飛行機のビルへの激突はテロらしいという話と、実行犯はイスラム教徒らしいという話、アイルランド人の親子も犠牲になったらしいという話で、とにかくなんとも言えない雰囲気になった。
テレビでは「アメリカ本土が攻撃されたのは真珠湾以来だ」とか言っている。
なんだか急に加害者の一味にされたような気持ち、パールハーバー今言う意味ある?
飛行機が乗っ取られてテロに使われるとか、そんな小説のあらすじじゃ出版社OK出さないでしょ。
国を挙げての追悼の休日があり、お店もパブも閉店。
蔵田のフェアウェルパーティーは開催されず。
でも学校は開いていて、先生や友人たちにお別れを言えたのはよかった。
あのテロの後、なんとなくだけど居心地が悪くなった気がした。
異教徒として、東洋人として、少しだけ距離を置かれているように感じたのはこちらの考え過ぎだったのか、実際そうだったのか分からない。
けど、空港のセキュリティチェックはものすごく厳重になった。
それで安心もしたけど。
これから楽しみにしていたヨーロッパ旅行なのになんてことしてくれたんだ、と思いつつ、今だからこそあらためていろんな国に行ってみて人に会って話をしてみよう、とも思った。
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