声のトーンだけでこの人とは一生分かり合えないと感じました

(プルル…プルル)

「お電話ありがとうございます! お客様お問い合わせセンターでございます!」

「あのー、別にクレームとかではないんですけど」

「はい、いかがなさいましたか?」

「この前、そちらの"おいしい水"を購入したんですけど、全然おいしくなくて。残念だなって思って」

「え、えぇ」

「いやだって、"おいしい水"ってラベルに書いてあるから、期待大だったのよ。わくわくして自販機で買ってさ、ひとくち飲んだら大したことなくてさ。期待を大きく裏切った件について、どう責任取ってくれるの?」

「…えぇ、確かに"おいしい水"と謳っておりまして、お客様のご期待に添えなかったのは申し訳なかったですけれども…」

「…けれども?」

「こちらとしても自信をもって売り出しておりますし、正直味覚については個人差があるところではありますので、ご理解頂けますと…」

「…えっ、じゃあ個人差があるから仕方ないと?」

「……え、えぇ」

「じゃあ名前変えてよ」

「……え、えぇ」

「"万人が美味しいと感じるかかは不明ですが、私どもは自信をもって美味しいと思っておりますので、万が一美味しくなかったとしても、責任は負いかねますのでご了承ください水"とかにしないと駄目でしょ?」

「…………」

「いや別にクレームとかじゃないんですけどね? これ以上は水かけ論になるから、もういいです」

「待ってください!」

「…なんですか?」

「水だけに、お客様が見ずにはいられない商品を開発してまいりますので!」

(ツー、ツー)

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