スキ数100に到達して思うこと
掛けたまえ。CORONAは冷えている。
なんかこう、こないだnote公式小説マガジンに収録され、編集部のお気に入りにも入ったりした拙作『機械仕掛けの墓標』が、スキ数100に到達したわけである。
そこそこの分量の、特に時事ネタを捉えたわけでも現実の生活に役立つ内容でもない小説作品がこのスキ数を取るのはけっこう珍しいことではあるので、なにはなくともめでたい話だ。
だが、胸のうちが憂いなく誇らしさに満たされているかと言えば、正直なところ「否」であった。
端的に述べよう。
・フォロワーは別に増えない。まったく増えないわけではないが五人にも満たない。
・『機械仕掛けの墓標』以外の作品への波及スキとかは一切ない。スキ数80に到達した時点で、本作のラストに自作の短編をまとめたマガジンへのリンクを作成してみたが、そちらにはマジでひとつたりともスキが波及することはなかった。
正直なところを述べよう。
無論のこと俺の小説は最強に面白いし、であるならば当然『機械仕掛けの墓標』も最強に面白いのは確定的に明らかだ。それはいい。
だが他の短編が20だか30だかのスキ数のままなのはどういうわけだァ~!? それって納得いくかァ~~~おい? オレはぜーんぜん納得いかねえ……なめてんのかァ―――――ッ! このオレをッ! バス停を読め! バス停を! チクショオ――― ムカつくんだよ! コケにしやがって! ボケがッ!!!!
……ハァ……ハァ……
落ち着きましょう。暴力を振るって良い相手は悪魔共と異教徒共だけです。
やはりどこかで導線の引き方をミスったのかもしれない。いかなる見地から言っても拙作の中で『機械仕掛けの墓標』だけが飛びぬけて面白く、それ以外はクソなどということはあり得ない。それだけは断言できる。明らかにバス停のほうが面白い。であるならばこの圧倒的なスキ数の差は何かと言えば、公式のおすすめに入ったか否かという違いしかないのである。
無論、スキ数が80になってから導線を用意するのは遅すぎたというのはあるだろう。だが、短編集マガジンへのリンクは「その他の短編はこちら!」とかいう宣伝臭い文言ではなく、【おわり】の文字にリンクを噛ませている。80から100までの間にスキを押した20名のうち、まず半分以上は「おや? なんだろう?」ぐらいは思ったはずだ。そしてマガジンの一番上にある『フルスイングでバス停を。』をクリックしてみる――というぐらいのことは期待していたのだ。だが、蓋を開けてみればこのざまである。
作品に興味はあっても、それを書いた作者には興味がないということであろうか? まぁ、それはそれで健全な作品鑑賞態度ではある。俺はたとえ強姦殺人をおかしたクソ野郎の書いた小説だろうと、面白い限りは評価するつもりであるし、そのような自分を恥じる気が一切ない。面白さだけが正義だ。
とはいえさすがにここまで極端な結果になるとまでは思わなかった。いや、あの、ゆうてもうちょっと作者に興味持ってくれてもいいのよ??? バス停面白いよ??? 『狂える大樹の唄』もけっこう詩的に味わい深いよ??? 『葛藤系自虐独裁者ダルヴァレス』はみんな大好き『機械仕掛けの墓標』の続編みたいなもんだよ??? そっちいかないの???
つまりその、今俺が感じている無力感は、「評価されるか否かは権威あるピックアッパーの目に運よく止まるかどうかだけが問題であって、こっちサイドの努力などほとんど何の意味もないのではないか」という疑念が由来である。いや、そんなことはない。そもそも質が伴っていなければ公式の目に止まることすらなかったはずだ。たまたまその時公式がイルカチャンをキメていて正常な判断力を失っており、駄作をピックアップしたとしても、中身が伴っていないのなら100スキはいかない。そう思いたい。思いたいがこの圧倒的なスキ数の差を前にすると「この100スキは本当に俺のものなのか? 俺はこれを誇っていいのか?」と虚無の暗黒に飲み込まれそうになる。そして脳内ラーメンハゲが「やつらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ」としきりにささやきかけてくるのだ。黙れ!! 鼻から辛辛魚食わすぞ!!
普段書かない雰囲気の作品でバズっても特に次には繋がらない。もっと血飛沫と暴力とセンスオブワンダーと爆発とクソデカ感情とやりすぎなくらいキャラの立った野郎どもがものすごい形相で殺し合う展開とどんでん返しと哲学的思索にまみれてたまーにとびきり可愛いヒロインが出てくる作品だけを書かなくちゃ(使命感)。
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