見出し画像

いくつになっても学び続けようとする姿勢は人に感銘を与えると思った

こんにちは、スタッフのバービィです。

さて、今日は当社が、月に1回、都内のデイサービス施設で行っているリズムプログラム(トレーニングビート®)での、ある出来事について記事にしたいと思います。
月に1回ではありますが、かれこれ1年半ほど継続していて、私もサポートとして参加しています。
「デイサービスでの月1回ランダム開催」という性格上、毎回同じ方が必ず参加されるわけではありませんが、何回も参加してくださっている人もいて、回を重ねるごとに積極性が増していたり、意欲があがっていることを目の当たりにし、「人は人との関わりの中で変化していく」という気づきの機会にもなっています。

太鼓を叩く。
シェイカーを振る。

一見単純な動作にも見えますが、リズムもあわせて鳴らしたり、ファシリテーターの動きにあわせて回数を増やしたり、減らしたり、音を大きくしたり小さくしたり、45分間の中で集中力をかなり使います。
みんな一緒に、という場面もあれば、「ひとりひとり」にスポットを当てることもあります。

使用する楽器は、参加者の方にとってよい刺激になるように、出来る限り様々な種類のものを準備します。
ジェンベ、カホン、コンガ、トゥバーノ、タンタン・・・世界のいろんな太鼓を利用するのがドラムサークルの醍醐味ですが、デイサービスの施設は街の中にあり、近隣への音や振動が響くことを考えると、ボリュームのある本格的な大きな打楽器ばかりを使うわけにはいきません。

そこで、デイサービスで使用する楽器は
小ぶりのジェンベ(西アフリカ出身)

(サイズやデザインは様々ですが、一般的なジェンベ)


他にも、沖縄のパーランクーや音楽療法でよく使用されるパドルドラムやロリポップドラム等、あまり大きな音が出ない、軽めの楽器をたくさん用意します。

(左:ロリポップドラム 右:パドルドラム)

太鼓を叩きにくい方、叩きたくないという方向けには、様々な形や色の「シェイカー」も準備します。

(いろんな形のシェイカー。パンの形をしたシェイカーが人気)

自分が使う楽器を、自分で選ぶ。
これも、また、大切なことだと考えています。

その日も45分間(休憩やストレッチ体操などを含むと約1時間)のプログラムを終えて、私たちスタッフは後片付けをしていました。
すると・・・車いすにのったご婦人が近づいてきました。
「ねぇ、さっき教えてもらったのだけど、あの太鼓はなんていう名前だったかしら。書かないと忘れちゃうのよ」
と、ノートを開いて、鉛筆をもって。

「これは、西アフリカ起源の太鼓で、ジェンベっていうんです」

スタッフが答えると、そのご婦人は一文字一文字丁寧にノートに「ジェンベ」と書付け、サラサラっと太鼓をスケッチしました。
ジェンベの特徴を掴んで、一目で「あ、これはジェンベだわ」とわかるように。

「ただ、叩いてるだけじゃなくて、何かひとつでも覚えていかないと。私、97歳よ」
そういって、ご婦人は笑顔で私たちに笑いかけました。

97歳

97年生きてきても、新しいを学ぼうとするその姿勢。
しかもちゃんとノートと鉛筆をもって、しっかりと書いて。
頭が下がりました。
私は、果たして97歳になっても「学び続けよう」という、こんな姿勢を保てているだろうか?同時に、人は何歳になっても学ぼう、教えてもらおうという謙虚な姿勢があれば、こんなにも素敵に生きられるのだと、目の前のご婦人から教えていただいた気がします。

今、日本は、世界は、日々刻々と変わっています。技術も進化して、必要とされる職業、仕事にも変化が見えています。今までは専門職としてもてはやされた職種でも、AIにとって代わられる日が来ないとは言えません。

政府は、新しい職業に就くためや、今の職場での業務の変化に対応するスキルを習得する『リスキリング』を推進しています。成長分野でのスキル習得という意味では、デジタル関連の業務やスキルを習得することを指すことが多いようですが、つまるところ・・・その人に「学ぶ意欲」「学ぶ姿勢」があるかどうかにかかっていると思います。

自ら変化に適応し、新しいことを学ぼうとする力。
わが子や孫の世代の人たちに素直に「教えて」ということは、実はそんなに簡単なことではないと思うのです。自分の経験や知識、プライドが邪魔をして素直になれないことだってあると思います。
でも、それは勿体ないこと。
私は、97歳のあのご婦人が学ぼうとする姿勢、謙虚に笑顔で「教えて」と話しかけてきたことをすごいと思いました。「こんなことも知らないの」なんて気持ちは1ミリも沸きませんでした。

人生100年時代をどう生きるか。
自分を見つめるよいきっかけをいただいた、そんな時間でした。