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#98_【読書】まちかどガードパイプ図鑑/岡元大(創元社)

先日、廃墟景観シンポジウムで知り合ったマニアパレルさんが、ある書籍とコラボするとSNSに書かれていました。

その本のテーマは、なんと「ガードパイプ」(゚_゚;)。
ここ数年、狛犬、レンガ、排気ダクト、ブロック塀、酷道、団地、消波ブロック(テトラポット)など、色々なマニアの方と出会いましたが、またスゴいものがぶっ込まれてきたなぁと思いつつ、面白いに違いないという直感が働き、早速注文していまいましたf^_^;)。


ガードパイプの定義

「ガードパイプ」という言葉は、土木建設業界内で使われている言葉ではないそうで、本の冒頭で筆者はこのように説明しています。

本書ではパイプ製の柵を「ガードパイプ」と呼んで紹介する。
「パイプ製のガード」で「ガードパイプ」なのはすごく分かりやすいネーミングだし、間違いではないのだけれど、僕らがガードパイプと呼んでいる柵のほとんどは定義上「横断防護柵」が正式名称なのだ。
大前提として、道路に設置されている様々な種類の柵(ガードレール、ガードケーブル、ボックスビーム、ガードパイプ、転落防止柵など)は「防護柵」と総称される。形は違えど 、みな事故を「防」いで危険から人を「護」るための柵なのだ。道路の特徴や周囲の環境から起こりうる危険を想定し、その場に合った強度や形の防護柵が設置されている。

まちかどガードパイプ図鑑/岡元大
P6 ガードパイプとはなんなのか

本書の中では、パイプ状になっていないものも登場してきますので、防護柵の役割を果たしていれば、目くじらを立てて定義と付け合わせるようなことをしなくても大丈夫そうです。

ガードパイプを取り巻く環境

本書には、街中にある個性豊かなガードパイプの写真のほかに、鋼製防護柵協会の方との対談も収められています。
対馬の街中を歩いていると、ところどころで少し変わった防護柵を見掛けるものの、地味にひっそりとしている印象があると感じていましたが、同協会の方によると、現在は「景観に配慮した道路付属物等ガイドライン」(道路のデザインに関する検討委員会編著、日本みち研究所発行、大成出版社、2017年)というものがあり、色が決められているほか、あんまり地域色を出しすぎるな、とも書かれているとか。
つまり、絵が描かれている防護柵は、付け替えや塗り直しになると、前の絵は消されてしまうだろう、という話です。

【このようなガードパイプは、今後なくなりそうです(久田のかたらい橋付近)】

具体的にどのような物を指す?

普段は、被写体にガードパイプが入らないよう撮影するため、ストックした写真から探すのには苦労しましたが、まちあるきをしていたら、割と労せず見つけることができます。

【東京都内で見られる緑のイチョウ(江東区朝凪橋付近)】
【国道で見られる目形(甲州街道FM東京本社前)】
【文京区のガードパイプ(おりがみ会館前)】
【波を打つガードパイプ(海上自衛隊佐世保総監部人道橋)】
【デコレーションされたガードパイプ(西山ダム)】

ただし、危険を想定して設置されるということは、危険が想定されなければ設置されない、とも言えますので、めっちゃ道幅が広いのにないのねぇ…ということもあります。

【片側三車線くらいの道幅がある、JR釧路駅近くの「なつかし館蔵」前】
【釧路の観光スポット幣舞橋(ぬさまいばし)の車道側にもありません。】

釧路の場合、ガードパイプがあると、除雪作業のジャマになる、という話が出るかもしれませんので、そのあたりも土地柄が表れていそうです。

読後の感想

偏愛趣味を持っている方の多くに感じることですが、自分の趣味を語る際に、完全アウェーで普通の説明では理解されないと認識されているのでしょうか、説明が丁寧で分かりやすく、低姿勢なお人柄が、端々から伝わってきました。「オレ的ガードパイプ探訪のすすめ」は、外の世界にいる人を巻き込むのに応用できそうな、良い仕掛けと感じます。
私も変な趣味を持っているせいかもしれませんがf^_^;)、逆に、市場が大きいテーマですと、多少表現が拙くても、以心伝心である程度の人に伝わってしまうため、部外者からすると「???」と感じることが、思いのほか起きている気がします。
そして、著者は、友人知人からもお土産代わりにガードパイプの写真をもらうことがあるそうですが、そもそも発信するから情報が集まるわけですし、もらったものに対して喜んでもらえるので、さらに協力が得られるという感じに、イイ循環を生んでいる方なのだろうと感じました。

こういうのを読んでしまうと、まちあるきしたくなっちゃいますね(^_^)b。


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佐藤雄二_ビーコンつしま
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