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#185_【近代化遺産】隧道三兄弟

対馬は全島の約9割が山という地形ですので、車で島内を走っていますとトンネルが目に付きます。

以前ご紹介しましたが、対馬で初めて造られたトンネルは意外と古く、1928(昭和3)年に供用された豊崎隧道になります。

トンネルの入口には、土砂の崩落を防ぐための擁壁が作られるわけですが、美術作品かと思えるくらい美しいですね(^^ )。

【豊崎隧道の比田勝側の入口です。擁壁はいまでも役目を果たしています。】

対馬は、軍縮条約が発効したあたりから、島全体が要塞化していきます。

軍事施設を造るにあたり、物資の運搬など、ロジスティック(いわゆる「ロジ」)の主軸を担っていたのは船だったと思いますが、船着場に適した地形というものがありますので、どこにでも都合よく造れるとは限りません。
そのため、人の移動や物資の輸送のために、船着場と軍事施設を接続する道路が必要になってきます。
しかし、対馬は山だらけですから、道路を作るとなると、山越えをするなど困難を極めます。安易に地形に沿った道路を作ってしまうと、アップダウンが激しいクネクネ道になってしまうので、走るのも大変です。
もちろん軍事施設を一刻も早く建設する必要性があったでしょうから、トンネルもそれに伴って建設されました。

豊崎隧道は、残念ながら廃道となっていますが、昭和初期に造られ、現在でも普通に利用されているトンネルが厳原町南部に3本あります。
今回はそれら隧道をまとめて紹介したいと思います。


3本の隧道について

昭和初期に厳原から豆酘崎に至る軍道が開発されました。現在の県道24号厳原豆酘美津島線の一部になるかと思います。
まず1936(昭和11)年、久田隧道を開通させ、それから3本の隧道が建設されます。
資料での裏取りができませんでしたが、現在の久田トンネルは、おそらく久田隧道を改修したものかと思います。

【久田トンネルの入口です。】
【銘板です。】
【微妙なひねりが美しいです。】
【新久田トンネルの入口です。】
【銘板です。】
【こちらも微妙なひねりが加わっています。】

お待たせしました。
それでは、3兄弟を北から順に1本ずつ見ていきましょうo(^-^)。

安神隧道

1939(昭和14)年に完成しました。

【厳原側から撮影です。】
【久和側から撮影です。】

久和隧道

1940(昭和15)年に完成しました。

【内院側から引きで撮影です。離島なのに距離の感覚がバグってしまいます。】
【内院側から撮影です。】

浅藻隧道

3つの中で一番古く、1938(昭和13)年に完成しました。

【厳原側から撮影です。】
【浅藻側から撮影です。】

3本の共通点と相違点

共通点

3本の隧道には、コルゲートが用いられています。
内部の断面に波を打っている板が張られているのが特徴的ですが、それによって強度が増すのでしょうか。

そして、幅2.8m、高さ3.8m以内の車両でないと通行できません。
また、迂回路がありませんので、交互通行になります。
信号はありませんので、トンネル内に対向車がいると気付いたら、入口の手前で待ちましょう。

相違点

3本で、壁に付いているコルゲートの付け方が微妙に違います。
北から順に、

安神隧道は、低い部分のコルゲートが付いていません。

久和隧道は、出入口付近は低い部分にコルゲートが付いていませんが、中心部は全面覆われています。

浅藻隧道は、全区間コルゲートで覆われています。

これで、目隠しされて放り出されても、どこのトンネルにいるのか分かりますね…(゚∇゚;)☆\(-_-;)。

このタイプのトンネル、首都圏にもあります

これらのようにコルゲートを用いたトンネルを対馬以外で見掛けたことがなかったのですが、数年前に思わぬ場所で出くわしました。

【ブレブレですみません。路線バスの車内から撮影です。】

観音崎(神奈川県横須賀市)の灯台と砲台を見て、横須賀駅に帰る途中、路線バスが高さも幅も割とギリギリのトンネルに躊躇なく突っ込んでいき、内部の壁は波を打っていて、異空間に連れてかれるような気分になりました。
こちらは走水第一・第二隧道というそうで、元々水道用のトンネルだったものを軍用道路に拡張したものになります。

※走水第一・第二隧道は、幅3.5m、高さ3.0m以内の車両でないと通れませんので、一方通行になっています。横須賀駅から観音崎に行くバスは通りませんのでご注意ください。

最近廃墟や廃道ばかり見て回っていましたが、現役で活躍する姿は美しいですね(^^ )。

余談ですが、横須賀市には、鉄道用も含めると150本以上トンネルがあるらしく、日本一トンネルが多い市ではないかといわれています。
ただ、対馬にもけっこうな数のトンネルがありそうな…。

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佐藤雄二_ビーコンつしま
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