有川ひろさんのおすすめ作品7選【読書案内】

こんにちは!miharuです。

本日は、私が愛してやまない作家のひとり、有川ひろさんのおすすめ本を紹介していきます。小学5年生の時に出会い、以来私の読書遍歴を語るには欠かせない作家さんとなっております…。

まずは有川さんについて簡単に。

有川ひろ(有川浩)さん…日本の小説家であり、ライトノベル作家。高知県出身。
2003年に『塩の街 wish on my precious』が第十回電撃ゲーム小説大賞を受賞し、翌年デビュー。デビュー作を含める、自衛隊と未知の物体や生物との接触をテーマに描いた「自衛隊三部作」や、「図書隊」という組織が存在する架空世界を描いた『図書館戦争』シリーズが人気。作品は映画化やドラマ化も数多くされており、日本の人気作家のひとり。

それでは、悩みに悩んで選んだ7作品をご紹介します!どうぞ!!!


1.言わずと知れたベストセラー『阪急電車』

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるちょっと気になるあの人だった……。電車に乗った人数分の人生が少しずつ交差し、希望へと変わるほっこり胸キュンの傑作長篇小説。(※幻冬舎HPより引用)


関東圏に住んでいる方にはあまり馴染みのない阪急電車。その中でも知名度の高くない「今津線」が物語の舞台です。宝塚駅から西宮北口駅までを往復するその間に詰まっている、数え切れない乗客たちの物語の一部を、この本では描いています。停車駅ごとに視点が変わるため飽きることなく、短編集のようなつくりです。

図書館で本を横取りされてから、何かと気になっていた女性と電車で隣同士になってしまう征志。自分だけ一方的に意識していると思っていたその人に、まんまと釣られてしまった宝塚駅。マリッジブルーになっていた翔子が、同僚に彼氏を寝取られ、彼らの結婚式に白いドレスで復讐をした帰り道の宝塚南口駅。些細なことで突然キレられ彼氏に置いて行かれたミサが、老婦人の言葉に決意を固める仁川駅。

電車という空間で、名も知らない誰かの言葉に知らず知らずのうちに影響を受け、重なり合う一瞬を見事に描いています。私が一番好きなのは、折り返しの小林駅で出会う翔子とミサの場面。ひょんなことからこんな繋がりが生まれたら、なんて素敵だろう、と思ったり。

2011年には映画化され、中谷美紀さんや戸田恵梨香さん、南果歩さん、芦田愛菜さんなど豪華キャストの出演が話題となりました。

小説のほっこりする装丁は徒花スクモさん、この後紹介する『図書館戦争』や『キケン』など、有川作品の表紙を多く手掛けております。

(普段は本を読まない関西出身の父親が買ってきて、面白かったからと譲ってくれた本がこれでした。有川さんとの出会いの一冊。個人的な思い入れが強い本なので最初に紹介しました…!)


2.全6作!『図書館戦争』シリーズ

本を守りたい、あなたみたいに。
公序良俗を乱す表現を取り締まる「メディア良化法」施行下。 高校時代に出会った、図書隊員を名乗る“王子様”の姿を 追い求め、図書隊に入隊した女の子、笠原郁は、新設され た特殊部隊に配属されるが!?(『図書館戦争』)(※KADOKAWA総合サイトより引用)

読みたい本を自由に読むことが制限された世界で、行き過ぎた検閲から本を守るために命を懸ける「図書隊」が機能する架空世界の物語。

高校時代に自分と本を助けてくれた「王子様」に憧れて図書隊の防衛員となった郁は、軍事訓練に励む日々を送り、正義感溢れるその姿勢が認められ、エリート部隊の図書特殊部隊に配属されます。表現の自由とは何か、いまの私たちが考えなければならない課題を、存在しない世界の登場人物が教えてくれます。

図書館戦争のポイントは、何と言っても登場人物の個性の強さ。郁にとっての「鬼教官」(指導教官)で、仕事に熱い堂上。堂上の同僚であり、冷静沈着ながら笑い上戸が玉に瑕な小牧。郁と同じタイミングで図書特殊部隊に配属された手塚は真面目で優秀ですが、堂上を慕う余り、彼に噛みつく郁の存在をよく思ってはいません。その他、郁のルームメイトで図書館員、美人で情報屋の柴崎も、郁の成長に欠かせない仲間のひとりです。

話のテーマが難しいと感じることがあるかもしれませんが、登場人物のやり取りや関係の移り変わりにハラハラドキドキしっぱなしになること間違えなし!ラブコメやアクションシーンなども織り込まれており、別冊合わせてこのシリーズは6作品ありますが、最後の最後まで目が離せない展開です……
私は特に柴崎がお気に入り!可愛くて仕方ありません。笑

映像化では郁を榮倉奈々さんが、堂上を岡田准一さんが演じています。これもまた良かった...…!ぜひ小説と一緒に楽しんでくださいね!


