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Photo by
nara_narami
人影称賛
なぜだろう
足元から伸びる影はいつだって
今ここに立っているわたしより凛としている
帰り道、隣を歩いて考えた
最後の信号の待ち時間
ぼんやりとその答えが見えてきた
影に感情は影響しない
わたしが涙を浮かべても
そいつが浮かべるのは無の表情だけで
喜怒哀楽と心の温度が上下する中
そいつは絶対零度であり続ける
消え入りそうな存在になっていても
そいつは崩れることなくわたしの形を保っている
影がこの目にかっこよく映るとき
わたしは下を向いていて
小さなため息をついていたり
眉間に皺を寄せていたりする
今を生きている実感も
明日を生きる勇気もなかったりする
だから
生きているという証拠のひとつである影が
わたしよりも立派に見えるのだと思う
下を向いてもいい
涙を流してもいい
わたしがわたしを認められないのなら
せめて
影という名のもう1人のわたしを褒めてあげたい
そうすれば
いつしか足元がじんわり温かくなって
ここなら立っていられると思える日が来るかもしれない👣
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