春は生理不順になりやすい?生理周期を整えるために
生活リズムを崩しやすい春に注意
過ごしやすい気候の日が増えはじめ、いよいよ春らしくなってきました。4月から、新しい環境での新生活がはじまるという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
職場が変わったり、部署を移動したり、子どもの新生活で生活スタイルが変わったりと、変化の多い季節。同じ職場であっても、新しい出会いがあったり、会社のルールが変わったりこれまで経験したことのない仕事が増えたりする時期でもあります。
新生活がはじまると、生活リズムが狂いがちに。
生活環境や生活習慣の変化は、身体にとってはストレスになりやすく、生理のリズムにも影響が出てしまうこともあります。
ストレスが溜まると自律神経がバランスを崩してしまい、その影響を受けて排卵周期も狂ってしまいます。それにより、生理が遅れたり生理痛がひどくなったりするのです。
また、春は低気圧と高気圧が交互にやってきます。気圧の変化によって、自律神経から出る指令がコロコロと変わってしまうため、身体がその変化についていけず生理が遅れてしまうこともあります。
生理周期が崩れてしまうと、どうしたらよいかわからず心配になってしまうもの。生理不順についてしっかりと理解し、もしものときにも適切に対処できるようにしましょう。
どこからが生理不順?その基準とは
正常の生理は周期日数が平均では28日と思われていますが、実際には25日~38日周期は正常周期であり、問題はありません。また、出血持続日数は3~7日といわれています。しかしこれに当てはまらず、25日未満で出血したり、次の生理までの間隔が39日以上かかるといった状態のことを「生理不順」といいます。
また、妊娠していないにもかかわらず3ヵ月以上生理がない状態を「無月経」といいます。無月経には、18歳以上になっても生理が始まらない「原発性無月経」と、普段来ていた生理が来なくなる「続発性無月経」の2種類があります。様々な原因で無月経となるため、3ヶ月以上生理がなかった場合には、婦人科を受診するようにしましょう。
無月経以外の生理不順としては、月に2回生理が来る、生理が2日で終わってしまう、逆に生理が8日以上続く、生理周期が正常周期ではなく短いとか長い、などが挙げられます。
しかし、生理の遅れや周期の乱れは生理不順だけでなく、妊娠や更年期・閉経によるものである可能性も考えられます。
閉経の平均年齢は一般的に50歳で、その前後5年、つまり45歳から55歳が更年期と呼ばれる期間になります。非常に稀ですが30代で閉経する「早発閉経」という病気もあります。加齢とともに女性ホルモンの分泌量が減少することで数年かけて閉経を迎えますので、突然生理が止まっていきなり閉経するのではなく、徐々に周期が乱れ、5〜6年かけて女性ホルモンの分泌が減少しながら閉経を迎えます。その間は、生理周期が長くなったり短くなったりするものです。40代になって生理が不定期になってきたら、更年期にはいり、その後の閉経の準備が始まっている可能性を考えましょう。
生理不順にはさまざまな原因があります。少しでも異常を感じたり、不安がある場合には早めに婦人科を受診して相談してみることも大切です。
日常生活の中で生理周期を整えるために
ストレスなどによって、女性ホルモンの分泌を司る視床下部や下垂体からの指令が正常に出なくなると、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」のバランスが偏り、生理不順につながります。生理周期を整えるためには、以下のようなことを心がけてみましょう。
■ストレスを溜めない
新生活が始まったり、仕事が忙しくなったりといった環境の変化によるストレスが、生理の遅れとなって現れる場合があります。日頃から、家に帰ってからのOFFの時間を意識的に作って、心静まる音楽を流したりアロマを使ったり、ゆっくりと湯船につかる、など、自分に合ったストレス解消方法を身に着け、生活習慣を整えることも意識しつつ心身ともにできるだけストレスが溜まらない生活を心がけましょう。また、十分な睡眠や休息を確保することも大切です。
■極端なダイエットをしない
無理なダイエットによる栄養バランスの乱れは身体にとって大きなストレスとなります。短期間に栄養を取らなくなると脳は身体を守ろうとして生理を止める方向にはたらきます。適正カロリーを厳守し、バランスの取れた食事を心がけましょう。
■過度な運動を控える
適度な運動は生理周期を整えるためにも重要ですが、極端に激しい運動を続けることはストレスになるだけでなく、エネルギー不足で生理が止まってしまうことがあります。日常的な運動では問題ありませんが、本格的なスポーツ(大会優勝を狙うようなレベル)ではしっかりと運動強度に気をつけてトレーニングをしましょう。もちろん、肥満もホルモンバランスの乱れにつながってしまいますので、日々適度に身体を動かすことは意識しましょう。
このように日常生活の中で、生理周期を整えるために気をつけられることはいくつかあります。食生活も運動も睡眠も“適度にバランスよく”が大切。
しかし、生理不順は自分自身だけで解決できないこともあります。3ヶ月以上生理がこない時や、不正出血があるときなどは、自己判断せずに、婦人科を早めに受診することをおすすめします。
自分の身を守れるのは、自分であることを忘れずに。
新生活に目を向けながらも、自分自身の大切な身体の声もしっかり聞いて、春というはじまりの季節を満喫しましょう。
医療監修 宗田聡医師(医学博士・産婦人科医・産業医)