3.デビュー作『塩の街』

世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた
「世界とか、救ってみたくない?」。塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。崩壊寸前の東京で暮らす男と少女に、そそのかすように囁く者が運命をもたらす。有川浩デビュー作にして、不朽の名作。(※KADOKAWA HPより引用)


謎の白い隕石の落下がもたらした、人が塩の柱になる未曽有の事態。人体が塩化するという「塩害」によって両親を亡くし、死に向かう世界の中で生きる女子高生の真奈と、彼女を助けた元自衛官の秋葉による共同生活が前半は続きます。そんな中、入江の訪問が彼らと、世界の運命を変えることになるのです。

塩害という非常事態を通して出会い、いつしかお互いの「欠けたら痛い部分」になっていく秋葉と真奈の関係が、最初は微笑ましく思えますが、事態が急展開を迎えるとともに胸が締め付けられます。
大事な人を守ることだけのために世界を救う無謀な挑戦に出る秋葉と、秋葉に生きていてほしい一心で「世界なんかどうでもいい」と泣く真奈。塩害が起きなかったら出会うはずのなかった二人の関係に注目です。

因みに、文庫本には「塩の街、その後」という話が短編のような形であります。秋葉と真奈以外の登場人物の視点からつづられた塩害も必見です。

『塩の街』は有川さんのデビュー作で、『空の中』『海の底』とともに「自衛隊三部作」と呼ばれています。三作セットで読んでみるのもいいかもしれません!


4.タイトルに惑わされないで!『植物図鑑』

女の子は、「花」も「男子」も欲しいのだ! ラブ濃度120%!!
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか? 咬みません。躾のできたよい子です」ある日、道ばたに“落ちていた”彼。河野さやかは、樹と名乗る青年を家に招き入れるが!? ほどよく切ない道草恋愛小説。(※KADOKAWA HPより引用)

植物について図鑑のように書かれた本ではありません!正真正銘、王道ラブストーリーです。笑

少女漫画のような出会いから始まった植物男子とのオトナな恋。樹(と雑草)を知っていく中で、さやかの気持ちに変化が生まれていくその過程に、キュンキュンが止まりません。毎日お弁当を作ってくれる人がいて、毎週末の天気がいい日に散歩に出かけ、草花に目を向け、狩りをする、そんな楽しみは、さやかにとって人生で初めての経験でした。

しかし、一緒に住んでいるのに名前しか知らない彼との関係が壊れることの怖さ、嫉妬、独占欲……。季節が巡り、咲き誇る草花が移りゆくなかでも変わらない、さやかの一途な想いに後半は胸が締め付けられます。

本の見返しには、植物の写真がカラーで載っており、これを眺めながら狩りのシーンを想像するのも楽しみ方のひとつです。

「ノビルのパスタ」「ヨモギのチヂミ」など、ストーリーに登場した樹お手製のご飯のレシピも載っております!忙しい中でも、何気なく息をする自然に少し目を向けると、意外な発見があるものなのかもしれません。

映画では、さやかを高畑充希さんが、樹を岩田剛典さんが演じておりました。当時私は高校一年生……劇場で観た映画も懐かしい思い出です。


5.ドラマ化で話題にも『空飛ぶ広報室』

不慮の事故で夢を断たれた元・戦闘機パイロット・空井大祐。異動した先、航空幕僚監部広報室で待ち受けていたのは、ミーハー室長の鷺坂、ベテラン広報官の比嘉をはじめ、ひと癖もふた癖もある先輩たちだった。そして美人TVディレクターと出会い……。ダ・ヴィンチの「ブック・オブ・ザ・イヤー2012」小説部門第1位のドラマティック長篇。(※幻冬舎HPより引用)


ブルーインパルスに乗ることを夢見続け、戦闘機パイロットとして確実にその夢を叶えようとしていた空井を襲った不慮の事故。パイロット資格剥奪(P免)の処遇を受け、新たな職場となったのは空幕の広報室でした。自衛隊をもっと知ってもらうために活動する広報室で、空井は、帝都テレビの稲葉リカと出会います。

