デュアルフォーマットフィルムカメラ HASSELBLAD X-PAN #1
前回もったいぶってしまったので、少し恥ずかしいのですが、HASSELBLAD X-PANについてです。
HASSELBLAD X-PAN
このカメラは昨年フィルムカメラに興味を持った頃からすごく気になっていたカメラでした。YouTubeで主にフィルムカメラを紹介されている海外の方がいてよく見ているのですが、その中で紹介されていて興味を持ちました。
この方がMamiya7という中判フィルムカメラとともによく使用されているのがTX-1で、紹介する写真がすごく自分好みということ、その見た目に心を奪われていました。
このカメラの特徴はなんと言っても「デュアルフォーマットカメラ」です。
通常の24x36mmのフォーマットに加え、パノラマ24x65mmで撮影ができるレンジファインダー(距離計)のカメラです。
しかもフィルムの途中で通常とパノラマの切り替えができるという楽しいカメラなのです。
YouTubeでは富士フィルムTX-1として紹介されていますが、このカメラはHASSELBLADとの共同開発で、それぞれの会社が別々のモデル名と外観で発売したものですので、中身は一緒ということは皆さんご存知のことと思います。
ただ、TX-1もX-PANも今は中古価格がものすごく高騰していて、M型Leicaのフィルムカメラ並の価格で取引されていることから、すぐには手が出ないカメラでした。今回年末からのカメラ断捨離構想の中で再びこのカメラへの想いが強くなり購入した次第です。
私の戦損版X-PAN
今回は、ファインダーやレンズ、動作などの機能面に問題がないことを重視して出品者の方に確認、外観はある程度妥協することで価格的にある程度リーズナブルな個体を選んでみました。
このHASSELBLADバージョンのX-PANは、塗装が剥がれやすいことで有名みたいなのですが、実際に手にとって見ると、この「やれ感」も悪くない感じです。中国語だと「戦損版」と表現するようです。なんとなく意味がわかりますね。ボディの材質がチタンなので、塗装が剥がれて見える素材部分も鈍い金属光沢があり、ライカの真鍮ボディのやれ感同様かっこよくも見えてくるから不思議です。私はカメラは傷がつかないように大事にするのが性分なのですが、このX-PANは、「道具としてそんなこと気にせずに使え!」というカメラの声が聞こえてきそうです。
また、実際このカメラを手にとってみると、思ったよりずっと素晴らしい質感です。少し薄いレンガを持ったかのような、ぎっしりと中身の詰まった直方体の形状を手に感じ取ることができます。
また、シャッターの音、フィーリングも良好です。
あと、45mm のレンズは状態がよく、また金属の鏡筒も素晴らしい質感です。
安物買いの銭失いか?
ただ、購入後シャッターを押してみたり機能面をチェックしていたときに気なることが。
このカメラは電子シャッターでフィルム電動巻き上げ式なのですが、シャッターを切って自動的にフィルムを巻き上げる際にキュルッと短い異音がするときがあります。
毎回ではないので巻き上げ自体には問題がないのですが、異音がするということは駆動系に負担がかかっているであろうこと、段々と修理ができない環境になっていくことを考えると、程度がさらに悪くなって部品が破損したりする前に、きちんと治しておいたほうがよいと考えました。
ということで早速信頼できそうな修理師の方に見てもらうことにし、手元から離れてしまいました…
少しでも安い個体を狙ったののに、早くも銭失いの予感 笑
修理の方によると、X‐PANは結構電気系統を修理されている個体が多く、その修理技術によってはひどい配線処理になっているものもあるみたいです。
(日本ではそんなことはないのかもしれませんが。)このNoteを書いている段階でも修理の方とやり取りをしていますが、私の個体も修理履歴はありそうです。
異音の方は、シャッターアセンブリ内のモーター部分の不調ということのようです。該当部分モーターアセンブリ交換かモーターのメンテで様子を見るかの選択肢がありそうで、担当の方いわく、提案としては修理でも大丈夫そうとのことなのでそれでお願いすることにしました。ちゃんと選択肢を提案してくれるところに誠実さを感じました。
そういった意味でも価格の割にリスクの高いモデルとは言えますね。
あと、塗装の方はうまく塗り直してくれたり、好みの色に変えてくれる業者がいくつかあるので、今後もし綺麗にしたい気持ちがあれば依頼することを考えたいと思います。
X-PAN+ILFORD PAN400 モノクロフィルム
ここからは修理に出す前に試しに撮影した1本のフィルムの写真を紹介させていただきます。最初の1本は、ILFORD PAN 400の白黒フィルムで撮影してみました。
Noteの記事の中に貼り付けると小さくて全然パノラマ感出ないですね 笑
ぜひ写真をクリックして画面いっぱいに拡大いただければと思います。
カメラもそうですが、レンズがすごく良さそうです。以前バルナックライカにElmar50mmをつけてモノクロで撮影したときもシャープな写りに驚きましたが、今回それよりもさらにシャープな感じがします。
パノラマだとなかなか構図が難しいという感想もあるようですが、自分はそこまで細かいことを気にしないので、逆にあまり意識せずとも余白部分に色々写っていて面白いと感じました。
四隅も隅々まで綺麗に写っていていいです。
上の一枚は子どもとお父さんを一緒に画角にいれたかったのですが、動いてしまったので理想通りにはなりませんでした。
でも線路が奥に向けて広がる感じと、子どもが手を広げてバランスを取りながら線路を歩く様子が横長の画面の中でいい具合に取れて気に入りました。
最後に縦でも。
今回はあまり面白い撮影対象がみあたりませんでしたが、縦でも面白そうです。
レンズがF4で、ポートレートやぼけを狙った写真などは撮りにくいですが、その分レンジファインダーでの素早いピント合わせでもストリートスナップや風景は綺麗に映るので、私としては楽しく使えそうです。
あとは無事に修理ができることを祈るのみです。
旧正月の一時帰国前に修理を完了していただくようお願いしていますが、ちゃんと戻ってくるだろうか?
戻って来ればこれを日本に持っていくか、安定のNikonFE2を持っていくか、はたまたM11で行くか、それはそれで悩みます。
早く戻ってきてカラーでも撮らせてくれ!
やっぱりフィルムカメラ、わくわくします。