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時殺_05/19

電車に揺られること18分。
4駅隣の少し都会染みた街に訪れた。
いつも通り百均へ寄り、必要としているものを買う。
そしてエスカレーターを乗り継いで3階に着く。
その途中、カミソリを買い忘れたと思い出し苦笑を零す。
視界の先には相変わらず誰も居ない錆びたフェンスと汚れた椅子だけが置いてある。
椅子をスルーしフェンスに座る。
ギシッと古い音を立て毎回の如く其れに驚く。
ぼくの体重で折れてしまうのではないかと。
だがフェンスは見た目以上に頑丈で
平気だと言うかのように支えてくれる。
真下を見ると白線の薄れたアスファルトが瞳に映った
前のめりになるときっと直ぐに落ちてしまう。
その恐怖を解りきっている今でもほんの少しだけ身体を傾ける。
その途端、そよっと冷たい風が頬を撫でた。
ふと思った。

 “  もしも突然、強風が吹いて身体が傾いて落ちてしまったら、死ぬのかな  ”

物騒なことを想像するものだ。
ベストタイミングというかのように希死念慮が働き出した。
思った儘にメッセージを打つ。

 「  死ぬかもね  」 

そう返ってきた。

… ねえ、ぼくが死んだら悲しんでくれる?

そう思った。
このまま堕ちてやろうか。

いや、無駄なことをするのは辞めよう。
くだらないだけ、虚しくなるだけ。
大切な人達を悲しませるかもしれない。
…自惚れ、かな。
細かい風がビュンッと目の前を切った
鳩が飛んできただけだった。
その時に確信した。

消えたい、けど、死にたくない。

笑ってしまう。矛盾に等しい。
けれど、しっくりくる。
きっとこれが本心だ、と。
フェンスから降り出口を出る。
エスカレーターで下りICOCAを手に握り改札を通過した。
帰宅する為に電車に乗り込み揺られ、最寄り駅まで綴った。
できるだけ多く、できるだけ簡潔に。
それを目指して。


いまは生きていたい。
大切な人達が居るから。
藻掻き続けてたとしても、居たい。

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