自衛隊について否定的な(それもかなり極端な)イメージを持っていたリカと、そんなリカの態度に一度は声を荒げた空井が、互いの立場や状況を知りながら、人間としても、社会人としても成長していく物語です。

自衛隊、と聞いて思い浮かべるイメージは人それぞれだと思いますし、私自身、初めてこの本を読んだ当時は、自衛隊を批判的に捉える人がいることすら知りませんでした。それは、余りに自衛隊について無知であった、と言わざるを得ません。

自衛隊員も特別な存在ではなく、ひとりの人間であるということ、当たり前のことですが、知らない世界であるほどつい忘れがちになるものです。

TBSでドラマ化され、綾野剛さんと新垣結衣さんの演技が話題を呼びました。私も久しぶりにアマプラで見返そうかな……


6.こんな青春送りたかった!『キケン』

ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称【キケン】。部長・上野、副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。(※新潮社HPより引用)

電気工科大学の「機械制御研究部」と聞いて難しそう……と思ったそこのあなた、騙されたと思ってぜひ読んでほしい一作なのです!私自身も最初は、「さすがに理系の話は無理だよ……」と思いながら手に取ったのですが、男子大学生たちのエネルギーや賑やかな雰囲気に、ページをめくる手が止まりませんでした。

登場人物は、大学二回生の上野と大神、一回生でキケン(機研)に入ることになった池谷と元山ら。個性あふれる彼らの全力な大学時代が、6話構成で綴られています。

自宅出禁をくらう上野の、犯罪すれすれの実験の話。ほぼ男子校といえる西南大の、目つきの鋭く圧迫感があるといわれる大神が、お嬢さま学校の女子大生からラブレターをもらう話。学祭の模擬店で、本格ラーメンを売り上げる話などなど……。工学系の言葉も出てきますが会話が多くて読みやすく、実験シーンのリアルさもポイントです。

誰にでも、真っ直ぐでひたむきで、がむしゃらで全力投球な青春時代があったこと。そしてそれに気づけるのは何もかもがひと段落したその後だということ。今では眩しくて直視できないあの時代を思い出すと、ちょっぴり切なくなったり微笑ましかったり。そんな気持ちにさせてくれます。

最後の黒板シーンは感動です。(読んだ人には分かりますね?)


7.先入観に気づかされる『明日の子どもたち』

児童養護施設に転職した元営業マンの三田村慎平はやる気は人一倍ある新任職員。
愛想はないが涙もろい三年目の和泉和恵や、理論派の熱血ベテラン猪股吉行、“問題のない子供”谷村奏子、大人より大人びている17歳の平田久志に囲まれて繰り広げられるドラマティック長篇。(※幻冬舎HPより引用)


営業職から転身した三田村が、「あしたの家」の職員として勤務する初日の場面から物語は始まります。親に甘えられない子どもたちのために優しくしたい、と意気込む三田村でしたが、初日から出鼻をくじかれます。

子どもたちにとって「家ではないけど生活の場」である「あしたの家」がいかに大切な存在か、施設で長く過ごしてきた奏子や久志、職員である和泉や猪股との関係を通して学び、成長していくストーリー展開となっています。

親と暮らせなくてかわいそう、という感情は、児童養護施設に縁がない人々にとって、ある意味持たざるを得ないものなのかもしれません。奏子が三田村に向けた怒り、養護施設について広めようと手紙を書く信念には、施設について知らない人に「かわいそう」と哀れまれたくない、という感情がいつも潜んでいました。

自分の知らない世界について正しい理解を持てないままに、そしてそれを偏見や先入観と思えないままに見てしまうことは、とても悲しくて残酷なことだと、この本を読めば奏子や久志が教えてくれるでしょう。

この作品を手に取られた方は、ぜひ最後の解説までお読みください。この物語が生まれたきっかけに、胸が熱くなるはずです。


さいごに

いかがだったでしょうか。

有川さんといえば恋愛小説、というイメージもあるかもしれませんが、SFやヒューマンドラマも見逃せない作品要素だと思います。どこか共感してしまい、登場人物全員に愛着がわいてきたり、自分を重ね合わせたりしてしまうのが、有川作品の上手いところ...!読みやすい文体で会話シーンが多いところも、人々を惹きつける特徴だと思うのです。

今回は、有川さんがペンネームを変えて「有川ひろ」として活動する以前の作品のみを選びましたが、『イマジン?』『アンマーとぼくら』なども素敵な作品です。興味がある方はぜひそちらも手に取ってみてください!


好きな本について書いているだけでこんなにわくわくするとは!次回は何について書こうか、今から考えております…。

それでは!

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