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平凡な母ちゃん達4人が「最強のチーム」を作って少年野球の運営役員を1年間やり遂げた話

こんにちは。ビートオブサクセス スタッフのババです。

私には中学2年生になる息子がひとりいます。
私は正直なところ子どもが苦手です。
そして子育てにも向いていないと思います。
でも、育ててみてわかったことがあります。

子育てとは人生をもう1回最初から辿れるのだということ。大人の視点から、保育園・小学校・中学校の世界を体験できます。そして、その中で新たな経験をたくさん手に入れました。
会社組織の中や仕事としてのチームワークやチームビルディングとは異なる難しさ、楽しさ、そして意外性にも気づくことができました。

今回から何回かに分けて、子育てを通じて私自身が体験したチームの力、力をあわせて何かを成し遂げた楽しさについて記事にしようと思います。

まずは、少年野球のことから。
そのままズバリ書くと支障がありそうなので、ところどころ脚色があります。そのため、エピソードにちょっとつじつまがあわないなという点が出てくるかもしれません。どうぞご容赦ください。

1.少年野球というもの

「少年野球は負担が大きい」

そんな噂を耳にしたことはないでしょうか?

野球人口が減っている、その一因としては「親の負担が大きすぎて野球をやらせたがらない家庭が増えている」という話は、あながち間違っていないと思います。

当時小学校4年生だった息子が突然「野球をやりたい」と言い出した時、猛反対したのは母親である私でした。
ある休日の朝10時、自転車でチームを引率するママ友に出会い「行ってらっしゃい」と声を掛けたら「今、ひと試合終わって戻ってきたんだよ」と言われた衝撃が忘れられなかったからです。

野球もサッカーも、とにかく親のサポートが必要な運動は絶対無理と思って、出来るだけ遠ざけてきたのに、なぜ今さらここにきて野球なのか。
しかも、一番親の難易度が高そうな野球なのか。

全力で止めたものの、押し切られ体験入部。
そして気が付いたら入部していました。

息子の所属していた少年野球チームは、慣例として5年生の保護者がその年の運営役員を引き受ける・・・ということになっていました。
中にはこの運営役員を引き受けたくなくて、5年生になる前に辞めてしまうご家庭もあるとのこと。その運営役員が目前の4年生も後半になって入部するケースは極めて稀なケースだと言われました。

(いえ、私だって好きで入部させたわけじゃなかったのですが・・・)

息子が入部した時点で、同じ学年のお子さんは3名。
息子を入れて4名。
この4名の「母たち」が来年度の運営役員確定です。

そのうちの1名は、小学校1年生から野球チームに入部していた、いわばベテラン。
もう1名は小学校3年生からサッカー部と兼部していたけれど、最近野球部1本に絞り込んだという中堅。

もう1名はうちの息子より3ヶ月早く入部したものの、まだ新人。
そこに、全く野球を知らない我が息子が加入。母同士、同じ学年で顔をあわせれば「どうも」の挨拶をする程度の、特に親しいわけでもない4名。

ぎこちない距離感で、果たして過酷な少年野球の運営役員をこなしていけるのか?しかも、4名のうち2名は少年野球のことをよく知らない「ど素人」です。本人たちはもとより、チームの保護者全員がおそらく心配していたと思います。

それでも、「じゃあ、私が代わるから」とかいう人は絶対出てこないわけで。

私は、未知の世界に入ってすぐ運営役員を任されるという地獄みたいな展開になったのです。

2.少年野球チームを運営するために必要なこととは

少年野球の運営役員って一体何をやるの? と知らない人からすれば思うでしょう。その業務内容は多岐にわたります。一部役職やイベント内容はフェイクもいれています。でもイメージ的にはこんな感じ、と読んでいただくのがよいと思います。

<役職>
〇会長
監督やコーチや連携をとり練習や試合などの日程を調整し、チーム全体に連絡する。また出欠などもすべて把握する。年に2回の保護者会や総会を仕切る。
年間イベントも仕切る。

〇副会長
会長の補佐役(上記の業務すべてをフォローする)

〇庶務
購買、備品管理がメイン

〇会計
部費を集め、予算管理。合宿の予算と収支管理も含む。

<年間の予定>

①土日祝日は原則、練習または試合
(グランド確保や係・当番の割り振り→低学年と高学年2つわけて割り振り必要)
②新入部員確保のための体験会開催(春)
③夏合宿(2泊3日)
④伝統試合の大会運営(夏)
⑤伝統試合後の打ち上げ実施(夏)
⑥保護者会、総会(春・冬)
⑦BBQ
⑧クリスマス会
⑨6年生を送る会(3月)
⑩卒団記念DVD製作
⑪卒団記念アルバム制作
⑫次年度役員への引継ぎ

今、書き出してみただけで白目です。
よくやったな、これだけのことを・・・と、我ながら思います。
しかも、たった4人で。しかも、うち2人はほぼ何もわかってない状態で。

ちなみに、この当時の1年間の土日祝日はすべて「野球」に時間を費やしていました。役員間のグループLINEはほぼ毎日稼働し、時には半日で100件のやりとりが発生していたこともあります。
もちろん、これはすべてボランティアです。

