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ドル円は一時152円台後半まで上昇、米CPI受け12月のFOMCでの利下げが確実視される状況もドル安は一時的 FX・デイリーレポート2024.12.12(2024.12.11)

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 11日の外国為替市場で円は対ドルで下落した。ドル円(USD/JPY)は米消費者物価指数(CPI)の発表を控え積極的な売買が手控えられるなか、日本時間帯は151円台中盤で揉み合う展開となった。その後、欧州時間帯に入ると一部報道で日銀は利上げを急いでいないとの認識を示したと伝わったことを受け、12月の金融政策決定会合では利上げが見送られるとの思惑から円売りが急速に膨らみ152.79円付近まで円安が進んだ。
 ブルームバーグは11日、日銀関係筋の話として日銀は消費者物価の上昇に加速感が見られず、海外経済の不確実性が強まっているなかで、追加利上げを急ぐ状況にはないと認識していると報じた。一方で今後公表されるデータや為替相場の動向次第では、来週の金融政策決定会合での実施の可能性もあるという。関係者によると、「賃上げコストを価格転嫁する動きに広がりが見られているが、引き続き物価上昇が加速する状況ではないと日銀はみている」とし、「トランプ次期米大統領の就任を来年1月に控え、具体的政策と世界経済への影響を含めた不確実性は大きく、1月以降に利上げを先送りした場合も大きなコストは伴わないとの認識だ」とした。
 米国時間帯序盤には米CPIが市場予想通りの結果となり、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが確実視される状況となるなかで円が買い戻され151.90円付近まで軟化する場面も見られた。ただ、米国の利下げを織り込む動きが一巡すると再びドル買い・円売りが優勢となり、終盤にかけて152円中盤まで円安が進んだ。一方で153円台を視野に捉えているものの、現在までのところ152円台中盤では円の買い戻し圧力が強い模様。
 この日、米労働省が11日発表した11月のCPIは季節調整済みで前年同月比で2.7%上昇となり、前月の2.6%上昇から伸びがやや加速したが、市場予想の2.7%上昇と一致した。前月比は0.3%上昇で同様に前月の0.2%からやや加速したが、市場予想の0.3%上昇と一致した。変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは、前年同月比3.3%上昇し、前月からの伸びに変化はなく、市場予想の3.3%上昇と一致した。前月比も前月から変化はなく0.3%上昇で市場予想の0.3%上昇と一致した。

 この結果を受けて、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率が上昇した。シカゴマーカンタイル取引所(CME)グループが30日物フェデラル・ファンド・レート(FF)金利先物の動向に基づき算出するFed Watchによると、12月のFOMCで25bpの利下げが決定される確率はCPI発表直後から上昇し、日本時間12日午前6;00現在で98.6%となった。尚、CPI発表前は86.1%だった。一方で利下げが見送られる確率は前日の11.1%から1.4%へ低下した。

 ドルインデックス(DXY)は上昇した。日本時間夕方に中国政府が元安を容認する姿勢を示したと伝わったことや日銀が利上げを急いでいないとの報道を受けてドル買いが優勢となり、欧州時間帯には一時106.80付近まで上昇した。
 この日、ロイター通信は中国当局関係筋の話として、中国の政策当局はトランプ次期米大統領による通商関税引き上げに備え2025年は人民元安を容認することを検討していると報じた。
 その後、米CPIの発表後には米国の利下げ観測を背景に106.31付近まで下落する場面も見られたが、利下げを織り込む動きが一巡すると、主要国との経済状況との相対的比較やトランプ次期大統領の政策によるドルの先高感が引き続きドル買いを支援する要因となり、106.78付近まで上昇した。また、カナダ中央銀行(BOC)が同国の経済成長が緩やかになってきているとし、5会合連続で利下げを決定したこともドル買いを促す要因になった。尚、BOCは前回の会合に続いて50bpの大幅利下げを決定した。

 ユーロドル(EURUSD)は続落。米国時間帯には一時1.0481ドル付近まで下落した。ドル高主導でユーロが売られたほか、今月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ観測やユーロ圏経済の減速懸念が引き続きユーロを圧迫した。米国のCPI発表直後には1.0536付近まで上昇する場面も見られたものの、米国の利下げを織り込む動きが一巡すると再びユーロドルは下落した。

 ポンドドル(GBP)は前日のNYクローズ時点からやや水準を切り下げたものの、ほぼ横ばい。ドル高に圧迫されながらも対ユーロでの上昇が下支え要因となった。イングランド銀行(BOE)による利下げペースが主要国に比べ緩やかになるとの見通しがポンドの下値を引き続き支えている。

(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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