〜アイルランド紀行 vol.2〜「西フランスの車窓から」
スペインからフランスに至る電車旅。
頭の中には「世界の車窓から♪」がゆったりと流れていた。
「今日は、サンセバスチャンからフランスのレンヌに向かいます。」
という石丸謙二郎さんの声が聞こえてきそうだった。
フランス語の勉強をしてなかったので、駅の地名やサインが全然分からない。
Bordeauxっていう大きな街を通り過ぎて、「ボルデアークスなんて聞いたことないな。」って思ってたけど、ボルドーだと気づいてひとり恥ずかしかったりした。
(ひとり旅だとその恥ずかしさをシェアする相手がいないのがつらい。)
イギリスに一番距離が近そうなシェルブールという港町から渡英することに決めて、フェリー乗り場に行ったらけど、いい時間の便がなかった。
1泊しようと街に出たら6月の休暇シーズンらしくホテルが開いてないか満室のところばかり。
AirbnbもExpediaもない(そもそもスマホがない)から、ツーリストインフォメーションでもらった地図に書いてあるホテルを訪ねては断られることを繰り返して7〜8軒。
もう心が折れて、
「ごめん、ここのロビーでもいいから、泊めて。」
と頼んだところ返事がひと言、
"No."
そりゃそうだよね、飛び込みの貧乏学生をロビーには泊めんよね。
もう、野宿を覚悟して泣きそう。
でも「フェリー乗り場のすぐそばのホテルなら空いてるかもよ。」と言われ、薄暗くなった街を再びフェリー乗り場へ。
ホテル着。
見るからにええとこ。
1500〜2500円のホステル連泊で節約しようとする中、最安値の部屋が約9000円…。
ツラい、でも、野宿よりはいい!
お部屋に案内してくれた女性スタッフが去り際に笑顔でウインクしてくれて、「フランスには天使が実在する」と確信。
ふかふかのベッド、温かいシャワー、しかも水圧が強い!
なにもかも最高じゃないか!
翌日の朝、フェリーに乗りイギリスへ渡る。
そして自分が乗り物酔いしやすいこと、特にフェリーはやばいことを思い出す楽しい船旅。
揺れたのかな、たしか。
ほとんど何も覚えてない。
(全然アイルランドに着かないじゃないか。)