カンヌライオンズ2023 受賞作品をご紹介!(ゲーミング&フィルム部門)
さて、前回のカンヌライオンズに関する記事では食料と飲料の受賞作品をご紹介しましたが、今回はゲーミングとフィルム部門でのグランプリ作品をご紹介します。
Entertainment部門とGaming部門でグランプリ受賞
CLASH OF CLANS "CLASH FROM THE PAST"
今年からゲーミング部門(Entertainment Lions for Gaming)も新設され、注目のゲーム業界。
グランプリを受賞したのは、10周年記念に偽の40周年の軌跡を辿った短編ドキュメンタリー映画を制作したスマホゲームの「クラッシュ・オブ・クラン」です。
エンタメとゲーミングの2部門グランプリを受賞しました(Entertainment / Entertainment Lions for Gaming)。
なぜ偽の40周年?
周年を迎えると、アニバーサリーイベントや何かキャンペーンを行うことが多いですが、昨年10周年を迎えたクラッシュ・オブ・クランはゲーマーにとって大切なブランドの歴史や世界設定がまだ浅い事に気がつきました。
そこで文化や生活を形作ってきた歴史あるマリオ、ドンキーコング、ゼルダなどの様に文化的に関連性のある象徴的なゲームにしたいと考え、あたかも80年代から存在していたかのような40周年のドキュメンタリー映画というフェイクニュースを作ったというわけです。
その20分間のドキュメンタリーフィルムがこちら↓
20分と少し長いですが、本当に80年代から実在していたように錯覚する映像になっており、ファミコン世代からゲームをやっていた人なら懐かしさを感じるノスタルジックな演出が各時代で描かれています(あ〜こういうゲームやキャラクターデザインが流行ってたよね、としみじみ)。
そしてドキュメンタリー映画の制作以外にも様々な仕掛けを行い、その徹底ぶりがファンを魅了しました。
クラッシュ・オブ・クランが行った仕掛け
・過去にコラボした(いや、実際はそんなコラボをしていない)グッズの再販
・アメリカで人気の掲示板サイトredditに40周年ドキュメンタリー映画に登場したキャストが登場(ファンコミュニケーション)
・今回の10周年ででっち上げた昔のゲームも実際にプレイすることができる
広告はフェイクと敬遠されることもありますが、あえてとことんリアルじゃない方向に突き詰めながらも、ファンが盛り上がる企画を用意したことが世界観構築とコミュニティ形成に成功したと言えます。
ケーススタディ動画で、どんな施策を行なったかまとまっているのでよければ下記の動画をご覧ください!
次にご紹介したいのが、Film部門のグランプリ作品です。
Film部門 グランプリ受賞の他、その他部門で9つのメダルを受賞
CALM ‘THE LAST PHOTO’
今年のフィルム部門では対照的な2作品がグランプリを受賞しました。
まず一つ目は今年のカンヌライオンズで賞を最多受賞したイギリスの慈善団体CALM(Campaign Against Living Miserably)による'The Last Photo'。
笑顔で楽しそうな生活を送っている動画が映し出され、映像の最後にそれらが自ら命を落とした人たちの最後の映像であることが伝えられ、「自殺したい人たちが必ずしも自殺するような人に見えない 」というメッセージが綴られています。
そして世界自殺予防デーの9月とは関係なく、昨年の夏にロンドンの屋外で50人のThe Last Photo展を行い、7日間で50万人が訪れ、自殺について考え話し合う機会を増やしました。
辛い状況だったにも関わらず優しい笑顔を向けるその最後の姿に何度観ても涙がこみあげてきます。
私たちにできることは何か考えさせられ、CALMのウェブサイトでは、苦しんでいる人のサイン、どういった言葉やサポートが良いかをアドバイスしています。
そして、Film部門で同じくグランプリを受賞したAppleの'R.I.P. Leon'は
'CALMの'THE LAST PHOTO'とは対照的で、製品を宣伝した広告作品になっています。
Film部門 グランプリ受賞
Apple ‘R.I.P. Leon’
iPhone 14が持つメッセージの取り消し機能をコミカルに宣伝した作品です。
ちなみに昨年のFilm部門でもグランプリを受賞したAppleですが、こちらの続編も最近公開されました。
Appleの様々な製品と機能を巧みに紹介している人気のお仕事シリーズ。
今回は盗まれた時のロック機能どこまで大丈夫?編です。
私も昔iPhoneを海外旅行中に電車で盗まれたことがあるので、あの時の気持ちを思い出し、アップルのセキュリティの強さを世界中のスリに知ってもらいたいものです。。
またまた長くなってしまったので今回はここまで。
次回はビューティーの受賞作品とPnterestのセミナーをご紹介します!
執筆:高嶋 くらら