なお、よりゾッとする話としては、これでも「昔よりは楽になっている」ということなのです。

3.少年野球の組織はカオス

少年野球という団体は監督もコーチも関係者全員、誰かのお父さん、誰かのお母さんで構成されています。
はっきりいって「会社組織」なら、指揮命令系統ができていますし、上下関係もわかりやすいのですが、少年野球の組織は・・・もはやカオス。

監督より、偉そうなコーチもいるし、ほとんど顔を出さないのに「失礼のないように」すべてについて事前にお伺いを立てなきゃいけないような上皇みたいな人もいるし・・・
通常の組織論は通用しません。

そして、野球界独特の年長者は絶対・・・という空気感。

それらとうまく折り合いをつけながら、子ども達が楽しく安全に野球をするための環境を整える・・・
こんな過酷な状況でしたが、私たち4人は意外とうまく乗り切りました。

もちろん、ここには書けない大失敗もあったのですが・・・

4名の運営役員チームは喧嘩することもなく、分裂することもなく、そして対立することもなく、激動の1年間を乗り越えることができました。
特に卒団する上級生の子どもたちやそのご家族には「あなたたちの活躍は一生忘れない」と涙ながらに御礼を言われるくらい感謝されました。
役員を終える時、ポンコツ母ちゃんたちが頑張ったよね、と、私たちは笑いました。

私はそれまでいくつかの会社を経験し、いろんなチームで働いてきました。
チームとして株式公開を行ったこともありますし、社長賞をもらったこともあります。
それらの経験に照らし合わせても、この少年野球の運営役員チームでの活動や働きは、ひけをとらないチームワークやパフォーマンスを発揮したと思っています。

ビジネスマンでもなんでもない、ただのお母ちゃんたちですが、ものすごいパワーを発揮したと思います。

なぜだったのでしょう。

4.最強チームが行っているパターンとは?

『最強のチームをつくる方法』
 ダニエル・コイル 著
 楠木 健 監訳
 かんき出版

今、読んでいるこの本の中にその疑問を解決するようなヒントがたくさんありました。その一つとしては、成功するチームにみられる「パターン」のこと。

大きな成功を収めているチームのメンバーは「友達」や「仲間」ではなく「私たちは家族」というような表現をするそうです。
そして、特有のパターンが見られるとのこと。

しかも、そのパターンは・・・リストを見ると、「え?」と思うようなことでした。その「パターンリスト」を引用しながら、当時の運営役員チームの実情に当てはめてみます。

お互いの物理的な距離が近い。よく輪になっている
 →全員「ご近所さん」なので何かあれば自転車で駆けつけられる距離
  何かあればちょっと寄るよ!といって頻繁に会える距離にいた。

活気のある短い言葉のやりとりが多い(誰かの長いスピーチではない)
 →LINEなども含め、4人がそれぞれ短い言葉のやりとり・・・
  いわゆるチャットをしょっちゅうしていた。
  そして、おしゃべりが大好き。

チーム内の交流が盛ん。仲のいい小さなグループで固まらず
 誰もがメンバー全員と会話する

 →4人中、特定の誰かと誰かという偏りがなく本当に「誰とでも」
  話しが出来る間柄

人の話をさえぎらない
 →基本、話したい人が話している間は聞く

質問をたくさんする
 →何かあれば「え、それどういうこと?」とすぐに突っ込む。
  そこに遠慮はなし。

人の話を熱心に聞く
 →何かトラブルになれば一蓮托生の関係なので、人の話はしっかり
  聞かないと命取り

ユーモアと笑いがある
 →お互いに突っ込みあい冗談を言って笑いあっていた

「ありがとう」と言う(ドアを開けてあげるなど、ちょっとした礼儀や親切を忘れない)
→「ごめん」より「ありがとう」と言っていた

ひとつひとつは、何気ないことのように思いますが、それらの相互作用により何か生まれたのではないでしょうか?

それは、今よく言われている『心理的安全性

運営役員チームは、極めて高い心理的安全性の中で日々のいろいろな業務をこなしていました。誰かが失敗した時、それを叱責する人はいません。慰め、どうやってリカバリしようか、それだけを考えてきました。
それは、おそらく皆、「お母さんという同じ立場」だからできたことだったのかもしれません。(これが会社組織で、上下関係があったり、立場が異なったりすると詰めたり、保身に走ったりすることは有り得ます)

もしくは、この記事の1つ前に、スタッフのナカが書いていることなのですが

「見えない成果が集まって、大きな成果を生む」
 (聞こえない音が集まって、音を出す)

というのはこういうことなのではないかな?と思うのです。

例えば私たちはとにかく、どんな小さなことでも冗談にして笑いました。チーム内の人間関係が悪化し、深刻な事態になっても、4人の中でネタにして、笑い飛ばしました。当時のLINEは今でも見ることができますが、読み返しては、いまだに吹き出してしまいます。

辛いことがあっても冗談にして笑い飛ばす。

これは、子どもたちが安全に楽しく野球を出来る環境を整えるチーム運営を行うという成果にとって、全く関係ない行動に思えます。

つまり「マイナスの音」

でも、これは無駄ではなかった。
大きな成果を生むための大切なひとつだったのだと思います。
この経験を通して思うのです。
にわとりが先か? 卵が先か? のごとく。

「これをすれば最強のチームになれる」のか?
「最強のチームは自然とこれをしている」のか?

次回も、もう少し続きます!

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