好きのラスボス青髪テテ
みなさんは青髪テテが出現した時のことを覚えているだろうか?私の戦闘力はほぼゼロなので、一撃くらったら即、求ム仙豆だ。
あのマーメイド、いや、海の男、氷の妖精、いや、やっぱりマーメイド。
疲れている時の汗で濡れた顔は、美しい泉で水浴びしてる壊れかけのアンドロイド。
どんな髪色のテテも大好きだし、黒髪パーマはテテ自身もお気に入りの殿堂入りヘアだけど、青髪とその色落ちを楽しんだミントグリーンの頃は
「かっこよすぎて吐きそう」という断末魔の名言がtwitter上に弾け飛んでいた。
「かっこよすぎて吐きそう」なんて、テテ以外で聞いたことがない!
でもなんとなくわかる。内臓がグワァーって上って来るこの感じ。テテにしか感じたことがない。
アミのみぞおち部分をギュッと鷲掴みする破壊力のあるその姿を見ると、何か、夜の海の妖精みたいな、メロンソーダの泡を髪に散りばめた天使みたいな、奇跡の結晶でも目の当たりにしたかのような錯覚に陥ってしまう。
混乱していた脳がこの非現実を受け止め始める頃、Twitter上には、ぽつりぽつりと素朴な疑問が出始めた。
「メンバーはよくあの容姿のテテと一緒にいて普通に生活出来るね」
「メンバーはどうやってあの容姿に慣れたんだ」
「こうしてる間にもテテのお父さんとお母さんが家で普通にご飯を食べてるのが信じられない」
父と母も妖精。
妖精テテが何かの間違いで人間の6人のイケメン達と涙あり笑いありのドタバタ宿舎コメディを展開することになってしまい、その事を危惧するかのような疑問符。でもわかる。わかりすぎる。わかりみが深過ぎる!オタクの「わかる」三段活用。
あの頃のテテは、それほどの人間離れしたオーラを放っていた。
そのうち
「テテが好きすぎて辛いからもういっそテテになりたい!」と、妖精テテを召喚して自らの体に取り込む魔法技を渇望する声を見かけるようになる。Twitter上でキラキラ。アミ達がぷるぷる震えていた。
もはや、「男女」とか「自分と他人」とかの境界線をぶったぎってその人自身になりたいと。
これは「スキ」や「憧れ」の最終形態じゃないだろうか?
好き界のラスボステテを倒すにはこの最終形態になるしかない。
この「テテになりたい」は、「ミランダ・カーになって綺麗な服を着て町を闊歩したい」という、憧れの人の姿になって人生を楽しむという願望とは全くの別物なのである。テテが吐きそうなほどかっこいいのがもうどうにもこうにも耐えられそうにないから、いっそテテそのものになってラクになりたい、と。
青髪にした理由は、テテの「直感」だった。
MUSIC BANKでのインタビューで、「青のヘアカラー写真を見て、僕は青髪にしなきゃ、と思ったんです」と語った。これがテテの正解なのだ。テテがそう思ったんだからそうなのだ。直感的な話をしたのが潔くてテテらしくてドキっとした。迷いがなかった。
私は、テテのIQはオメガだとかの未知数だと思っている。まさにスカウターをぶっ壊すレベルの。瞬時に莫大な量の風景や空気などの情報を察知するテテが「青髪にしなきゃいけない」と思った時、その下には莫大な量の理由がテテの頭の中にあると思う。それをテテ自身も上手く言葉に出来ないのだ。量が多すぎて、ロジックを壊してしまう。だからテテはたまに、最終結論をいきなり言う。処理出来ない膨大な量の理由を飛び越えて、その先にある答えがテテには秒速で見えているのかもしれない。そして、その答えに行くまでの過程は理屈でなく感覚だ。直観が鋭い。テテの言葉がたまに常人に理解できないときがあるのはそのためだ。だからこそ、その凝縮された一言は重く、色々な物語が見える。実際、テテの中には、テテの私小説がたくさん入っているだろう。
そのめくるめく、パラパラと廻る私小説の風景は、テテの中で処理するのに時間がかかる。IQ180が限界の人間の脳に、IQオメガの情報量が入ってくるのだから、そりゃテテもしょっちゅうフリーズしてしまうだろう。アイコンがクルクル待機しちゃってる状態だ。周りの人たちはそんなテテを優しくゆっくりと待つ。テテにしか見えない景色があるのを分かっているから。私はそんな、テテとテテを待つみんなの愛がふわふわと漂っている時間が大好きだ。この「待つ愛」。テテを愛するためには必要な愛だろう。
話は逸れてしまったが、結果的に、そのテテ流思考法で出された「青髪にする」という決断は、アミがテテを自分の体に召喚させたいほど、吐きそうなくらい好き!という好きの最終形態になってしまったのだから、テテのこの直感は大当たりだったのだ。
テテの青髪はK-POP界の伝説となり、当時は「青髪と言えばキムテヒョン 」というケーポファンの共通認識にまで浸透したのだから凄い。テテは自分が似合うもの、今、周りから何を求められてるかをピピピッと感じ取る天才!
いつの日かまた、今のように大人でしっとりとした魅力を持ったテテの髪が、海のような真っ青な青髪と、ミントサイダーのような淡いライトグリーンに染め上がる日が来るのを、ささやかながら楽しみにしている。