不確かさ幅を身体測定結果に含めるべき
先日の身体測定で身長が0.5cm縮んでいるがもう一回測るか、といわれて、「不確かさを分かっていない人が多いのでは?」と思ったので思いのたけを書く。誤差とかいってごまかしている人が多いのに対する怒りの記事。
結論としては、身体測定の結果は不確かさ幅を表示すべきという話。身長170cm±1cmなど。血圧なんかは±10くらいか。
今回議論する不確かさについては以下のリンクによくまとまっている。
以下、本論
そもそも我々は定規で測るにしても、体重計で体重を測るにしても、非常にばらつきが大きい量を測ることが多い。表題にした身体測定についても、比較的変化の少ないと思われる視力ですら、眠いときなど体調によって0.1単位で変化するのではないか。
以前は誤差とか言って適当に済ませていたこれらのばらつきは、現代の計測では各種装置の精度、実験によるばらつきがかなり定量的に評価できるようになっている。そのせいでJISZ8404として不確かさの評価法が規定されている。
今論文を書いて、「効率が以前より2%上がった」などと言った日には査読者によっては計測装置の不確かさが問われるだろう。当たり前だがきちんと不確かさを明示して、エラーバーを付けなければこのようなわずかな差は評価できない。
身体測定に戻ると、たかだか年1回、しかもサンプル数1の計測で身長が1センチ伸びたとか、体重が1㎏減ったなんて言うのは、不確かさ幅の中の変動に過ぎないかもしれない。
以上から、せめて1回の身体測定で、20サンプルは取得して、標準偏差くらいは見ておきたいという気持ちになる。