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日本にも当てはまるのである ー ドイツ「脱原発」を祝うのは環境活動家のみ、自己陶酔から覚めた国民は「自国の衰亡」を案じはじめている

環境活動家というカルト宗教家が唱える「脱原発」などという妄想・夢物語は、このニュースのドイツのみならず、日本にも言えることである。

むろん、ちゃんとした自然災害に対するセキュリティーを精査しないで日本の原発の再稼働・新規設置を推進してはいけないが、問題がないのなら、日本はベース発電としての原発の再稼働・新規設置を停めてはいけない。

ドイツの将来はますます暗くなると思う。EUの国々は今後、ドイツが没落していく様子を静観しつつ、生き残り作戦を練る。

日本も同様です。

原発の再稼働・新規設置をしないならば、日本の将来はますます暗くなる。ドイツを除く欧州の国家、アメリカ、中国、韓国、アジアの国々は今後、日本が没落していく様子を静観しつつ、生き残り作戦を練る。


ドイツ「脱原発」を祝うのは環境活動家のみ、自己陶酔から覚めた国民は「自国の衰亡」を案じはじめている

活動家たちのから騒ぎ

2023年4月15日、ドイツの「脱原発」が完成した。この日のために数日前から環境NGOなどが、あちこちで脱原発を祝うパーティーを企画し、参加を呼びかけていた

緑の党、および左翼系の環境NGOがデモをするとき、幼稚なハリボテを作ったり、自分たちが着ぐるみを着たりして、ヘンテコな演出をするのはいつものことだが、この日も、たとえばベルリンのブランデンブルク門の前で、グリーンピースによるそういうシーンが繰り広げられた。

黄色い恐竜のハリボテが四肢を上に突き出して仰向けに横たわり、その上に赤い人形(何を擬人化してるのかよくわからない)が乗って、段ボールで作った剣と盾を手にニコニコ笑っている。盾には「原発? ノー・サンキュー」という反原発派の活動家が50年間使い続けたロゴが入っており、恐竜のお腹には「ドイツの原子力、2023年4月15日に打倒される」。

そしてその横で、活動家の女性たち数人がやはり段ボールで作った剣を持ってはしゃいでいた。いい大人が恥ずかしくないのかと、いつも思う。ゴリゴリの活動家は、この日停止が予定されていたニーダーザクセン州、バーデン=ヴュルテンベルク州、バイエルン州の各原発の敷地付近にも集まっていた。

ニーダーザクセンのエムスランド発電所の門前には、ハリボテの原子炉の格納容器らしきものが置かれ、そこにたくさんのひび割れが描かれていた(1988年運開のこの原発は、実際には老朽ではなく、まだまだ使えるものだ)。

そして、その前には「AUS(切)」と書かれた巨大なスイッチの模型があって、同州のマイヤー環境相(緑の党)が得意満面でそのスイッチに手をかけてポーズをとっている。たとえ州の大臣になっても、緑の党の党員はこういう幼稚なパフォーマンスが好きらしい。

いずれにせよ、発電所のすぐ近くの空き地などでシャンペンを空けて夜中まで大騒ぎをするのは、ここ数年、原発が一基止まるごとに繰り返されたシーンだ。そして、その度にメディアが成功譚のように大仰に取り上げたが、今回は違った

自己陶酔から覚めたドイツ国民

ドイツ人は時々、全員が理性を放り投げて、自己陶酔状態で一方向に突進していくことがある。おそらくナチの台頭の時もそうだったのだろうし、最近では、たとえば1989年にベルリンの壁が落ちた時や、2015年に中東難民に国境を開いた時がそうだった。

しかし、どちらの場合も、人々は1年もしない間に目が覚め、その途端、自分たちが感動し、夢中になったことが決まり悪く、突然、冷静になったり、あるいは、すっかり忘れてしまった振りをした。そして今、それと同じことが脱原発をめぐって起こっている。

脱原発はドイツ人の宿願だった。だからこそ、2011年の福島第1原発の事故直後、それまで強固な原発擁護派だったメルケル首相が、「福島が私の考えを変えた」と言って、突然、22年の脱原発を決めたとき、人々の感動は最高潮に達した。

