べべさんの本だより

臨床心理士、公認心理師、NPO理事。心理、社会問題など興味ある分野の本を読んで感じたことを書き留めています。noteを応援してくださる方がいれば、ぜひこちらの事業にご支援をお願いいたします。 https://tfk.yumeshokunin.org/

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noteをはじめた理由

私がnoteをはじめた理由を簡単にまとめておく。 outputの習慣をつける。ひとつめの理由は、outputの習慣をつけるため。 手帳や日記張、ノートなど紙を買うのは好きだけど、記録が続いたことはないわたし。 この年齢、この時代に触れた本や作品について、少しずつ書き留められれば良いと思った。 また習慣化することで、どのような人にも伝わりやすい文章を書くことを身につけたいという思いがあった。 制限のある立場への少しばかりの抵抗こう書くとまるで反抗期の子どものようだが。

    • 本だより(4)「脱・心理学」入門―10代からの文化心理学」新原将義

      今回ご紹介するのは、日常の世界の「当たり前」を心理学的に捉え直そうと試みた一冊。著者は帝京大学高等教育開発センター講師で文化心理学、状況的学習論を専門とする新原将義氏です。 今回は本自体の内容の紹介というよりは、本を通じて思い出した自分自身の心理学との出会いや忘れかけていた視点について振り返りたいと思う。 心理学との出会いこの本を手にとった時に思い出したのは、私が心理学を専攻とすることを志した時期のことだ。臨床心理士として働いていると話すとよく受ける質問の一つに、「人の悩み

      • 本だより(3)「秋葉原事件 加藤智大の軌跡」中島岳志

        今回取り上げるのは、2008年6月に起きた秋葉原無差別殺傷事件の加害者を題材にした「秋葉原事件」です。著者は政治・歴史学者の中島岳志氏。加害者である加藤がなぜあのような犯行に至ったのか、単純化できないプロセスを、彼の生い立ちを追いながら探ったルポとなっています。 感情を整理することまず本書では、加藤という人物の思考のプロセス、行動の基準を表現する際の前提として、加藤家の教育方針がたびたび触れられている。 加藤は怒られる理由を母から説明されたことがなかったという。理由を聞い

        • 本だより(2)「子どもの脳を傷つける親たち」友田明美

          今回ご紹介するのは、小児精神科医の友田明美氏による「子どもの脳を傷つける親たち」です。 「親が子どもの脳を傷つける」という、なかなか刺激的なタイトルですが、虐待や不適切な養育(=本の中ではマルトリートメントと呼んでいます)が脳にどのようなダメージを与えるかを、脳科学的に解説しています。 児童相談所への相談件数も増え続ける昨今、アダルトチルドレン、面前DV(直接暴力を受けるのではなく、目の前で暴力を目撃する、耳にすること)、愛着障害などのことばを耳にする機会は多いのではない

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        noteをはじめた理由

          本だより(1) 「母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き」 信田さよ子

          この本を手に取ったきっかけは、他でもなく私自身の母親だった。母本人から手渡されるというのは相当なプレッシャーではあるが、母自身が本書の内容を正確に受け止めていたのであれば、娘との関係を客観的に見られている、健康度の高さの現れとも言えるだろうか。 本書では母と娘の「境界」が扱われている。カウンセリングルームを開設する著者の元に訪れる相談者の主訴は様々であるが、その根底に母子密着や家族システムの問題を抱えるケースは多くあるという。 著者はアダルトチルドレンをはじめとした家庭内

          本だより(1) 「母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き」 信田さよ子