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10/20,10/25

10/20
わたし好きな人がいても絶対自分から気持ち伝えられないなあってしみじみと思う。色々理由はあるけど、もうこれから先一生会えないみたいな状況にならなきゃ多分言えない。そんな状況でも言えない可能性大。5年後くらいになって「私あの時めっちゃ好きやった〜アハハ〜」って笑いながら大公開とかもしたくない。今の私にとってはちっとも面白くないので。それに人は過去形の告白が1番困る。じゃあこの気持ちいつかは無かったことになるのかな。 

10/25
ウォンカーウァイの天使の涙を観た。良かった。恋する惑星の評判を色んな人から受け取っていたので早く観なきゃと思っていて、新宿で観れそうなタイミングがあったのでウォンカーウァイ観にいこうぜと友だちを誘った。友だちは恋する惑星は観たからブエノスアイレス観たいなあとか言ってたんだけどその日の上映は天使の涙だった。こういうとき両成敗な感じがして助かる。私は今日が初・ウォンカーウァイだったので、何が一体どんな風に良いのか観てやるぞとワクワクしながら観る。たまに小説みたいな素敵な瞬間が現れるからドキっとした。ここからただの感想。 

小さい頃に賞味期限切れのパイナップル缶を食べ過ぎたせいで喋りが不自由という設定の金城武がとても良かった。腐ったパイナップルを食べて喋れなくなる?口内が傷付いたからうまく発音出来ないってことかな…と真面目に考えたりしたけど、精神的な傷付きの可能性も全然あるし、呪いかもしれない。金城武、失恋、パイン缶と賞味期限、とかは恋する惑星とリンクしているぽい。こういう、男前なのにその格好良さが削ぎ落とされるほど変わっていて不憫な人好き。口きけないってほぼ人魚じゃん、と個人的に思って、でも喋らないのに元気だし好きな人に真っ直ぐだし意味の分からないことを沢山しでかすエネルギーがあった。でもそれは言語無しだと私たちが汲み取れないってだけで、彼にとってはちゃんとした意味があるのかもしれない。失恋して苦しくてなんとかアピールするけどその声が届かないシーンはまさに人魚姫だったな。絶対に泡になったりしないタフさを備えているけど。この映画は登場人物全員が見事に素直になれていなくて、そのせいでもう全部うまくいってなくて、それが群像劇としてうまく交錯していた。香港の堕天使たち。みんな言いたいことを伝えられなくて、言わなくてもいいことだけはペラペラ浴びせてしまったりして、でもその0か120になってしまう感じ分かる。

金髪のくるくるパーマのショートヘアというドギツい髪型の女の人の激情っぷりも良い。激しさ9可愛さ1みたいな比率なんだけどその1しかない可愛さが、きっとウォンカーウァイの生み出す可愛さをギュッと集めた感じで、激しさに負けずにぎりぎりのところで存在していた。好きな人と歩く時はいつも土砂降り、でも雨の中上着をかぶって走り抜けるのがとても楽しくて嬉しい、だから「ずっと雨が降ればいいのに」と彼女が心の中で思うシーンが大好きだった。どう考えても自分のこの想いが一方通行だから全く関係ない外部の力でどうにかなってしまって欲しいという祈り、そしてありえないミラクルが起こっちゃったときの嬉しさ、でも自分の力で手に入れた訳では無いそのご褒美は一瞬で、それによって特別な2人になることなんてないし、第一好かれてないってことだって分かりきってる。土砂降りだけど楽しそうにしているその感じが、好きだけど寂しい、両方の気持ちみたいだった。結局このシーンの直後に振られるんだけどね。多分私はこの人に1番共感してしまって、観終わったあと「金髪の女の人が1番救われてなくない?」って友だちに共感を求めたけど「でもあの人救われないのを分かっていながら突っ込んだ感ある」と言われた。確かに。それはそうなんです。でも傷付くのを分かっててそうしたくなる衝動だってあるよね。私には無さすぎるから羨ましかった。こういう衝動を持て余さずに使いこなせる人だけが出来る瞬間的な体験としてキラキラして見えた。映画の良さだな、と思う。

恋の賞味期限というワードが何度か出てきた。自分には好きな人がいて、でも好きな人にも好きな人がいるときの「早くあの人の恋の賞味期限が切れたらいい」って願う台詞。最終的に賞味期限は切れたようだけど全然新しい人のところに行っててやはり金城武の役は可哀想だった。自分の賞味期限はいつまでも切れないんだよな、残酷。もしかしたら私の恋も非常食ほどに長い賞味期限かもしれなくて、いつまでも切れないから一応そこにあるって感じがする。食べちゃってもいいけど今じゃないし、いつか運命的な瞬間があるかもって引き伸ばすうちに賞味期限が切れる時がきて捨てて、ちょっとぼんやりするけどまあ無くても生きていけるから買い足さなくていいや、でしばらく生活してたらいざという時あった方がいいよって周りに言われて無意識にまた買い足す。それを繰り返す人生なのかな。一生食べる時は来ない…。

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