たとえ世界中の人たちが反対しても、たとえ経済的にデメリットを被ることになっても、我々ドイツ人は孤高を持し、正しい道を歩むのだ!」と、こういう悲壮な役割に身を置くことをドイツ人はとりわけ好む。

そんな時の彼らに正論を言っても無駄だ。というか、そもそもドイツの脱原発に論理はなかった。ドイツには津波も地震もないし、周辺の国々ではもっと危ない原発がたくさん稼働しているから、ドイツが原発を止めてもドイツ人の身が安全になるわけではない。しかも、原発を動かせばCO2削減にも役立つし、ガスの輸入にお金を費やすこともない。

それにもかかわらず、彼らにとって脱原発は無条件に正しかった。おそらく原発は、彼らの自然に対する憧れやロマン、そして科学に対する忌避とは相容れない物なのだ。だからこそインテリでさえ、「ダメなものはダメ」でそれ以上の議論は受け付けなかった。

毎日フランスの原発電気を輸入していても、それを問題視することさえなかった。それどころか、下手に論理で対抗しようとすると、反対に、「あなたは原発がいいと思っているのですか?」と眉を顰められて終わりということがしょっちゅうだった。

ただ、その脱原発の夢がようやく叶おうという今、彼らは突然、正気に戻った。ウクライナ戦争のせいでロシアのガスが尽き、シャワーの温度を下げろと言われ、インフレが進み、電気の安全供給が危ぶまれ、産業が窮地に陥っている今、なぜ何の支障もなく動いている原発を止めなければならないのかという当たり前の疑問に、多くのドイツ人が初めて冷静に向き合ったのだ。

ドイツの衰亡を祝う「死の舞踏」

こうなると結論は一つしかない。すでに4月の半ばのアンケートでは、稼働を延長すべきだと答えた人の数が7割近くまで増えていた。画期的な転換である。

ところが、目覚めた国民に付いていけなかったのが政治家だった。ショルツ首相(社民党)は、「ドイツの原発が動くことは2度とない」と胸を張り、レムケ環境相(緑の党)は、「事故が起こった場合の原発の危険は制御不能」だが、「4月15日からようやくドイツの安全が高まる」と強調した。

しかし、ちょうど同じ頃、脱原発の最先鋒だったハーベック経済・気候保護相(緑の党)が訪問先のウクライナで、「ウクライナが原発を維持するのは理解できる。安全に運転している限り、それはOKだ」と発言し、ドイツ国民を驚愕させた。

なぜ、ミサイルが飛び交い、一部は敵国ロシアに占拠されているらしいウクライナの原発が安全で、ドイツの原発は今すぐ停止させなければならないほど危険なのか。しかも、ウクライナで動いている原発の多くは旧ソ連製だ。結局、この発言により、政府の脱原発に正当な理由のないことが、より明確に国民に示された

それにもかかわらず4月15日、原発は止まった。しかし国民はこの時、冒頭に記したようなお祭り騒ぎを、すでに冷ややかな目で眺めていた。それどころか、ある独立系メディアはこれらのどんちゃん騒ぎを、ドイツの衰亡を祝う「死の舞踏」と呼んだ。活動家に対する評価は、これまでの「よく頑張っている」から、「現実をよく見ろ」に変わっていたのだ。

ところが、日本の多くの新聞は今回も周回遅れが目立つ。日本の主要メディアが、環境グループの言い分だけを報道するのは毎度のことだが、特に朝日新聞は今回、「反原発団体『歴史的な日』をデモで祝う」というタイトルで、あたかも国民全員がそれを喜んでいるように書いた。ミスリードの見本だ。

脱原発の完遂した翌日の4月16日、ドイツのCO2の排出量は新記録となった。CO2フリーの原発を止めて、化石燃料で補うのだから当然の結果だ。ベースロード電源(365日24時間安定して電気を供給する基礎となる電源)を担っていた原発の代わりが再エネには務まらないことが、一瞬のうちに白日の元に晒された。

