「いらっしゃいませ!」

「依頼していた例の鞄をくれないか」

「はい、ご用意しております!」

「ありがとう。ヴィンテージとは言え、流石に良い仕立てだな。ん? これは頼んでないぞ?」

「あっ、お客様。そちらは以前に所有していた方がこの鞄に入れていたものでございます」

「ラベルに"責任"だとか、"なりたい自分"だとか書いてあるな。私にはこんなものはいらんぞ!」

「ですがお客様、こちらを持っていないと皆様から白い目で見られるようでして…」

「それはそれで嫌だな。仕方ない、これも一緒に貰おう」

ジャケットを着込んだ紳士はこうして、また荷物を背負うことになったのでした。

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