「防災の日」は“もしも”に備えを。あなたも、大切な人も守るために。
冷静ではいられない、非常時の生理
9月1日は「防災の日」。
1923年9月1日に起きた関東大震災にちなんで制定されました。
日本は、地震や台風、津波、豪雨などの自然災害が発生しやすく、これまでにもさまざまな災害に見舞われてきました。さらに、新型コロナウイルスが猛威を振るっている現在、「防災」は誰にとっても身近なものに。理解を深め、“もしも”に備えることが大切です。
いつ起きるか予想がつかない災害。女性にとって困るコンディションの一つが「生理中」ではないでしょうか。
1995年1月、阪神・淡路大震災で被災された方に話を伺いました。
「私が19歳の時、阪神・淡路大震災が起こり、避難所暮らしも経験しました。不思議と当時の記憶は断片的にしか残っていません。あれから26年経った今、女性が震災を乗り越えるには独自のハードルがあると感じます。生理もそのひとつ。支援物資を受ける立場では『生理用品が欲しい』と言い難いです。また、ナプキンを頻繁に交換できるような環境ではありません。」
家族や友人が心配だったり、目の前のことに必死で過ごす最中では、自分のことが後回しになることもあるでしょう。気が動転していて当時の記憶が辿れない…そんな声も少なくありません。
いつものように冷静に対処することができない、それが非常時の生理なのです。
知っておこう、災害時の生理のこと
働く女性が増える一方、「生理休暇の取得率は1%未満」という平成27年に厚労省が行った調査結果に表れているように、たとえ生理が辛い時でもそれを周囲に伝えるのは難しいのが現状です。日頃から、自分だけで解決すべきこととして捉えている生理の辛さや不自由さだからこそ、被災中とはいえ声をあげることは高いハードルとなってしまいます。
災害時に最も問題になるのは「生理用品が足りない」ことだと言われます。
自らの意思でコントロールできるものでもなく、一度始まると何日にもわたって出血が続く生理は、個人差はあるものの、生理用品なしでは対応しづらいものです。しかしながら、まずは衣食住が優先されること、ケガや病気などで大変な人を思うと自分の生理くらい…と女性たちが声をあげづらいと飲み込んでしまうことで、その困難はきわめて個人的で閉鎖されたものへとなっていきます。
生理用品の不足の他には、どのような問題があるでしょう。
・避難所のトイレの数が少なく頻繁に替えられない
・仮設トイレにゴミ箱がないなど、使用済み生理用品の捨て場所に困る
・サニタリーショーツのデザインによっては洗濯後に干しづらい
・シャワーがない場合には不衛生になる
・生理痛が辛くても人目が気になり十分に休めない
・痛み止めの薬がない
生理がある人にとっての生理用品は、水や食料と同じくらいの必需品であることを、誰もが知っておくことが求められます。
モノも心も十分な備えを
四季があり美しい自然をもつ日本は、地形や地質、気象などの特性によって災害が多いという特徴を持っています。自分自身や家族、大切な人を守るために、十分な備えを心がけましょう。
災害時にしばしば問題になるのが、トイレットペーパーをはじめとする生活物資の買いだめを行う動き。「無くなってしまったら困る」という不安が、人々を生活必需品の買いだめへと走らせます。
新型コロナウィルス感染症が広がりを見せ始めたころ、一時売り場からマスクが消えたことも記憶に新しいことです。生理がある人にとって、生理用品はまさに必需品。なくなるかも!?そんな不安に駆られる人が多くなったとき、いつものように入手できないこともあるかもしれません。
日頃より使い慣れた生理用品をきちんとストックしておきましょう。加えて、新しい選択肢として近年登場した月経カップや吸水ショーツなど、繰り返し使えるアイテムも取り入れ、多くのストックを持たずとも過ごせるようにしておくとより安心です。
体のケアに余裕が生まれると心にも余裕が生まれ、周りの人にも優しくできるもの。災害時は色々なことに疲弊してしまうものですが、女性特有の悩みの不安や心配を取り除いて少しでも落ち着いて過ごせるように、モノの備えだけでなく、心も備えておきたいものです。
ぜひこの機会に、災害時の生理について考え、必要な準備をしておきましょう。