そして、やはり同日、ドイツで最大の電力会社であるE.onが、7月1日からの電気代の値上げを発表した。値上げはこれが最後ではないだろう。

世界はドイツと正反対の原発ブーム

EUは昨今、CO2削減に異常に力を入れていることもあり、わざわざその流れに逆光し、膨大なCO2を排出し始めたドイツに対する評価は厳しい。

とりわけ問題なのが褐炭で、これはCO2だけでなく、硫黄酸化物や窒素酸化物など有害物質を多く排出するため、ドイツも早急に使用を止めるはずだった。ところが皮肉にも、褐炭はドイツに捨てるほどある格安の国産燃料であるため、今となってはどうしても手が出る

ただ、仮にドイツが褐炭を諦め、ガスを買い増せば、市場のガス価格は高騰し、貧しい国の手に届かなく恐れもある。要するに、どっちに転んでもドイツの脱原発ははた迷惑だった。

ちなみに現在、世界はドイツの路線とは正反対で、どうも原発ブームのようだ。

4月15日、フィンランドのオルキルオト原子力発電所では、欧州最大級の3号機が稼働。ロシアからの電力やガスが滞る中、タイムリーなデビューだった。稼働をドイツの脱原発の日である4月15日にぶつけたのは、当てつけのような気がしないでもない。

また、スウェーデンとベルギーは、現存する原発を引き続き稼働する他、新設も視野に入れている。なお、すでに着工しているのが、ロシア、フランス、ハンガリー、スロバキア、ベラルーシ。フランスでは今後、14基の原発が新設される予定だという。

さらに、ロシアの天然ガスへの依存を断ち切りたい東欧も原発建設には熱心で、ポーランドは確定。その他、チェコ、エストニア、ウクライナ、オランダでも建設が検討されている。

なぜ、今、原発かというと、ここ数年、皆が再エネに踊ったが、再エネを増やすには広大な土地が必要だし、製造から廃棄までを考えれば、本当に“持続可能”であるかどうかが疑問視され始めたからだ。特に風車の廃棄問題においては、ガラス繊維と炭素繊維を含んだ極めて硬度の高い羽根部分のリサイクル技術は存在しないと、ドイツ政府が言ったばかり。

つまり、今後、毎年何万トンも廃棄される巨大な羽は、目下のところ、どこかに埋め立てるしかないという。太陽光パネルも同じく、複雑な素性(中国製は有毒物質を含むものもある)のガラスのリサイクルは非常に難しい。どちらも将来の巨大な環境破壊だ。その上、再エネはいくら増やしても、お天気任せで安定せず、再エネ関連企業(特に中国)は儲かっても、肝心の基幹産業が逃げ出し、結局、国民は貧しくなるということもわかってきた。

興味深いのは、4月15日、16日に札幌で開かれていたG7のエネルギー・環境の閣僚会議で、米、英、仏、カナダ、日本の5ヵ国が「原子力発電同盟」を結成しようという話が出たこと。これこそ完全にドイツへの面当てである。

現在の危機の原因、メルケルが受勲

最後に不思議な話。

4月17日に、特等大十字章というドイツの功労勲章のうち、最高の等級の勲章がメルケル元首相に捧げられた。これまでこれを受けたのは、元首相であったアデナウアー氏とコール氏の二人だけという名誉あるものだ。

しかし、現在のエネルギー危機の主原因となったロシア依存を後生大事に守り通したのが、16年間も政権の舵取りをしていたメルケル氏だ。そして今、国民はまさにその後遺症で塗炭の苦しみを味わっている。

なお、受勲者の人選の決定権を持つのが大統領だが、それがメルケル政権で8年間、外相を務めたシュタインマイヤー氏。彼もまたロシアとのパイプの太さが自慢の政治家だった。

だからこそ、批判が大きくなる前の滑り込み受勲で、二人してこれを免罪符にするつもりかもしれないが、それにしても、今が戦争の真っ最中ということもお構いなしなのには恐れ入る。

これには、さすがにメルケル贔屓の主要メディアもドン引きで、批判が沸騰している。

こんなことをしていては、ドイツの将来はますます暗くなると思う。EUの国々は今後、ドイツが没落していく様子を静観しつつ、生き残り作戦を練るつもりではないか。


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フランク・ロイド
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