見出し画像

『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』映画感想

最近映画を観る本数が少なくなる一方で、パンフレットを購入することが多くなっているけれど、本作パンフレットの「Production Notes」のおかげでとてもよく理解できた。
(以下、引用部分はすべてパンフレットの「Production Notes」から)

米国の第47代大統領に就任したドナルド・トランプと、その師匠で悪辣な弁護士ロイ・コーンの物語を観て、現代社会の危うさを感じ、行く末を想像させる映画ではないかと。

ニューヨークの不動産業界で一旗揚げようと躍起になっている若手実業家のトランプはコーンの協力を勝ち取る。コーンはトランプに<腐敗組織を利用するあくどい手の内を、余すことなく伝授>するとともに次の教えを授ける。

1:攻撃、攻撃、攻撃
2:非を絶対に認めるな、全て否定しろ
3:どれだけ劣勢でも勝利を主張し続けろ

コーンの教育を受けたトランプは、<激昂しやすく人を不快にして対立関係にさせる男を><長いこと演じているうちに、とうとうそれが彼のアイデンティティになってしまった>。

<常に自分の理念に合わせて現実を捻じ曲げてき>たが、<自分はその理念を世に出せる器ではないと感じていた>コーンにとって、トランプは<やっと見つけた完璧な弟子>で、<ルックスもよく、金持ちで、野心があって、自分の理念を実践してくれる理想的な怪物>だった。

<結婚生活も不毛で、心はいつも満たされ>ず<自己嫌悪と同性愛者であることへの羞恥心>を抱えるコーンは<誰しもそうであるように、愛されたかった>。トランプを<好んで“親友”と言>い、<愛を−−最後には失ってしまうが−−ドナルド・トランプとの関係に見出した>。

Production Notesには<トランプは成功と金と権力が正義や良識に勝るという、非常にアメリカ的なシステムの中にしか存在できないのではないか>との記述があるが、果たしてそうだろうか。

<真実は関係性で変容し、事実は対立意見の争いでしかな>く、<自分が認めるものだけが現実であり、人生において最も肝心なのは勝利すること>という方向に世界全体が向かいつつあるような気がする。

知事選で某首都は思わぬ人が躍進し、関西某県はまさかの人が再選したことは、なんとなくトランプと同じようなニオイがする。

劇中、トランプは「人間には“殺す者”(勝者)と敗者の2種類しか存在しない」というようなことを言っていた。<人生で大事なのは勝つこと以外にないと思っている人がどうなるか>。

本作はそれを感じることができるけれど、ちょうど今、全国ネットの某テレビ局の現状が示しているようにも思う。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集